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シュピール’19:閉幕(来場者数記録、スカウトアクション、カルカソンヌ世界選手権)

ドイツ・エッセンで10月24~28日にかけて開かれたメッセ「シュピール’19」について、主催のフリードヘルム・メルツ社は来場者が209,000人(前年比+19,000人)と予想を超えて新記録となったことを発表した。出展者1200団体(前年比+50)、新作タイトル数1500(前年比+100)、会場面積86000㎡(前年比+6000)と共にとどまるところを知らない勢いだ。
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急増する来場者を受けて、朝の入口をこれまでの南口ではなく中央口に変更。使用しない7番ホールを入場待機場とした(写真:フリードヘルム・メルツ社)
ボードゲーム専門誌『フェアプレイ』が会場内で実施している来場者のプレイ評価「スカウトアクション」は、コスモス社の協力トリックテイキングゲーム『ザ・クルー(Die Crew)』が1位。2位にはフォイヤーラントの重量級ゲーム『クリスタルパレス』と、ハンス・イム・グリュック社の『マルコポーロ2』が入った。
一方、オンラインで投票できるギークバズ(GeekBuzz)の1位はアポルタゲームズ『マグニフィセント(The Magnificent)』、2位はボード&ダイスの『トリスメギストゥス』、3位は『バラージ』。15位以内でスカウトアクションと重なっているのは『バラージ』(3位)のほか、『クーパーアイランド』(7位)『テラマラ』(10位)『アズール:サマーパビリオン』(12位)の4タイトルだけだった。
スカウトアクション1位の『ザ・クルー』はギークバズ123位、2位の『クリスタルパレス』は67位、『マルコポーロ2』は87位と評価が大きく異なっている。スカウトアクションは昨年の1位が『ベルラッティ』と『シティ・オブ・ローマ』で、どちらも今年のドイツゲーム賞に入っておらず、新作の急増とグローバル化の波で評価が多様になっているようだ。
【スカウトアクション 最終結果】
1位:ザ・クルー(Die Crew、コスモス)4.1
2位:クリスタルパレス(Crystal Palace、フォイヤーラント)4.0
2位:マルコポーロ2(Marco Polo II、ハンスイムグリュック)
4位:アズール:サマーパビリオン(Azul: Summer Pavilion、プランB)3.9
4位:バラージ(Barrage、クラニオ・クリエイションズ)
4位:カーニバル・オブ・モンスターズ(Carnival of Monsters、アミーゴ)
4位:レス・アルカナ(Res Arcana、サンドキャッスル)
4位:チーム3(Team 3、アバクス)
9位:ディノサウルスアイランド(Dynosaur Island、フォイヤーラント)3.8
9位:キッチンラッシュ(Kitchen Rush、ペガサス)
9位:ルーンストーンズ(Rune Stones、クイーン)
12位:カルトグラファーズ(Cartographers、ペガサス)3.7
12位:クーパーアイランド(Cooper Island、フロステッド)
12位:テラマラ(Terramara、クワインド)
15位:パームアイランド(Palm Island、コスモス)


最終日に行われたカルカソンヌ世界選手権は、昨年優勝の藤本巌郎氏と、今年の日本代表で2014年世界優勝の望月隆史氏が出場。2人とも予選5ラウンドを突破したが、準々決勝で敗退した。決勝はそれぞれ日本代表を破ったマリアン・クルカン氏(ルーマニア)対イン・チェンチェン氏(台湾)となり、昨年の準優勝者でもあるルーマニア代表のマリアン・クルカン氏が制した。


来年のシュピール’20は2020年10月22日~25日。

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ミヤビ(Miyabi)

起伏にとんだ地形で日本庭園づくり
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石、つつじ、もみじ、池の鯉、お堂の5種類を起伏をつけて配置して、美しい日本庭園を作るタイル配置ゲーム。ハバ社がファミリーゲームのラインナップもリリースして5年目、『アズール』シリーズが好調のキースリングがデザインした。
毎ラウンド、場に並んだタイルから1枚ずつ取って自分のプレイヤーボードに配置していく。タイルにある石やお堂の数だけその都度得点が入り、規定ラウンド終了後に各種のマジョリティーを競う。
配置のルールは、縦横にしばりがある。横の各行は配置できるものが決まっており、例えば石は一番下の行にしか置けない。縦の各列は1ラウンドにつき1回しか得点が入らず、満遍なくタイルを配置していかなければならない。キースリングの『ヴァイキング(ハンス・イム・グリュック、2007)』を彷彿とさせるこの2つのルールだけでも相当悩ましいが、考えることはほかにもある。
ひとつはタイルを重ねておくと、得点が上がること。2段目は2倍、3段目は3倍と『ナンバーナイン』式に得点が上がっていく。大きいタイルほど得点が高いが、置くためにはその下のマス全てにタイルがあることが必要で、高くなるほど難しい。最高の5段目まで先に積み上げることができればボーナスもあるが、すでにあるものを上書きしなければならなくなるだろう。
上書きすると困るのが最終得点計算である。ゲームが終わると、石やお堂が盤上にいくつ見えているかで一番多い人と二番目に多い人にボーナスが入る。そのため、ゲーム中から「この池はつぶしても1位は守れる」などと他のプレイヤーの動向を見ながら取るタイルを考えなければならない。
3人プレイで45分くらい。運の要素は、各ラウンドの最初に場に並べられるタイルの組み合わせだけで、『アズール』と同じくらいである。考えればきりがないようでいて、選択肢はさほど多くないため、ほどよい考えどころが心地よい(このあたりがキースリングの新境地といえるのかもしれない)。「あなたがそのタイルを取るなら私はこれを取る」みたいな駆け引きもあって、インタラクションもほどよい。
リプレイアビリティについても、指定されたパターンを作るとボーナスとか、1段目から登っていくカエルコマなど5つの拡張が入っており、1つずつでも、複数を組み合わせてもプレイできる。ドイツゲーム的で隙のないデザインに、今回のエッセン・シュピールのトレンドのひとつである和テーマ、非常に堪能できるボードゲームである。
Miyabi
ゲームデザイン・M.キースリング/イラスト・R.アムトール
2~4人用/8歳以上/45分
ハバ(2019年)