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戦略ダイスゲーム『ガンツ・シェーン・クレバー』日本語版、5月25日発売

ganzschoncleverJ.jpgアークライトは5月25日、ダイスゲーム『ガンツ・シェーン・クレバー(Ganz schön clever)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・W.ヴァルシュ、イラスト・L.シファー、1~4人用、8歳以上、30分、2000円(税別)。
シュミット・シュピーレ(ドイツ)から発売され、昨年のドイツ年間エキスパートゲーム大賞にノミネートされた作品。この賞の大賞を『クアックサルバー』で受賞したW.ヴァルシュがデザインし、無料アプリ版も出たことから話題になった作品である。輸入版は『ガンシュンクレバー』というタイトルでメビウスゲームズが扱ってきた。
近年トレンドとなっているロール&ダイス式のダイスゲームで、手番には6個のダイスを振り、1個を選んで自分のシートに記入していく。手番以外のプレイヤーは、使わなかったダイスから1つ選んで記入する。ダイスは色別になっていて、得点が入る仕組みが異なり、コンボもあるので、どの色を伸ばすかで戦略が分かれる。
ダイスの選択とタイミングで、ダイス運を上手にコントロールできた人が勝てる、やりこみがいのある作品だ。
内容物:スコアシート1冊、ダイス6個、ペン4本、ルール説明書1冊
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ファクトリア(Factoria)

独りなら改良、一緒ならボーナス

スチームパンクの世界で、「伝説の歯車」を買うために工場を動かすボードゲーム。『グラバー』で東京ドイツゲーム賞を受賞した赤瀬よぐ氏の作品で、ゲームマーケット2019大阪で発表された。拡大再生産のシステムに、プレイヤーの思惑が面白く交叉してくる。
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プレイヤー人数分ある工場から、各プレイヤー毎回1ヶ所を選ぶ。工場では手持ちの「遺物」を増やしたり、価値を上げたりし、それらを売って利益を上げ、100ゴールド以上貯めるのがゲームの目的だ。

工場の選択は番号を一斉に指で表して行う。このゲームの面白いところがここで、ほかのプレイヤーとバッティングしなかったらその工場の改良ができ、バッティングしたらボーナスをもらえる。どちらにしてもお得だが、状況によってバッティングしたほうがよいときと、したくないときがあり、ほかのプレイヤーの持ち物を見てどこを選びそうか探り合うことになる。
工場の改良というのは、手持ちのチップを使って、その工場が生産する遺物のレベルを上げることである。最初はレベル1の歯車とレベル2の鍵しか工場に置かれていないが、レベル3のメガネ、レベル4の時計というように段々とレベルが上っていく。

最初はレベル1とレベル2しかない生産できないのに、どうしてレベル3以降のチップが手持ちにあるかというと、大枚を叩いて「発掘」するのである。工場の稼働が終わると、手持ちの遺物を売却するか、お金を払って遺物を「発掘」できる。これでレベルの高いものを手に入れ、工場の改良に使うのである。

工場の改良を行うと、1回無料で工場を稼働できたり、プレイヤーチップを置いてその後に使ったプレイヤーからお金をもらえたりするが、一番のメリットは、まだレベルの高い遺物をもっていないプレイヤーが使いにくい工場になることである。逆から見れば、遺物のグレードアップをしていかないと流行に乗り遅れるということになるだろう。工場の状況によって場の流れが生まれるのが面白い。

お金は「発掘」だけではなく、「技術開発」に使うこともできる。場には5枚の技術書カードが並んでおり、ここでお金を払うと、毎ラウンド始めに収入があったり、工場を1度に複数回稼働できたりと、永続的な能力が得られるのだ。しかしゲームの目的はお金を貯めることである上に、ほかの人が先に開発している場合、追加の費用もかかる。結構高いので計画的な利用が必要だが、技術書の名前が「増殖分解機」「倍々装置」「浮動配達船」などとカッコよくてつい手が出てしまう。

誰かが100ゴールドに達したら、1周して終了。所持金の最も多いプレイヤーが「伝説の歯車」を購入し勝者となる。

序盤に持ち金を叩いてレベル3の遺物を購入し、工場を改良したが、その後、技術開発競争にお金を使いすぎてしまい、気がつけば遺物レベルで取り残される事態になって最下位。しかし技術開発せずには、レベルの高い遺物は購入できず、工場の選択をもう少し工夫するとよかったかもしれない。場の流れにうまく乗ることがポイントのようだ。

工場も技術書も表裏で効果が異なるので、組み合わせによって戦略も少しずつ変わるだろう。でも工場の選択で「あの工場に行きますよね!」「ですよね~」とか言いながら全く別の工場を選んでいたりといった会話の楽しさは、このゲームを形作る魅力の根本にある。

Factoria
赤瀬よぐ/よぐゲームズ(2019年)
3~5人用/10歳以上/30分