アラカルト(新版)(a la carte)
豪華になって再登場
レアゲーとしてネットオークションで高値がついていた料理アクションゲームが今年、装いも新たに再販された。旧版の写真とゲーム内容はこちら。初版は1989年である。
鍋にレシピを入れて料理する。ダイスでコンロの火力を上げ、必要なスパイスを入れて、条件を満たせば完成。火力が上がりすぎたり、スパイスが入りすぎたりすると失敗となる。ポイントはスパイスコマで、瓶から全く出てこないこともあれば、どっと出てしまうこともあり、どちらでも笑える。スパイスの中に入っている塩は料理の役に立たないお邪魔キャラ。全員のコンロの火力を上げてしまうダイス目や、絶望的な鍋を他人と交換できるコーヒーブレイクなど、芸が細かい。
新版ではレンジの火力調整がつまみ式になり、スパイスビンやコマがリアルになるなど、コンポーネントが豪華になった。箱を開けた時点で注目が集まるほど。完成したレシピをめくると、ちゃんと料理のイラストが入っている。スパゲッティ・アラビアータは血だらけのスパゲッティに斧が添えられているなど、ここでもウケを取れる(グロいので食欲は減退しそうだが)。
ルールにも変更が加えられた。ひとつはパンケーキ。新しいレシピを取る代わりに、パンケーキをフライパンにのせることができる。次の手番から、まずダイスを振って温度を上げ、2アクションでひっくり返す。失敗したらまた次の手番。こうして焦げる前にひっくり返せれば完成である。緊張するとなかなかひっくり返せない。
それからコーヒーブレイクは火力ダイスの指示でタイルを引くようになり、鍋交換のほか、追加アクションやほかの人にスパイスを入れるなどのイベントが発生するようになった。これで料理の手を止めないで、お互いの料理を邪魔できる。
Psy+さんがどんどん料理を失敗させるのでゲームが早く進む。私は余計なスパイスを入れずに完成させるともらえる星2つまで集めた(3つ集めると無条件で勝利)が、もう1つが上手くできない。新版のレシピは難易度で色分けされており、極力全種類を作らなければならないため、簡単なレシピを作り続けるということができなくなっているのだ。結局タカハシさんが得点の高い料理を成功させて1位。
ボードゲームをあまり遊ばない人にも、出しただけで注目され、さらに遊んでウケを取れる稀有なゲームが、広く遊べるようになったのがたいへん嬉しい。
à la carte
K.-H.シュミール/ハイデルベルガー出版(2009年)
3〜4人用/10歳以上/30分
ボードゲームギークゲーム(The BoardGameGeek Game)
間違って2つ買っちゃった!
実在のメーカーとなって自社製品を買ってもらうと共に、他社製品をコレクションするという、ボードゲーム好きにはたまらないゲーム。ネタゲームかと思ったら、作者はR&Dゲームズのブリーズで、ダイスを使うのにすごく考えさせるゲームになっている。
まず自社製品をお店に並べるところから。各社小箱(1)から大箱(6)まで6種類あり、裏にして対応するお店に置く。お店では、置いたマスによって値段が異なり、自分で価格設定できるようになっている。
置くゲームの数は自由。出し惜しみして後のラウンドになって品薄のとき大量にさばくこともできる。全員がパスをしたら、いよいよギークたちがお店にやってくる。
各自3つのダイスを振って、出た目のお店に置く。順番にお金を払ってダイスを振りなおしたり、隣のお店に移動したりできる。品薄のお店に殺到しても何も買えないし、コレクションの事情もあるから、別のお店に移ったほうがよいこともある。もっとも、スタートプレイヤーからの回り順や、ほかのプレイヤーの動向を見て買える商品を読まなけれならない。再び全員がパスしたら、お店の商品をオープンして、ギークがゲームを選ぶ。ブラフのブランクタイルがなくなってがっかりすることも。
スタートプレイヤーから1個ずつ、ダイスを商品の上に置く。そして各メーカーは、売れた価格で収入を入れる。ダイスを置いた商品をゲットし、売れ残った商品の価格を1つ下げてラウンド終了。
これを6ラウンド繰り返し、最後にコレクションを公開する。自社製品や、重複して買ったゲームは得点にならない(ゲーマーにはよくあること)。箱のサイズが同じものを揃えると価値が上がる。これまでゲームを売った利益と、コレクションの価値を足して多い人が勝ち。
私はクイーンゲームズで、最初から大箱の『将軍』を投入する。幸いくさのまさんに2個お買い上げ頂いたこともあって大儲け。これは売れすぎだと不買運動が始まる。「クイーンは箱が大きいんだよ!」なんてクレームも。ハンス・イム・グリュックのdjさんが『サンクトペテルブルグ』を早々に投売りして絶版状態に。「サンペテほしい〜」絶版となると欲しくなるものである。結局そのサンペテを1個だけ取っていたくさのまさんが、コレクションをほぼコンプリートして1位。私は不買運動のあおりでどんどん後退し最下位に沈んだ。
ダイスの配置に先読みと駆け引きがあってゲームとしても面白いが、出てくるメーカーもゲームも実在のものだから会話も楽しい。ボードにはさらに、いろんなゲームの箱やイラストがびっしり描かれていて、「これは何のゲーム?」なんて喋っているだけでも至福のひとときだった。
The BoardGameGeek Game
R.ブリーズ/R&Dゲームズ
3〜6人用/8歳以上/60分