ワールドモンガー(World Monger)
文明を育て、儲ける神々
神々がエジプト、ギリシャ、インド、漢、大和など15文明の発展を見込んで、株券を買っていくという壮大なスケールの国産ゲーム。ゲームマーケット2014秋で「遊星からのフリーキック(遊星ゲームズ)」が発表した。文明の発展はデッキ構築で行われるが、それぞれの文明はプレイヤー固有のものではない。自分が株券を買った文明の利益が上がるように、新しいカードを仕込むというツイストの効いたゲームだ。320枚という圧倒的なカード分量と、15文明のうち毎ゲーム4文明しか登場しないというリプレイアビリティも注目どころ。
場には文明ごとに4つの列があり、初期デッキと、今回使うサプライ(ゲーム中にデッキに加えられるカード)が用意される。各ラウンドはまず、それぞれの山札から5枚がめくられる。カードの中に配当マークがあれば株主に収入。また各文明の筆頭株主が5枚を見て、効果を使うかどうか決める。効果は、デッキから追加でカードを引いたり(都市)、カードを破棄してデッキを圧縮したり(巫女)、ほかの文明に価値の低い「村人」を引かせたり(ドルイド)とさまざま。
その後、株券の売買ができるが、価格はその時点で並んでいるカードの価値の合計。価値が低いタイミングで買って、サプライから価値の高いカードを加えることで、利幅が増えていく仕組みだ。売買の後は、各文明の筆頭株主がカードを1枚ずつ追加する。サプライのカードが2種類なくなったらゲーム終了。
たいていの株券はゲーム終了時に紙切れ同然になってしまうので、タイミングを見計らって売り抜けたいところだが、カードの中には「終了時価値」がついているものもあり、こちらが高そうな文明だったら株券を手放さないほうがよくなる。いつ売るか、あるいは売らないかが悩ましい。
4人プレイで40分ほど。1ゲーム目はエジプト、ミノア、ナスカ、マヤが登場し、早めに株券を買ってじっくり育てる流れとなった。全体的に売値と買値が大きく変動しない中、エジプトの終了時価値が伸びて私の1位。2ゲーム目はケルト、北欧、バビロニア、大和。ケルトからは攻撃カードの「ドルイド」が展開し、北欧では「海軍」でデッキが膨れ上がるという一転して派手な展開となった。バビロニアの「空中庭園」がうまく揃って大量得点できた私の連勝。
文明によってサプライが決まるが、文明の組み合わせによってある文明のサプライがほかの文明に流れ(ナスカにピラミッド!など)、思わぬ展開を見せることがある。登場した文明の初期デッキから、どのように伸ばすか考えるのが楽しい。
ワールドモンガー
寺島由人/遊星からのフリーキック(2014)
2~5人用/45分
・遊星ゲームズ:ワールドモンガー
ドイツ市場2014、前年比2.8%縮小
ドイツの主要19社からなるボードゲーム出版社協会は、昨年のドイツでのボードゲーム・カードゲームの売上が前年比で2.8%縮小したことを発表した。売上総額については明らかにしていないが、「近年は3億8000万~4億ユーロ(507~534億円)の間を推移している」としている。
大人用ボードゲームで8.5%減、戦略ゲームに限ると13.6%と落ち込みが激しく、少子化の影響により、キッズゲームも7%減。3分の1ほどを占める古典ファミリーゲーム、アクションファミリーゲーム、ダイスゲーム、ワードゲームが8.6%増と好調で、全体の縮小幅を抑えているという。
H.フッター代表は「過去10年間にデジタルゲームのブームや、ドイツで2005年から出生率の低下があったにも関わらず、ファミリーゲーム、キッズゲームで高い売上水準を維持している」と述べているが、国際的にみるとドイツゲームの影響力が弱まっている様子が伺える。
・Spielverlage e.V.:Klassische Familienspiele waren 2014 Trumpf