ギリシャの島々を舞台に、神々の力を得て覇権を争うゲーム。前年に発表された『ジャイアント』や、ニュルンベルクで発売された『ダイスタウン』で注目されるフランスのマタゴー社の作品で、デザイナーは『ダイスタウン』と同じカタラとモーブロン。
自分が支配する島から収入を得たら、神への捧げ物で競りをする。プレイヤー人数より1人少ない神様が並び、順番に捧げたい額のところにコマを置いてビッド。より高い額をビッドされた人は追い出されてより高いところにビッドするか、別の神様に移らなければならない。『エボ』『アメンラー』『ベガスショーダウン』で見られた「ところてん競り」である。最終的に余った人があきらめて抜けるまで続ける。
毎ラウンド最低1人は、何も行動しないで収入だけ得る選択をしなければならない。ただ、降りるにしてもさんざん値を吊り上げておいてから降りたい。ほかの人にみすみす安い捧げ物をさせてはいけない。
さて、捧げ物が終わったら行動開始。神様の並びでプレイ順も同時に決まる。神様の能力を使って軍隊を増やしたり、移動したり、自分の島に建物を作ったり、スフィンクスやメデゥーサなどのクリーチャーの特殊能力を使ったりする。
勝利条件はメトロポリスを2つ所有すること。メトロポリスはアテナに捧げ物をしてもらえる「哲学者」を4枚集めるか、4人の神様によって4種類の建物を全部建てれば手に入るが、ほかの人が建てたものを軍隊で奪ってもよい。自分の島で増強した軍隊を、海に船を並べて移動させる。戦闘は軍隊の数と、要塞(陸上)、港(海上)の数、そしてダイスの合計で、少ないほうが1体ずつ除去されていく。
地道に建設しても軍隊が大挙してやってくればあっけなく奪われるという、アグレッシブなゲームである。グダグダになるかと思われたが、適度に脱落する一方で手がどんどん進むので展開は速い。それでいて競りのビッドではどの神様・プレイ順を選ぶかか悩ましく、遊びごたえがあった。
Cyclades
B.カタラ、L.モーブロン作/マタゴー出版(2009年)
2〜5人用/13歳以上/60分