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フィジカルディスタンス(Physical Distancing)

密が避けられない

密になるとダイスを振ってお休みになってしまう今どきのワーカープレイスメントゲーム。snailcodeが昨冬発表した。病気でお休みが出ても残ったメンバーでタスクを維持できるリスクヘッジが必要となる。

ワーカーを置く「コワーキングスペース」は写真のように並べられており、それぞれ3~6つの部屋と隣接している。ここにワーカーを置いて、資金、食料、建材、薬剤という4つのリソースを獲得・変換し、最終的に貢献度(勝利点)に結びつける。ワーカーを増やせるスペースもあるが、ラウンド終了時に支払う食料も増える。食料が足りないと貢献度が減らされ、マイナスになることも。

オーソドックスなリソースマネージメントだが、同じスペース、または隣接するスペースにワーカーを置くと「病気の発症判定」がある。ダイスを振って、同じスペースなら1/2、隣接するスペースなら1/6で病気になり、そのスペースの効果は使えずにワーカーはお休みとなってしまう。2~3人置くスペースでお休みになると目も当てられない。

そのため、空いているうちに他の人より先に選べることが重要になる(スタートプレイヤーを取るスペースもある)。発症判定のない特殊スペースも少しだけあるが、ほしいアクションとは限らない。

そもそもスペースが密なため、数ターンするとほとんどダイスを振らなければいけなくなる。失敗した時の補償がないので、失敗の少なさが勝敗につながりやすい。「もう置くところがねえ!」とか言いつつ、リカバリーを考えて置く順序を考えるのは面白い。

フィジカルディスタンス
ゲームデザイン&イラスト:snailcode/snailcode(2021年)
2~4人用/10歳以上/60~90分
通販:ボドゲーマイエローサブマリン

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ウクライナ危機:ボードゲーム業界の対応

2022年2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻し、現在15000人以上が死亡し、300万人以上が避難している。国際的な影響が広がる中、ボードゲーム業界での動きをまとめた。随時更新予定。

ファランクス社(イギリス)は2月23日、SNS上で自社の2人用ゲーム『ヨーロッパ分断(Europa Divided)』でウクライナ情勢をシミュレートできると投稿。その翌日に軍事侵攻が始まったため批判が殺到し、投稿は削除され謝罪文が掲載された。その中で今後『ヨーロッパ分断』の売上による利益を全て、ポーランドに避難したウクライナ人への人道支援活動に寄付することを発表した。

カクテルゲームズ(フランス)は3月2日、自社製品『ハッピーシティ』のプロモカード「キエフの黄金の門とヤロスラフ賢公像」を5ユーロで発売。『ハッピーシティ』は日本人デザイナー佐藤敏樹氏らの『ハピエストタウン』の海外版で、たかみまこと氏がイラストを担当しており、このプロモカードもたかみ氏によるもの。売上は全額、赤十字のウクライナ人道危機救援金に寄付される。

ドイツ年間ゲーム大賞委員会は3月9日、ライフスタイル社(ロシア)からのロゴ使用料をユニセフ(国連児童基金)に寄付することを発表。ドイツ年間ゲーム大賞は非営利で運営されているが、協会の仕事、イベント、支援プログラムのために、受賞した出版社からロゴ使用料を徴収している。2020年にキッズゲーム大賞を受賞した『スピーディロール』と、21年にキッズゲーム大賞にノミネートされた『ストーリーテイラー』がこれに該当する。

フォイヤーラントシュピーレとアバクスシュピーレ(ドイツ)は3月10日、自社製品でチャリティーオークションを行うことを発表。『アーク・ノヴァ』や『グルームヘイヴン』など40タイトルのボードゲームが用意され、参加者はメールで入札する。1週間後に各ゲームごとの最高額入札者が落札して支払い。それと同額(1タイトル100ユーロまで)を同社が上乗せしてウクライナ人の支援にあてる。EU圏外への発送は行われない。

日本国内では今後、ヨーロッパからの商品到着の遅延や価格の上昇が懸念されている。