北海道滝川市のボードゲームカフェ「三河遊」を訪問
Youtube「ノンタボードゲームチャンネル」でもおなじみのボードゲームカフェ「三河遊」は、札幌から旭川方面に特急で約1時間(3000円)、滝川駅から車で7分という、旅行者にはなかなか行きにくいところにある。それでも行ってみたいと思ったのは、Youtube番組の攻めたトピックの発信と、「元銭湯」という独特な前身への興味からだった。
もの寂しい駅前通りを抜けて、あちこちに残る雪を見つつ、滝川が本店だという「松尾ジンギスカン」ですっかり満腹になった後、お店に伺う。平日は18時からの開店。すでに何人かが遊んでいた。
入口はまさに銭湯である。今でも時々、たらいとタオルを持った方がやってくるという。浴場はそのままになっており、女性更衣室がマーダーミステリー&謎解きルーム、男性更衣室がキッチンになっていて、エントランスホールがメインルーム。Youtube収録もここで行われている。
キッチンの奥はまだ浴場の跡を残していて心躍る
メインルームも銭湯の面影を残しており、人が集まっているのが自然に感じられる
風呂桶をイメージしたコーヒーカップでコーヒーを頂きつつ、Youtube番組の収録を行った後、オーナーのノンタさんこと野々山亮太氏と、店長のHARUKAさんにお話を伺った。
三河遊のオープンは2019年7月。すぐにコロナ禍に見舞われた。2021年夏にはワンオペがたたってノンタさんが体調を崩したとき、常連のお客さんで手伝ってくれたのが元保育士のHARUKAさんである。昨年、もう1人のお客さんがスタッフになり、現在3人でお店を切り盛りしている。
女性スタッフが入ったことで女性客も増え、コロナ禍も明ける前の昨年には過去最高売上を達成。今年になってからもお客さんの入りは引き続き好調だという。
オーナーのノンタさんと店長のHARUKAさん
好調の原因になっているのは170人ほどが入っているというお店のグループLINEである。田舎のお店あるあるで、お店に行っても誰もおらず、ボードゲームが遊べないということがあるが、グループLINEで誘い合うことで相席が成立しやすくなる。グループLINEメンバーはお店側で登録しているため、安心して相席募集できる。
さらにお店では人狼、マーダーミステリー、TRPG、ヘビーゲームのイベントを定期的に開催しており、これもグループLINEで参加者を募っている。先着順で、キャンセルが出ればその都度募集する。こうして9割のイベントは開催にこぎつけているという。
多くのお客さんは、このお店を通してボードゲームを知り、このお店で顔なじみになってコミュニティを形成している。「どんだけ騒いでもOK」がお店の方針で、銭湯に行ってきたかのように心も体も温まる交流が行われている。
小学生向けボードゲーム教室を頼まれたときの10のポイント
小学校や公民館などから、春休み・夏休みなどイベントでボードゲーム教室を定期的に依頼されるようになって何年にもなる。子どもたちに楽しんでもらうため、気をつけるべき点をまとめてみた。
1.「参加者数÷8」のスタッフ
子どもたちにルール説明をして、ルール通りに遊ばれているか目配りするには1人につき2卓8名ぐらいが限界である。それ以上の参加が見込まれている場合は、スタッフを増員しなければならない。ボードゲーム愛好者が頼めるならばそれに越したことはないが、そうでなければ親・先生や指導員に必要人数を伝えて確保してもらう。遊べることと説明できることは全く別なので、よほど慣れていない限り、高学年の子どもには頼まないほうがよい。
2.事前にルール講習会
スタッフがボードゲーム愛好者でない場合、子どもが集まってすぐ遊べるよう、事前講習会が必要となる。別日に行うのも大変なので、開会1時間前ぐらいに集合してもらうのがよい。担当するゲームを決めながら、テーブルに実物を並べて説明していくが、できれば1つのゲームに集中してもらえるよう、同じゲームを2セットずつ用意して、2卓分まとめてルール説明してもらうようにするとよい。事前貸出や、タイトルを発表してYoutubeなどで予習してきてもらう方法もある。
スタッフへの説明で忘れやすいのは、スタートプレイヤーはじゃんけんで決めて勝った人から時計回りに進めること、何回遊ぶのか(規定ラウンドか時間までか)、成績記録はどうするか。ルールで間違いやすいポイントも伝えておく。
3.どんなゲームを選ぶか
参加者の学年は経験上、低学年が多くなることは想定しておいたほうがよい。普段遊んでいない低学年でも楽しめるゲームには次のようなものがある。
・すごろく系:ねことねずみの大レース、ヒューゴ、こぶたのおんぶレース
・アクション系:バウンスオフ!、ストライク、カヤナック、アイスクール
・記憶系:ナンジャモンジャ、デジャブ、魔法のラビリンス
・スピード系:ウボンゴ、おばけキャッチ、ピット、ドブル、ハリガリ
定番以外に実験的な作品を1~2つ織り交ぜておくとよい。毎回同じゲームばかりでは子どももスタッフも飽きる。
4.班分けと卓移動
1班3~4名で予め編成しておいてもらう。学年が同じか近いほうが実力差が出にくい。1ゲームが終わるごとにどのテーブルに移動するか予め打ち合わせておき、スタッフの誘導や番号スタンドの掲示を行う。
5.始まる前のお約束
まずは元気にあいさつ。ゲームを始める前に、「ルールを守る(ズルしない)」「ものを大切に(なくさない)」「負けても泣かない(勝った人をほめ、次頑張る)」の3つをホワイトボードなどに書いて子どもたちと一緒に読む。ホワイトボードには、今日遊ぶゲーム名も書いておくと後で振り返るのによい。
6.タイムキーパー
1ゲーム20~30分程度で区切り、途中の場合はその時点での勝敗を決めて、次のテーブルに移動するように促す。全体の時間枠の中で何回まわせるか計算して、テンポよく進めるため、できれば子どもたちが言うことを聞く先生に進行してもらうとよい。
7.見回り確認
ルールが正しく運用されているかを確認し、質問があったら答え、間違っていたら訂正する。とはいえ細部はスタッフの裁量に任せ(子供の年齢によってハンデをつけたり簡略化したりしていることがある)、多少のルール違いに目くじらを立てないほうがよい。子どもたちが楽しそうに遊んでいるのを見て楽しもう。
8.みんなでお片付け
ゲームが終わったら、子どもたちに自分で丁寧に片付ける(続けて遊ぶ場合は、スタート時のセッティングにする)ように伝える。その際、床を見回して落ちている部品がないかも確認してもらう。
9.終わりの会で感想を聞く
最後に子どもたちから感想を聞き、拍手する。楽しく遊んでもらえたことに感謝し、気に入ったゲームがあったら買ってもらってお家の人やお友達と遊ぶよう勧める。買えるお店が近くにあればセールス風にならない程度に紹介してもよい。
10.帰る前に忘れずに
子どもたちを見送った後、自分が退出する前に、会場の床にボードゲームの部品が落ちていないか、もう一度確認する。スタッフへのねぎらいも忘れずに。感想や反省点を聞いておくと次回に活かせるだろう。