ダメージ効くらです
ギリシャの島々を舞台に、神々の力を得て覇権を争うゲーム。前年に発表された『ジャイアント』や、ニュルンベルクで発売された『ダイスタウン』で注目されるフランスのマタゴー社の作品で、デザイナーは『ダイスタウン』と同じカタラとモーブロン。
自分が支配する島から収入を得たら、神への捧げ物で競りをする。プレイヤー人数より1人少ない神様が並び、順番に捧げたい額のところにコマを置いてビッド。より高い額をビッドされた人は追い出されてより高いところにビッドするか、別の神様に移らなければならない。『エボ』『アメンラー』『ベガスショーダウン』で見られた「ところてん競り」である。最終的に余った人があきらめて抜けるまで続ける。
毎ラウンド最低1人は、何も行動しないで収入だけ得る選択をしなければならない。ただ、降りるにしてもさんざん値を吊り上げておいてから降りたい。ほかの人にみすみす安い捧げ物をさせてはいけない。
さて、捧げ物が終わったら行動開始。神様の並びでプレイ順も同時に決まる。神様の能力を使って軍隊を増やしたり、移動したり、自分の島に建物を作ったり、スフィンクスやメデゥーサなどのクリーチャーの特殊能力を使ったりする。
クリーチャーは17種類もあって、このゲームの特長となっている。毎回3体ずつ登場するが、使えるのはプレイ順で早い者勝ち。遠くの島に急襲をかけたり、相手の持ち物を盗んだり、自分の島を守ったりと多彩で、逆転をもたらすこともある。中には専用のフィギュアを盤上に置くものもあって、雰囲気を盛り上げる。写真は島に船を寄せ付けないポリュフェモスと、船を飲み込んで居座るクラーケン。
勝利条件はメトロポリスを2つ所有すること。メトロポリスはアテナに捧げ物をしてもらえる「哲学者」を4枚集めるか、4人の神様によって4種類の建物を全部建てれば手に入るが、ほかの人が建てたものを軍隊で奪ってもよい。自分の島で増強した軍隊を、海に船を並べて移動させる。戦闘は軍隊の数と、要塞(陸上)、港(海上)の数、そしてダイスの合計で、少ないほうが1体ずつ除去されていく。
序盤にたまたま建物が4つ揃ったのでメトロポリスを建ててみた。ところが軍備が甘かったことから鴉さんが早速攻め込み、あっけなく奪取されてしまう。島が1つだけになると収入が少なく、パスをしまくってほとんど脱落状態。鴉さんが奪った島を今度は、自力でメトロポリスを1軒建てたぽちょむきんすたーさんが大量の軍隊で落とす(写真)。でも鴉さんがすぐにもう1軒を建ててリーチをかけ、どちらがもう1軒建てるかの勝負。お金の余裕を残していたぽちょむきんすたーさんが、スフィンクスの能力で要らないものを全部売り、最後の捧げ物に20金以上つぎ込んで片を付けた。
地道に建設しても軍隊が大挙してやってくればあっけなく奪われるという、アグレッシブなゲームである。グダグダになるかと思われたが、適度に脱落する一方で手がどんどん進むので展開は速い。それでいて競りのビッドではどの神様・プレイ順を選ぶかか悩ましく、遊びごたえがあった。
Cyclades
B.カタラ、L.モーブロン作/マタゴー出版(2009年)
2〜5人用/13歳以上/60分