ポーランド四面楚歌
東西南北から侵攻の目が光るポーランドを、義勇軍としてときに協力し、ときに競争して守る3人専用ゲーム。作者はM.ウォレスで、細かいフェイズ処理、多彩なアクション選択、ダイナミックな盤上の変化、カツカツなお金、長めのプレイ時間など、ウォレスらしい作りである。
ゲームは4ラウンドにわたって行われ、それぞれ中世から近代までの史実に基づいて、外敵が襲ってくる。ラウンドの最初は収入から。エリアの価値に応じたお金を自分の街から得る。このお金はほとんど軍隊を雇うのに使うが、外敵の侵入を許すと、エリアの価値が下がりいよいよ苦しくなる。
次は投入する貴族のプロット。各エリアに数字タイルを裏にして出し、一斉に表にしてその数の貴族を置く。貴族はそのエリアで街を作ったり、外敵を迎え撃ったりするのに必要なリソース。自分の街を守るべく、メリハリをつけて配備したい。中央議会に送った貴族が一番多い人は王様(スタートプレイヤー)。またここにいる貴族の数によって、ポーランド軍(NPC軍隊)の戦力が決まる。ここが最初の迷いどころ。
それからダイスで外敵の戦力を補充し、各エリアで一番貴族が多い人が議員(ポーランド軍を使う権利がある)を出し、新しい街を作ったらアクション。街の収入を増やしたり、臨時収入を得たり、お金を払って外敵と不侵攻条約を結んだりと、2アクションから2つ行う。2つ目の迷いどころ。
次にお金を払って軍隊(私兵)を雇い、各エリアに配備する。ポーランド軍もいるが、全国を回るので当てにならない。続く先制攻撃で外敵を蹴散らせば手柄も入る。持ち金のほとんどはこれに使うといっても過言ではない。ほかの人がどこに軍隊を配備するかを見て、弱ければ補強し、強ければ手を抜くというバランスも必要。3つ目の迷いどころ。
そしてまたダイスで外敵の戦力を補充したら、先制攻撃ができる。エリアごとに最も多く攻撃すれば手柄を立てられるだけでなく、侵攻前に外敵を全滅できれば、エリアの価値が上がる。戦闘の解決は全てダイス。騎兵なら4以上、歩兵なら5以上で攻撃成功。貴族の数だけ攻撃できるが、1が出ると死亡して使えなくなってしまう。国の存亡をかけてとあっては、ダイスを振る手にも気合が入る。
ちなみに北はロシア、東はタタール、北西はプロシア、南はオスマントルコが攻めてくる。さらに西からはハプスブルク家の貴族たちが侵入。外敵の数はラウンドによって異なり、終盤は1人ではどうしようもないくらい大量の兵隊が攻めてくる。ポーランドの悲哀を物語る。
全滅できなかった外敵は国内に侵入してしまう。ここで王様と議員が動いて、ポーランド軍出動。それでも全滅できないと、都市を破壊し、周囲のエリアに拡大するから何とか踏ん張らないといけない。残った議員やお金を勝利点にして、次のラウンドへ。
序盤は北部を鴉さんに任せて、ぽちょむきんすたーさんと私で残りの4エリアを適度に協力しながら守る。私はもっぱらオスマントルコとハプスブルク家の対応に当たった。1ラウンド目は予想以上の外敵に対応し切れず侵入を許してしまうが、2ラウンド目で殲滅。後半は、私が北部へ、ぽちょむきんすたーさんが南部へ重点を移し、都市を作って軍隊を配備した。
3ラウンド目は特別ルールがあって、オスマントルコはポーランドではなくハプスブルク家を攻め、ハプスブルク家が落ちると4ラウンド目に両方から大挙して攻め込んでくる。そうならないように、3ラウンド目でオスマントルコに先制攻撃を仕掛け、ハプスブルク家を守らなければならない。私はこれに戦力を集中。無事ハプスブルク家を守ったが、戦力を集中しすぎた。
4ラウンド目は、2人がイエズス会の学校建設(貴族を勝利点にする)などしているものだから結局あちこちからの侵入を許し(史実に基づいているのか、ゲームバランス上そうなっているようだ)街を壊されまくって最下位。最下位特典で街を奪い、先制攻撃で手柄を立て、都市化した街を守ったぽちょむきんすたーさんが1位。
エリア選択、アクション選択の難しさと、ダイスロールの爽快さが交互に訪れて退屈させない。外敵がおり、プレイヤー間の戦争はないのでアグレッシブにならないのが気に入った。どんどん強大になっていく外敵に対し、限られた戦力をどう振り分け、どこまで協力し、どこで出し抜くかが悩ましい。1つの選択が、周辺エリアまで大きな影響を与える。歴史はもっと違っていたのかもしれない、などと終わってから考えさせられた。
God’s Playground
M.ウォレス/ツリーフロッグ(2009年)
3人用/12歳以上/180分
プレイスペース広島:ゴッズ・プレイグランド
テンデイズゲームズ:神々の遊技場