ハンティングフィーバー(Jagdfieber)
狩りの食物連鎖
エッセン国際ゲーム祭で、面白いブースがあった。各種カードスリーブを扱うスワンパナシア(台湾)と、ドイツのメーカーが連結して出展していたのである。ゲームマーケットでも見かける、あの白鳥の帽子のとなりで展示されていたのがこのカードゲームだった。ドイツゲームらしい、地味ながら美しいイラストのパッケージに、テキストのないカード。近年のエッセンで、こういったゲームはあまり見かけなくなった。
スワンパナシア社はこの会社の輸入代理店である。今秋のゲームマーケットでこのゲームの英語・広東語版を販売しており、くさのまさんが買ってきたという。
スマイリング・モンスターゲームズは2010年、ドイツのアーヘンで3人のボードゲーム愛好者が立ち上げた。初心者向けに独創的でありきたりでないゲームを作ることを目標としている。このカードゲームのテーマは狩り。ハンターはオオカミを狩り、オオカミはウサギを狩り、ウサギはニンジンを狩る中で、いかに狩られないようにして狩るかを競う。
全員の手札は同じで、1枚ずつ出して一斉に公開する。ハンター、オオカミ、ウサギの順にチェックして、ハンターに狩られなかったオオカミがウサギを取り、オオカミに食べられなかったウサギがニンジンを食べ、ウサギに食べられなかったニンジンは自分で収穫できるという仕組み。
ハンターのオオカミを狩る前に、誰かが禁猟日カード(ハートのマーク)を出していたら、ハンターを出した人は貴重なハンターを失うだけでなく、ペナルティーで失点になってしまう。ペナルティーがあったら、禁猟日カードを出した人は得点。このため、いきなりハンターを出すのは危険である。
禁猟日カードがなければハンターは時計回りに一番近いオオカミを狩って得点にする。ハンターがいないか、狩られずに生き残ったオオカミはウサギを狩って得点に。同様に、オオカミがいないか、狩られずに生き残ったウサギはニンジンを得点にする。食物連鎖のようだ。
オオカミを狩ったハンターは手札に戻ってまた狩りに出られるが、ウサギを食べたオオカミと、ニンジンを食べたウサギは1ラウンドの間、満腹となって場に残る(その後で自分の得点になる)。次のラウンドには確実に狙われるだろう。これが次のラウンドに出すカードの手がかりとなる。
獲物がなかったオオカミやウサギも手札に戻る。このため狩りができないと手札が減らない。誰かの手札がなくなると1日の終了で、手札は全て失点。だからどんどん狩りを成功させないといけない。
最初は何を出したらよいか分からず様子見だったが、狩りに成功したオオカミやウサギが場に残ると、狙い目が分かってきた。ニンジンがたくさん出された次のラウンドは、ウサギを出す人が多いだろうから、オオカミでいこうかなとか、いや誰かがオオカミを出すんならハンターかなとか、読み合いが楽しい。裏の裏をかいて自滅する人が続出する中、確実に狩りを成功させたtomokさんの1位。
Jagdfieber
S.ツラティンティス/スマイリングモンスターゲームズ(2011年)
3〜5人用/8歳以上/30分
Smiling Monster Games:Jagdfieber
ゲット・ビット!(Get Bit!)
あくまでロボットですから!
サメに追いかけられるロボットたち。逃げ遅れたロボットは、手足を1本ずつ食いちぎられ、脱落していく。生き残るロボットは誰か? カードスリーブや木製コマなどのアクセサリで知られるアメリカのメーカーによるブラックユーモアのゲーム。
各プレイヤーが受け持つロボットは、手足が取り外し可能になっている。これを一列に並べ、一番後にサメを置いてスタート。逃げろや逃げろ。
全員同じカードをもっており、その中から1枚出して一斉に公開。数字の小さい人から、その数だけ前に進む。前といっても相対的な位置で、1だったら1体追い越し、2だったら2体追い越す。バッティングした人は進めない。大ピンチ!
全員が移動した後で、一番後だったロボットはサメに噛み付かれて、手か足を1本取り外す。その代わり、勢いで1番前まで進み、今まで使ったカードを全て手札に戻せる(それ以外は、全部使い切らない限り戻らない)。
こうして、手足が全部取り外されてしまったロボットは脱落。残ったロボットで地獄のレースを続ける。残る2体になったとき、前にいるほうが勝ち。まさにサドンデス。
カードはでたらめに出していてもいけないことが分かったときは時すでに遅し。ほかの人が何を出せないかを記憶し、サメに近い人が何を出しそうか読むべきだった。私は早々に脱落したが、carlさんの読みが冴えて無傷の勝利。ロボットだと分かっていても、インパクトは強烈。バッティングして進めないときには本当に焦る。
Get Bit!
D.チョーカー/メイデイゲームズ(2007年)
2〜6人用/8歳以上/20分