ルイナス(Ruinous)
なくなっていくボード
廃墟となった「霊都」を周回してカードを集め、勝利点を競うゲーム。ゲームの背景設定にこだわるBakaFire Partyの第4作である。ダイスを使用するが、振るのではなく、カードを使って出目を変え、狙ったマスにたどり着いたり、ほかのプレイヤーを攻撃したりする。運に左右されないダイスゲームである。
手番の最初には手持ちのカードを「起動」してダイスの目を変えることができる。最初もっているのは「リバース」と「シフト1」のみ。「リバース」はサイコロを逆さまにするもの、「シフト1」は±1するもの。ゲーム中に獲得するカードによって、さらに移動力を足したりできる。
移動は六角形の廃墟を時計回りに進む。そして移動先に置いてあるカードを獲得。カードがなくなったところでは、何とボードを取る(「解放」)。このボードは重要な得点源となるので、カードがなくなったところをいち早く目指さなくてはならない。
また、移動先の中央ボードエリアに「感応マーカー」を置くことができ、これも特殊効果や得点を生む。置いたときにダイスが逆さまになってしまうエリア、全部のマスが埋まらないと得点が入らないエリアなど、一癖も二癖もあって面白い。
ボードを1周するたびに「魂のかけら」と「運命マーカー」がもらえる。「魂のかけら」は使用済みのカードを「再起動」するのに必要で、運命マーカーは得点になる。つまり、どんどん出目を上げて早く回ったほうがよいが、数字の大きい目はパワーが低く、より強いプレイヤーと同じマスに入った場合、運命マーカーを奪われてしまう。カードを使って強いプレイヤーをうまく避けていこう。
カードはいくらでも持てるわけではないところもポイント。このゲームの貨幣である「ウィル」を置かないと維持できないため、ウィルを補充しておかないと、新しいカードを増やせない。ウィルがぎりぎりの中で、どのカードを捨ててどのカードを残しておくかがポイントである。
3人プレイで30分ほど。攻撃をかわしつつ、周回スピードを上げてボードを集めに行く作戦。奪われても気にしない。スタートダッシュが奏功し、中央ボードの得点で漁夫の利もあり1位。一度使ったカードは再起動まで使えなくなるので、カードを使う順番を考えて進むのが面白かった。さらにほかの人がどこに移動しそうかもある程度見えるため、先を読む力が試される。ボードを取り外してしまうという突飛なシステムと相まって、異色のダイスゲームである。
ルイナス
BakaFire / BakaFire Party(2014年)
3~4人用/12歳以上/30~40分
Amazonの星1レビューが面白い
ポッドキャスト「枯れ井戸雑記:雑記-02:Amazonレビューをエンターテインメントとして楽しもう!」を聴いた。パーソナリティのナヴェさんは、Amazonレビューウォッチャーで、評価が「★☆☆☆☆」(最低)のレビューが面白いという。星1を付けて酷評することで一部に有名なレビュアー「星1徹」さんを紹介している。
そこでボードゲームの星1レビューを探したところ、たいへん面白いものが多かったのでご紹介。反論したい向きもあるだろうが、ナヴェさんが提唱しているように、ネタ、エンターテインメントとして楽しむのがよいと思う。
「これ、作った人、テストプレーやったん?」(『カタンの開拓者たち』)
天下のクラウス・トイバー先生になんてことを。資源を手に入れるのがダイス目次第というところから、勝つのも負けるのも運だけで考えるところがないというシーフードエビ蔵さん。「ビンゴゲームを2時間もする気はないわぁ」とも。ルールが煩雑で未消化であるとし、この発言で締めくくっている。世界50カ国で累計2200万セットが販売されているボードゲームといえども、合わない人には合わないものだ。
「おそらく理解できたとしても、まだババヌキの方が面白いだろう。」(『ニムト』)
グリム童話の「酸っぱいブドウ」か。ルールを何度か読んで理解できなかったモリゾウさん。「処理します」とか「引き取る」とかが分からなかったという。よほど悔しかったのか、この発言で締めくくった。
「もうこの手は懲りました。9,000円弱の授業料と割り切りました。」(『アグリコラ』)
授業料にしてはもったいない気が。『アグリコラ』は確かにルールが難しい。そのため遊ぶところまで行き着かない方が出てしまう。『ハリガリ』や『ゴキブリポーカー』から一足飛びに挑戦して遊べなかったというえびさんに寄せられたコメント。この投稿は参考にならなかったと投票した人が多数いたため、非表示になっている。
「数人がかりで一人をのけ者にしてコソコソするのが好きな人はいいと思います。」(『スコットランド・ヤード』)
イジメ良くない。怪盗Xが仲間はずれでつまらないというscifi “scifi”さん。怪盗X役だったのか「リーダーはゲームに参加できない感じで、泣きそうになります」とも。
「弟は俺に強制的にやらされているストレスに耐えかねてカッターナイフを持ち出して私を切りつけてきました。」(『レジスタンス・アヴァロン』)
リアル・レジスタンス。友達が作りたくて買ったが全然できなくて、乗り気でない家族と遊んだというビリー・ザ・キッド “KID”さん。お母さんは家事で頻繁に席を立ち、お父さんはテレビ、お兄さんは携帯。鉄拳で強制参加させた弟はビクビク。あまりのやる気のなさに「やるときはまじめにやろうぜ!」とブチ切れると、みんな黙ってしまって通夜のような空気になったという。そしてついにこのような事件に発展。「私の腕にスパっと真っ赤なナイキのマークが刻まれていました。」お大事に。