ウリニゲマンレオ(Ulinigeman Leo)
薄い壁も重ねれば
アパート建築賃貸請負会社の営業となって、できるだけ壁の薄いアパートを多く建てるゲーム。壁が薄すぎると、完了検査で通らないというテーマを、「カードを透かして文字を読む」というアクションに見事落とし込んだ北条投了先生の面目躍如な作品である。
壁には薄い壁(白い紙切れ)、防音壁III(縦に模様あり)、防音壁IV(横に模様あり)の3種類がある。手番には2個のダイスを振って、出目に応じた壁を取り、ある程度集まったら「アパートを建てる」アクションで重ねて自分の前に置く。
「完了検査」アクションではほかのプレイヤーのアパートの上に、山札から完了検査カードを置いて、裏から部屋の光に透かしてみる。完了検査カードにはあるワードが書いてあり、それがアパートの壁を透過して読めれば、検査に不合格となり、壁を奪うことができる。
それならば壁を集めるだけ集めて完了検査カードを読めないように作ればよいと思うかもしれない。しかしダイスでゾロ目が出ると、手札を半分取られたり、未検査のアパートを奪われたりするので、その作戦は賢明ではない。完了検査カードの文字が読めるか読めないかぎりぎりのラインでどんどんアパートを建て、何とか完了検査で合格していく見極めが必要となる。完了検査カードには文字が非常に小さいラッキーカードもあるので、薄くても合格する望みはある。
薄い壁だけでも、そこそこ集まれば読めなくなるし、防音壁IIIとIVを組み合わせても窓のような部分が空いているので、そこから見える一部で推察される恐れもある。そして出てくるワードが時事ネタを巧みに盛り込んであり、読めても読めなくても盛り上がる。ワンアイデア・ワンゲームでない工夫が随所に施されており、楽しく遊ぶことができた。
ウリニゲマンレオ
北条投了/芸無工房(2019年)
2~6人用/30分
ローゼンベルクの農業ゲーム『レイクホルト』日本語版、5月25日発売
アークライトは5月25日、『レイクホルト(Reykholt)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・U.ローゼンベルク、イラスト・、1~4人用、12歳以上、30~60分、5800円(税別)。
U.ローゼンベルクがデザインし、昨秋フロステッド・ゲームズ(ドイツ)から発売された。アイスランドの町レイクホルトで野菜を育て、観光客をもてなすワーカープレイスメントゲームだ。
ゲームボードのアクションスペースにワーカーを置き、野菜を取る、温室を取る、野菜を温室に植える、収穫するといったアクションを行う。野菜は5種類(トマト、レタス、キノコ、カリフラワー、ニンジン)あり、温室は区画が異なる。狭い区域にしか植えられない野菜があって入手しやすさが変わる。畑に野菜を植えると増えて、少しずつ収穫していくシステムは『アグリコラ』や『カヴェルナ』でお馴染みのローゼンベルク節。
特殊能力がある支援カードは、となりのプレイヤーとシェアするアクションがあるのが新基軸で、そのカードが適用されるアクションを巡って競合が起こりやすくなっている。ラウンド終了時に、指定された野菜を支払うことで自分のコマが進み、最終的にこれが一番遠くまで進んだプレイヤーが勝つ。
収穫の楽しみや、提供する野菜のやりくりを楽しめ、プレイ時間も1時間ほどに収めた作品。発展ルールでストーリーモードやイベントカードも取り入れられる。
内容物:ゲーム盤1枚、閉鎖タイル1枚、経営者コマ4個、収穫かご5個、労働者コマ12個、シールシート1枚、親カード1枚、ストーリーモード用のシナリオ・イベント・支援カード34枚、早見表カード4枚、温室カード23枚、ラウンドタイル8枚、野菜3個タイル20枚、野菜トークン160個、支援カード36枚、ルール説明書1冊