政権交代(Machtwechsel)
ドイツの政治に詳しくなりたかったら
このような作品があるからドイツゲームは奥が深いと思う。指示された政党で連立政権を樹立するという、超真面目なカードゲーム。カードには1枚1枚、写真入りの政治家プロフィールや、選挙制度にまつわるウンチクがぎっしりと書いてある。翻訳を終える頃には、ドイツの政治にだいぶ詳しくなっていた。
ドイツは今度の日曜日(22日)、連邦議会選挙が行われる。A.メルケル首相率いる与党、キリスト教民主・社会同盟が優勢だと言われている。ドイツ連邦議会は、日本のような小選挙区と比例代表の併用だが、規定票数・議席を獲得できない政党は議席が与えられない。ナチスの台頭の反省から、小党乱立を防ぐためである。それでも、過半数に達せず連立政権を組むことがこれまでたびたびあった。キリスト教民主・社会同盟と社会民主党という大政党が2005年に「大連立」を組み、そのときA.メルケルが首相に就任したのである(ほとんどの日本人にとってはどうでもよい知識)。
このゲームでは、はじめに任務カードが1枚配られる。「黒(キリスト教民主・社会同盟)の単独政権を樹立せよ」「黒・赤(社会民主党)の大連立を樹立せよ」など、色分けされた政党が指示される。そのカードを規定数集めることがこのゲームの目的だ。
手番には、カードを引いて捨てるか、捨て札から1枚買うか、イベントカードを使うのが基本。このほかに他のプレイヤーと交渉して交換したり、売買したり、パスしてお金をもらったりすることもできる。
集めている色のカードが3枚集まったら公開しなければならない。銀行からお金をもらえるが、ほかのプレイヤーからイベントカード「不信任投票」で活動休止に追い込まれる恐れもある。先に集まったほうが攻撃を受けやすいだろう。
4人で30分くらい。私の目標は黒の単独政権。お金を貯めこむくさのまさんとbashiさんを尻目に、地道に集めようとしたがなかなか引けない。そのうちサガエさんが赤のカードを公開。どんどん付け足して増やしている。そろそろ不信任投票を出そうかというところで、サガエさんが任務を達成。赤と紫(左翼党)の連立政権を樹立するという任務だった。赤にも紫にもなるO.ラフォンテーヌ(社会民主党党首だったが左翼党に鞍替えした政治家)が効果的だった。
ゲーム内容はわざとかといえるほど簡単にして、カードのテキストを読んで「へぇー」となることを目指したゲームのようだ。
Machtwechsel
R.クラウゼ/ヘプタゴン(2011年)
2~6人用/12歳以上/30~45分
・ゲームストア・バネスト:政権交代
・heptagon:Machtwechsel
映画『人狼ゲーム』10月26日公開
7月に発売されたミステリー小説『人狼ゲーム』(著・川上亮)の映画版が、10月26日(土)から公開される。監督・熊坂出、主演・桜庭ななみ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー。
高校2年生の愛梨(桜庭ななみ)は、下校中に何者かに拉致される。目覚めると周囲には複数の男女が横たわっていた。不可解な状況に戸惑う愛梨たちに、人狼ゲームのプレイ開始が宣告される。拒否権はない…。彼らはなぜここに集められたのか? そして、生き残るのは誰か? 生死を賭けたゲームが、いま始まる!
主演の桜庭ななみ氏は撮影にあたり、ドキュメンタリー風に作りたいという監督の意向に答えて、先読みせずにその時その時のリアルな感情を大切にしたという。誰が人狼か分からない中で村人が次々に消えていく恐怖と、お互いの正体を探りあう会話のスリルが、映画でも楽しめそうだ。
・人狼ゲーム公式
・クランクイン!!:桜庭ななみ主演『人狼ゲーム』公開決定 あの”疑心暗鬼ゲーム”がついに映画化