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ドイツゲーム終末論

ドイツを中心に反映しているボードゲームは、数年以内に市場がしぼみ始め、10年後にはほぼ絶滅する。いくつかの定番ゲーム―人生ゲーム、ウノ、モノポリー―を除いて新しい作品は作られず、愛好者もいなくなる。

今度のエッセンでアミーゴ社から発売される『フォーインワン』を見てふと頭に浮かんだ言葉がある―それは「総集編」。テレビ番組のドラマやバラエティでよく聞く言葉だ。これで打ち止め、新しいのはもうやらないということ。

このゲームに限らず、近年はリメイクと拡張がたくさん発売されている。新しいゲームは1年以内に遊ばれなくなり、それを補うかのようにアイテム数を増やすが、新味を出せないどころか、焼き直しと調整不足で劣化さえしている。

それがアイデアの枯渇か、ユーザーの飽食かは分からない。どちらにしても1タイトルあたりの売り上げは下がっていく。新製品を作ってもペイしないから、メーカーは過去の栄光に頼って総集編を出さざるを得ない。そちらのほうが確実なのだ。

ところが新製品の開発を怠ると、当然次の世代にツケが回ってくる。ヒット作があらかたリメイクされ、たいして売れもしなかったゲームも無理やりリメイクするようになったとき、どのゲームも売れない状況が発生する。

そこで大手はボードゲーム部門を縮小し、ボードゲーム専門会社は廃業する。市場の活気がなくなれば、個人メーカーの創作意欲も落ちるだろう。大賞をとってもデパートに並ばなくなる。

一方、マニア層はどんどん重いゲームを要求する。いくつかのメーカーがこのニーズを見込んで長時間ゲームを作るが、評価を得たとしても数が売れるわけではない。値段は上がり、コンポーネントはしょぼくなり、やがてマニア層も「最近面白いゲームがない」と言って離れていく。

現在の規模は大きいからすぐにはなくならないだろうが、10年ほどもすればドイツのボードゲーム市場はこのようにしてほぼ絶滅する。

以上、ドイツゲーム終末論の仮説。この主張に対し、独自の論点に基づいて反論せよ……ってテスト問題か!?

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IGA2007ノミネート発表

IGAアメリカが主体となって新作のベストゲームを選んでいる国際ゲーマーズ賞(IGA)は8月8日、公式ページにて今年のノミネート作品を発表した。多人数ゲーム部門に11タイトル、2人ゲーム部門に5タイトルが挙げられている。
IGAはアメリカ、イギリス、フランス、オランダ、オーストリア、ドイツなどで活躍する有名レビュアー約20名から構成される委員会。各メンバーが今年のベストゲームを10タイトル選び、各1点で集計して上位10タイトルをノミネートとする。さらにメンバー内の投票で過半数に達したゲーム(達しない場合は下位を除いて再投票)を大賞とする仕組み。
目の肥えた委員が選んだゲームだけあって今年も例年通り重めのゲームが並ぶ。大賞の発表は未定。なお、歴史シミュレーション部門には『ゲームジャーナル』誌編集長・中村徹也氏の作品『激闘!マンシュタイン軍集団英語版(A Victory Lost)』:が大賞に選ばれた。
【国際ゲーマーズ賞2007多人数部門ノミネート作品】
エイジ・オブ・エンパイア3(G.ドローバー/トロピカルゲームズ)
カナルマニア(S.ケンダル、P.ケンダル/ラグナーブラザーズ)
コロッセウム(W.クラマー、M.リュプケ/デイズ・オブ・ワンダー)
アルカディアの建設(R.ドーン / ラベンスバーガー、リオグランデ)
大聖堂(M.リーネック、S.シュタドラー/コスモス、メイフェア)
ファクトリーファン(C.v.モーセル/クワリ)
インペリアル(M.ゲルツ/エガートシュピーレ、リオグランデ)
テーベの東(P.プリンツ/クイーンゲームズ)
ノートルダム(S.フェルト/アレア、リオグランデ)
時代を超えて(V.チュヴァティル/チェコボードゲームズ)
イスファハン(S.ポーション/イスタリ、リオグランデ)
【国際ゲーマーズ賞20072人部門ノミネート作品】
バトルロア(R.ボーグ/デイズオブワンダー)
コンバットコマンダー・ヨーロッパ(C.ジェンセン/GMTゲームズ)
コンヘクス(M.アントノー/クレメンス・ゲルハルズ)
メディチVSストロッチ(R.クニツィア/アバクス、リオグランデ)
ミスタージャック(B.カタラ、L.モーブラン/フリカンゲームズ、アスモデ)
IGA:Finalists Announced for 2007 IGA