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ゴンザーガ(Gozaga)

ヨーロッパ中央の激戦
ヨーロッパ全土を舞台に、さまざまなパターンの六角形タイルを並べて領土を奪い合うゲーム。ゴンザーガとは、イタリア北部を13世紀から400年近く支配した一族の名前。昨年のエッセンでイタリアのdVゲームズ(旧ダヴィンチ出版)から発売された。六角形タイルの造形がひときわ目を引くが、見かけだけではない。
六角形タイルは、六角形を3〜4個つなげた形をしており、端にお城がある(お城は海にはみ出して置けない)。パターンは『ブロックス』のようにさまざまあって、構成はみんな同じだ。ラウンドのはじめにまず領土カードを引いて、今回使う六角形タイルが決まる。そのかたちを見て、どこに置いたらよいか考え、アクションを選択する。アクションは国(イギリス、フランス、スペイン、ドイツ、イタリア、東欧の6種類)と、地形(港のみ、都市のみ、都市+港)の組み合わせ。みんなが選んだら一斉にオープンして、アクションに沿ってタイルを置く。
1枚2枚置いてみて初めて気づくことだが、タイルは思いのほか広く、どの国も置き場はすぐになくなってしまう。だから先に置けることが重要で、手番順の決定方法がゲームの大きなポイントになっている。
基本は選んだ地形によって順番が決まる。最初に「港のみ」のアクションを選んだ人、次に「都市のみ」、最後に「都市+港」。だから「都市+港」の手番が来る頃には、どちらも取られてしまっている可能性が高い(その場合は1マスだけ占有できる)。そこで「王の命令」というアクションがあり、有限の指輪を消費して、優先的に手番を行うことができる。同じアクションを選んだ人がいる場合は、タイル番号で決まる(全てのタイルに番号が付いていて、置きにくいタイルほど番号が若い)。
全員がタイルを置いたら、次のタイルを決め、アクションを選択する。前のラウンドで選んだアクションは連続してできないため、国も地形もどれかに特化できず、満遍なくタイルを置かなければならない。2ラウンド、3ラウンド後まで考えたアクションを選択しないと、得点が稼げないだろう。
得点は、自分のタイルを置いた都市や港のほか、同じマークの港、つながっているタイルの枚数、そしてゲームの最初に配られるマークのついた都市で入る。つながっているタイルの枚数は得点が高いが1位だけなので、競争は熾烈。特にヨーロッパの中央にあたるドイツ南部〜イタリア北部の陣取りが熱い。あえてその争いに加わらず、港や都市のマークを狙うほうが得なことも。
都市と港のマークが3つ以下になったら、最終ラウンドでゲーム終了。考えることはあるが、だいたい1時間強で終わる。
序盤にタイルをつなげるのは得点の低い周辺国からスタートした私は、競争の激しいヨーロッパ中央への足がかりを失い、タイル枚数の競争から早々と脱落してしまう。でも諦めきれずに得点の高くないエリアにタイルを置いて最下位。都市や港のマークに移行するのが遅すぎた。トップは、タイル枚数から早めにマーク揃えを進めたかゆかゆさん。都市はコンプリートで、港もたくさん集めた。
タイルに合わせたアクションの選択は常に悩ましく、さらに先手を取れるかどうかの瀬戸際が輪をかける。ボードが地図になっているゲームで、国を取ったり取られたりするのは私の好みではないが、このゲームは一度置いたタイルは安全で、常にその先のことを考えていけるのが気に入った。置きたいところに先に置かれて「グハ!」「ギョエ〜」などと悲鳴が上がるのも盛り上がってよい。1時間、熱中して楽しめた。
Gonzaga
G.ドゥッコーリ/dVゲームズ(2009年)
2〜4人用/8歳以上/45分

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ドンキホーテ(Don Quixote)

次はここに来て!
下級貴族だったドンキホーテが、騎士道物語を読んで自分の国の街づくりを妄想する。道をどうつないで、どこに騎士を配置するか? 若手ドイツゲームデザイナーとしてコンスタントに作品を発表してきたR.シュタウペの今年の新作。
マイボードに自分のタイルを配置していくタイプのゲーム(『テイクイットイージー』『シティーズ』)で、ほかの人とは得点だけを競う。タイルは、出てくる順番が異なるだけで、構成はみんな同じ。全体的な計画と、臨機応変な対応でライバルに差をつけよう。
ラウンドの最初に、自分のタイルから決まった枚数をめくる。座標カードを1枚ずつめくると、タイルをどこに置くかが指定されるので、めくったタイルから1枚選んで置く。めくったタイルがなくなったら得点計算。次のラウンドのタイルをめくって、また座標カードに従って1枚ずつ配置する。3ラウンドで全部のタイルを配置し、最後の得点計算をして、得点の多い人が勝ち。
得点パターンはいくつかあって、まずお城からつながっている道に騎士がいれば得点、それと道続きの風車、道続きの教会は多ければ多いほど得点が増える。そして国防。ボードの外縁に騎士を配置していれば、外敵から国を守っていることになる。この騎士が一定数いれば得点。このほかに最終ラウンドには、道続きで一番多くつながっている騎士が得点になる。
できればどのパターンでも得点を重ねたいが、そう上手くはいかない。タイルを配置する座標は完全にランダムだし、めくっているタイルの中から選ばないといけない。「今あの座標が出てくれたら、このタイルを置いて最高なんだけどな」と思っても、全く別の座標が出てくる。座標カードをめくるたびに、小躍りしたりため息をついたりで(ため息のほうが多い)。まるで抽選会のようだ。
序盤はそんなふうに先が読めないけれども、終盤になるほど残りのタイルと空きマスが減ってくるので、ある程度の見通しは立てられる。特に騎士は3種類の得点パターンがあるため、どれがベストかよく考えておきたい(すでに手遅れでなければの話だが……)。
風車が序盤からよくつながったのと、6点の建物と国防の騎士がうまくマッチしたのとで1位。それぞれ別のマイボードに取り組んでいるのに、同じ座標で一喜一憂するところに連帯感を感じた。
Don Quixote
R.シュタウペ作/ペガサスシュピーレ(2010年)
1〜4人用/8歳以上/20分