『モダンアート』、アンティーク切手ゲームに
東京・中野のボードゲーム専門店ドロッセルマイヤーズ、話題の国産ゲームを制作しているオインクゲームズ、東京・立川のボードゲーム輸入卸ニューゲームズオーダーは6月12日、R.クニツィアの名作オークションゲーム『モダンアート』を三社合同でローカライズし、『スタンプス』として発売する。3〜5人用、10歳以上、45分、3800円。
ニューゲームズオーダーが版権を取得し、オインクゲームズとドロッセルマイヤー商會に制作を依頼。『藪の中』などで定評のあるオインクゲームズがアートディレクション、ボードゲームのモノとしての魅力を提示するドロッセルマイヤーズが総合プロデュースを担当。アンティーク切手をオークションで購入し、人気とレア度によって変わる価格で売って儲けるゲームが完成した。
『モダンアート』は1992年にドイツのハンス・イム・グリュック社から発売された。5種類の競りが楽しめる、オークションゲームの決定版として高い評価を受け、ドイツ年間ゲーム大賞ノミネート、ドイツゲーム賞1位を獲得。その人気は20年近くたった今も衰えず、アメリカ、北欧、中国でローカライズ版が発売。2009年にはドイツでもリメイクされている。
このたびのローカライズでは、絵画のカードを、コンパクトな切手タイルに変えた。ゲームシステムには一切の変更を加えず、「人に見せたい」「持ち歩きたい」「懐かしいのに新しい」ゲームを目指したという。70枚の切手イラストは全て描きおろしで、建築物、乗り物、植物、動物、人物の5種類にカテゴライズされる。紫色の小箱にきっちり収納でき、持ち運びにも便利だ。
ゲームマーケットが初売りで、ゲームマーケット後はドロッセルマイヤーズをはじめ、ボードゲーム専門店で取り扱われる予定。
・ボードゲームおっぱい:スタンプス(前編)
パンテオン(Pantheon)
捧げ物も建設も手広く
ハンス社の社長が『サンクトペテルブルグ』『ストーンエイジ』に引き続いて発表した作品。これが社長の特権かというぐらい箱が厚くて驚く。コンポーネントもいろんなタイルやらコマやらぎっしり。
ゲーム内容はこちら。捧げ物をして神タイルをゲットし、その特殊能力でゲームを有利に進めていくという成長要素と、神タイルのほかにいくつかある得点方法による戦略の多様性や、民族カードの出現順序による展開の多様性で、本格的なゲーマーズゲームとなっている。
手番にできることは移動(ボードに足や柱コマを置く)、捧げ物をして神タイルを取る、捧げ物タイルのグレードアップやコマの購入、カードを引くの4つのいずれか。捧げ物が足りなかったり、移動力やお金を貯めたりするので、実際はカードを引く場合が多い。しかしのんびり手札を貯めこんでいると、ほかの人が先に神タイルを落としたり、ボードにコマを置いたりして、ラウンドが終わってしまう。どこまで貯めて、どこで行動に出るかがポイントだ。
今回、私は序盤から足を手に入れて、ボード上に真っ先に広げる作戦。柱の建設を最優先してみたが、その分捧げ物がおろそかになり、神タイルがなかなか手に入れられない。tomokさんも柱を狙っていたため、バッティングして移動コストが上がり、柱もあまり建てられなかった。その間に、鴉さんがどんどん神タイルを落としてやりたい邦題。柱を捨てて、神タイルに特化する作戦で、神タイルの特殊能力のコンボも生きる。
しかし最終得点計算、それまでビハインド気味に見えたくさのまさんが、半神タイルをたくさん集めており、さらに神タイルのボーナスなどももっていて逆転。私は最後に入る柱にかけたが、神タイルで手を抜いた分を挽回できなかった。どれかに特化しても勝てず、バランスよく、効率よく得点に結び付けなければならないゲームである。
後半になると、捧げ物タイルをグレードアップしているおかげで神タイルは瞬殺。あっさりラウンドが終わる。そのため終盤の盛り上がりをやや欠いた感があったが(もう終わり?みたいな)、それだけ中盤に、どの方向に重点を置くかという選択でよく考えなければならないようだ。
Pantheon
M.トゥメルホファー(B.ブルンホファー)/ハンス・イム・グリュック(2011年)
2〜4人用/10歳以上/90分
メビウスゲームズから発売予定