Posted in 日本語版リリース

裏をかいて引き寄せ『ごきぶりデュエル』日本語版、6月20日発売

メビウスゲームズは6月20日、『ごきぶりデュエル(Kakerlaken-Duell)』日本語版を発売した。ゲームデザイン・J.ゼメ、イラスト・R.フォークト、2人用、8歳以上、15~25分、2400円(税込)。
『ごきぶりポーカー(2004年)』に始まるドライマギア社(ドイツ)の人気シリーズ最新作で、オリジナルは2017年に発売された。2人のプレーヤーが「だまし屋」と「予想屋」の役割を交替して、ゴキブリを自分の陣地まで進めるブラフゲームだ。
だまし屋役のプレーヤーが並べた4枚のタイルを予想屋役のプレイヤーが1枚ずつめくり、そのマークによって、その列のゴキブリコマを自分のほうに進めていく。X印が出たらまだめくられていない列のごきぶりコマを相手側に一歩進めて手番終了となる。これを繰り返して、1匹でも自分の陣地に進めれば勝利。
自分に近いごきぶりコマを進めるか、相手側に進んでいるコマを戻すかで駆け引きがあり、相手の裏をかくか、裏の裏をかくかで読み合いが熱い作品だ。
メビウスゲームズ:ごきぶりデュエル日本語版

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ゲームバーからボードゲームバーへの転換は成功するか

店内で家庭用ゲーム機が遊べるゲームバーに対し、コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)が著作権(上映権)侵害だとして業務改善や営業停止を要求し、4月に大阪の3店舗「ゲームバー1UP」「ゲームバーカティーナ」「ゲームバーClan」が閉店を発表、今月には京都の「ゲームバークランツ」「アミューズメントBARカラフル」と兵庫の「ファナティー神戸三宮」「エクルイット」が摘発され、経営者が逮捕される事態に至った。ACCSは各ゲームバーに警告を出しており、今後この動きは全国に波及する可能性が高い。
その中で、家庭用ゲーム機を撤去し、ボードゲームバーに転身するお店がある。もともとボードゲームが遊べたところもあれば、新たに始めたところもある。閉店を発表した「ゲームバー1UP」は『ボードゲームカフェパス』に掲載され、摘発された「ゲームバークランツ」はボードゲームカフェバーによるスタンプラリー「ボードラン京都」に参加していた。
このような転換の動きに対し、ボードゲーム愛好者からは「ボードゲームを揃えたり、ルール説明できるスタッフを置いたりするのは容易なことではない」「デジタルゲームはNGで、ボードゲームはどうしてOKなのか」といった声が上がっている。
ボードゲームがOKなのはプレイが上映・上演・貸与(店外持ち出し)のいずれも該当せず、著作権が当てはまらない上に、権利を保護する業界団体も結成されていないからである。確かにお客さんが買ってやるべきものを場所を提供してやらせている点ではデジタルゲームと変わらないので、今後出版社なり団体なりが営利目的NGを打ち出すか、課金をし始める可能性はあるが、そのような動きは国際的にもまだ見られない。それどころか購入のためのデモプレイの場になっている一面もある。カルカソンヌ日本選手権の会場となったり、試遊した方に限定プロモを配布する「プレイ・ホビージャパン!」のような動きもあったりして、出版社とボードゲームカフェは当面、共存共栄でいくのではないだろうか。
ただし新規参入の壁は低くない。現在全国で営業中のボードゲームカフェバーの平均所蔵ボードゲームは約300タイトル。1タイトル平均3000円だとして、これだけのボードゲームを揃えるだけでも100万円近くかかる。その後も新作がどんどん出るのでフォローするのにも資金がかかり続ける。さらにテレビゲームと違ってボードゲームはチュートリアルがなく、スタッフがひとつひとつルールを理解して、お客さんに説明しなくてはならない。また、ボードゲーム専門のボードゲームカフェが全国津々浦々にものすごい勢いで開店しており、都内・大阪や大都市では競合するところもあるだろう。
このような理由から、権利的には今のところ問題はないものの、設備投資やスタッフ研修、さらに他店との競合などの点で安易な転換は難しいと思われる。店主やスタッフがもともと筋金入りのボードゲーム愛好者で、その立地でボードゲームを遊びに来るお客さんが見込めるということでもなければ、別の可能性も探ってみたほうがよさそうだ。