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コミック版『ボルカルス』第1巻、4月17日発売

小学館は4月17日、コミック版『ボルカルス』第1巻を発売する。原作:渡辺範明、作画:中道裕大、監修:アークライト、192ページ、880円(税込)。

アークライトゲームズの連作ボードゲームプロジェクト『KAIJU ON THE EARTH(カイジュウ・オン・ジ・アース)』第1弾として、上杉真人氏のゲームデザインで2019年に発売されたボードゲームをコミック化。プロジェクトのディレクターである渡辺範明氏がストーリーを、『放課後さいころ倶楽部』の中道裕大氏が作画を担当し、漫画サイト「サンデーうぇぶり」で昨年12月より隔週でウェブ連載されている。

富士の火口から突如として現れた、正体不明の怪獣「ボルカルス」。全身から溶岩を噴出し、進化と成長を続けながら進路を焦土と化す無慈悲な巨体が、首都東京に―――― 主人公の一ノ瀬一路は、夢に破れ意味の無い日々を送っている39歳独身男性。同級生の結婚式に参加し、帰り道に幼馴染みの藍田かなたと偶然の再会を果たすも、理解不能なことを言われ事態は急変していく…

第1~3話と最新話は下記サイトから無料で読める。ゲームでは表現できないボルカルス災害の真実をコミックならではの展開で描く。ボードゲーム版を体験済みでも未体験でも楽しめる内容になっている。

サンデーうぇぶり:ボルカルス

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「同じゲームを何回か繰り返す」ことの価値

Jenga
連続3回目のジェンガは「地獄級」

地元のゲストハウスに海外の方が集まるボードゲーム会に招かれて参加してきた。ボードゲーム会といっても、おしゃべりをしたり、軽量級ゲームを遊んだりといった緩いもので、あくまでも交流がメインである。30タイトルくらいゲームがあったが、実際に遊ばれたのは『ジェンガ』『クラスター』『ハリガリ』『ウノ』『ストライク』など軽量級ばかり。

最初にプレイしたのは『ジェンガ』。タンザニアの方から「スワヒリ語でbuild(建設)という意味」と教えてもらった後、英語と日本語混じりで1ゲーム遊んだ。久しぶりに遊んだが、大人だけでやると指先に神経を集中し、重さがかかっていないポイントを探るプレイになるため、誰かが崩したときは正直ほっとするほど。ふぅ~っと息をついて次のゲームは何にしようかと思っていたその時、「もう1回!」

結局、『ジェンガ』は3回遊び、終わった時には1時間くらい経っていた。同様に『ハリガリ』もドイツの方から「ドイツ語でtumult(混乱)という意味」と教えてもらって3回。繰り返し遊んでいるうちに皆のスキルが上がるため、『ジェンガ』は崩れにくくなり、『ハリガリ』は超高速になる。私は1回目、普段からのボードゲーム勘で何とか乗り切っていたが、回を重ねると皆上手くなってだんだんと勝てなくなった。

ホビーゲーマーになると気が付きにくいことだが、カジュアルプレイヤーはエンジョイプレイヤーとは限らない。ボードゲームを普段遊ばなくても、勝敗にこだわって真剣にプレイし、何回か繰り返すうちによりハイレベルな戦いを繰り広げることもある。今回は繰り返し遊ぶことで、同じゲームなのにまるで別ゲームのようになっていく感覚がとても楽しかった。

ホビーゲーマーの多くは遊びたいゲームがたくさんあることから、結果的にノンリプレイ派となり、「同じゲームを何回か繰り返す」という感覚はどうしても薄くなりがちだと思う。しかし、軽~中量級のゲームならば、その場でもう1回ぐらい遊ぶと、だいぶゲームの印象も変わるのかもしれない。ゲーム説明は要らないし、みんな慣れているのでプレイ時間は短くなる。

ノンリプレイ派になる一因として、「フラットな状態」(そのゲームでの経験差が出にくい)の創出があるが、同じゲーム会、同じメンバーで続けて遊ぶならば、経験は変わらないので「フラットな状態」は維持できる。1回目では気づかなかった戦略や面白さに気づいて、別ゲームのような展開になるかもしれない。

かつて徹夜で『カタン』を何ゲームも遊んでいたことを思い出す。その頃は、今ほどいろいろなゲームを持っていなかったことが大きいが、研究の楽しさがあったのも事実である。ボードゲームの価格が上がり、棚も入りきれなくなって以前ほど次々と買わなくなってきた今、中量級ゲームぐらいまでならたまに続けて何回かプレイするのは、結構アリなのではないか。「よかったらもう1回やりませんか?」1ゲーム終わった後、初心に帰ってちょっと言ってみたい。