パックス(PAX)
敵に塩を送るな
紀元前1世紀、剣闘士スパルタクスは奴隷の反乱を起こし、共和制ローマを脅かした。これが「スパルタクスの反乱」である。2年間にわたる戦乱の末、反乱軍は鎮圧され、三頭政治によって平和が訪れた。
このカードゲームでは、その反乱軍となってローマと戦うゲームである。全員ローマ軍に鎮圧されてしまうか、ローマ軍を打ち破って一番の手柄を立てるか。敵はほかのプレイヤーだけではない。
影響力を競うカードは富、艦隊、軍隊、宗教、元老院、土地、陰謀の7分野。まず自分の番にはカードを3回引き、そのうち1回を手札に、1回を市場に、1回を山札に戻す。順番は自由。もっといいカードが来るかなと思って手札に入れないと、それ以上いいカードが来なくてガッカリとか。市場に出したカードも後で入手できるが、お金がかかる。
次に手札から自分の前にカードを出す。各種類1枚目は無料、2枚目は1金、3枚目は2金……と影響力をマスにつれて出しづらくなっていく。収入は毎回少ししか入らないので、市場で買い物などしているとすぐ何も出せなくなる。
自分の前に出したカードは、それぞれ効果をもたらしてくれる。「宗教」はカードを多く引くことができ、「元老院」は収入を増やし、「富」は市場から買うコストを減らす。「土地」か「陰謀」がないと「艦隊」「軍隊」を出せないという縛りある。「陰謀」はこのほかに、最後にローマが勝ったときに反乱軍の裏切り者として勝利するチャンスをもたらす。
ラウンドの最後に、市場の中から何枚かがローマ軍にいく。市場のカードを買わないとローマ軍を強化してしまうし、買えばお金がなくなってしまうしで苦しい。ローマ軍はこのほかに、はじめから裏向きにもっているカードもあって、強さは計り知れない。山札がなくなったらゲーム終了。いよいよローマ軍の全貌が明らかになる。
7つの分野で半分以上、ローマ軍を上回るプレイヤーがいなかった場合、ローマ軍の勝利(=「陰謀」でトップのプレイヤーの勝利)。誰か1人でも上回っていれば、自分の前に出しているカードや所持金で得点を競う。
「宗教」などの特殊効果を先に攻める私とkarokuさんに対し、ふうかさんは序盤から戦力を強化する作戦。資金的に苦しい中でも、無理をして攻める。「土地」の多くがはじめからローマ軍がもっていて、入手難になっていることに気づいたらしい。それに気づかず後回しにしたら、ほしいときに出てこなくて軍隊も艦隊も増やせなくなってしまった。結局反乱軍が勝ち、多くの分野でローマ軍を上回ったふうかさんの勝ち。
「ローマの艦隊が強くなりすぎてるけど、誰か勝てる?」「オレはもう無理、頼む」「こっちも無理そう」「じゃあ頑張るよ」みたいな協力があって苦しくも楽しかった。反乱軍が勝ちそうだと分かるとすぐ、反目が始まるのだが。
PAX
B.アイゼンシュタイン/アイロンゲームズ(2011年)
1〜4人用/10歳以上/30分
テンデイズゲームズ:パックス
ドイツ大統領、ボードゲーム記事の掲載中止を要請?
ドイツのボードゲームニュースサイト「spielbox-online」は、C.ヴルフ・ドイツ連邦大統領名で、ボードゲーム情報誌『シュピールボックス』にレビュー記事の掲載中止が要請されたことを明らかにした。同サイトでは「報道の自由への攻撃か」と反発している。
年明けに大統領名で編集部に届いたメールの全文が公開された。その中で大統領は、U.バルチ記者が『祈り、働け(Ora et Labora)』を次号にレビューすることを聞き、「我が国最悪のレビュアー」が教会のゲームをレビューすることに憤りを訴えている。
C.ヴルフ大統領は中道右派の政党・ドイツキリスト教民主同盟(CDU)に属する。U.バルチ記者はドイツ年間ゲーム大賞の審査員も務め、『シュピールボックス』では辛口の批評で知られている。以前、『ルナ(Luna)』のレビューで修道士、修道女をからかったことから、大統領の怒りに火をつけたという。掲載中止の要請が受け入れられない場合は戦争になるだろうとまで書かれている。
メールが本当に大統領から出されたものであるか、またシュピールボックス編集部がどのような対応を取るかはまだ明らかにされていない。
物議を醸している『祈り、働け』は日本語版が2月25日に発売予定。
・spielbox-online:Angriff auf die Pressefreiheit der spielbox?