たんとくおーれ(Tanto Cuore)
メイドの心をわしづかみ
アークライトが発売している「デッキ型カードゲーム」の第1弾。初版2000部はすぐに売り切れ、第2版が現在発売されているほどの人気は、ボードゲーム愛好者よりもTCG愛好者によるところが大きいようだ。アークライトはTCGショップ「ホビーステーション」全国39店舗という、強力な販売網をもつ。また、今月15日から始まる東京おもちゃショーや、来月13日からのコミックマーケットにも出店を予定しているなど、さらに販売に力を入れている。
「デッキ型カードゲーム」とは、全員同じ構成の小さなデッキから始め、それぞれ独自の戦略でカードを増やしてデッキを成長させていき、勝利を目指すもの。バンダイが『デックビルド機動戦士ガンダム』という新作を制作中であり、今後TCGを凌駕する一大ジャンルに育っていくかもしれない。
このゲームでは、はじめに「コレット・フランボワーズ」というメイド3人と、「はあと1」を7つもってスタートする。10枚のカードをシャッフルし、手札5枚を取ってスタート。カードを増やしてデッキが増えても、手札は常に5枚である。
まず手札のメイドを1枚出せる。メイドによってデッキからカードを引く「ドロー」、カードの購入額や枚数を増やす「はあと」と「雇用」、さらにメイドを出せる「ご奉仕」が得られる。そのほかに特殊効果をもつメイドもいる。
次に手札の「はあと」カードを出し、好きなカード(メイドやはあと)を購入できる。残ったカードを全部捨て札にして、次の手番用に新たに5枚引いて手番終了。デッキがなくて引けなくなったら、それまでの捨て札をシャッフルしてデッキを作る。
さて「はあと」を使って購入できるカードだが、得点だけの「メイド長」、特殊能力を持つ「一般メイド」、各1枚しかなく、デッキに入らずオープンになったまま能力を発揮する「専属メイド」、他人の専属メイドの効果をなくす「イベント」、購入力を上げる「はあと」がある。一番多く集めるとボーナスというカード、人を選んで攻撃できるカードがあるところが特徴で、インタラクションが強めになっている。
初プレイ用のデッキでは、「そば仕え」(自分の前に出すことで得点を増やす)ができる「コレット・フランボワーズ」(一番多く集めるとボーナス)、「アスール・クレセント」「ヴィオーラ・クレセント」「ルージュ・クレセント」(セットで出すとボーナス)の獲得競争がポイントのようだ。鴉さんが、自分の得点と引き換えに全員の手札を減らす専属メイド「アンバー・トワイライト」で大ダメージを与え有利にゲームを進める。私は専属メイドに頼らず「そば仕え」と「はあと」購入で6点のマリアン・ソレイユを狙ったが、手札減が響いて全く追いつかなかった。
いわゆる萌え系のイラストには関心がないが、メイドの効果にオリジナリティがあり、また専属メイドの効果が派手で独特のプレイ感がもてた。
・アークライトゲームズ:たんとくおーれ
フェデュッティ賞に『リンク』
フランスのゲームデザイナー、B.フェデュッティ氏が毎年行っているマイベストゲームに、今年はコミュニケーションゲームの『リンク(Linq)』が選ばれた。
予めノミネートしていた16タイトルから、ファイナリストとして『キクラデス』『ハンザ・テウトニカ』『リンク』の3タイトルを選び、今年一番多く遊んだゲームとして『リンク』を大賞とした。フランスのゲーマーには新しいスタイルで、アメリカゲームでもドイツゲームでもないことを評価している。
今年は注目リストを公表しなかったが、その理由として、年々発売される新作がどんどん増え、フォローしにくくなっている状況を説明。しかし量が増えることで質が下がっていないのは、ビデオゲーム、TCG、コミック、TRPGの業界が行き詰まり、ボードゲームに才能が流れ込んできているからだと分析する。そこでほかのレジャーにはないボードゲームの社会性がクローズアップされ、『リンク』や『ディクシット』などコミュニケーションゲームが成功しているという。
ファイナリストとして挙げられた『キクラデス』は、フェデュッティ氏の友人のデザイナーによる作品ながら昨年マイベストゲームに選ばれた『スモールワールド』と同じ古典的な征服ゲームで、テンポがよいこと、展開が多様なこと、コンポーネントが豪華なことなどが評価されている。
『ハンザ・テウトニカ』については、ドイツゲームらしい重量戦略ゲームであり、飽きつつあるジャンルであるけれども、するべきことが多く、計算が必要で、脳が活性化されるゲームであるという。
ほかにノミネートされたタイトルについては下記のリンク参照。
・Bruno Faidutti:Mon jeu de l’année 2010
・ゲームストアバネスト:リンク