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金採掘で財を成す『ゴールド・ウエスト』日本語版、1月25日発売

Goldwestjアークライトゲームズは1月25日、『ゴールド・ウエスト(Gold West)』(第2版)の日本語版を発売する。ゲームデザイン:J.A.ケヴァーン、イラスト:V.デュトレ、2~4人用、14歳以上、45~60分、6380円(税込)。

2015年にTMG社(アメリカ)から発売された作品を、トリック・オア・トリートスタジオがアートワークを一新し、バランス調整してリメイク。ゴールドラッシュ初期のアメリカ西部を舞台に、幌馬車で移動し、金を採掘して街での影響力を競う。

金・銀・銅・石材・木材といった資源はマンカラのメカニクスで表される製錬によって獲得する。上流で製錬すれば高得点になるが入手まで時間がかかり、下流で製錬すれば資源をすぐ利用できるが得点は手に入りにくい。

手に入れた金属は投資や運送などで勝利点にし、資材は建設に用いて新たな資源を得る。資材が足りなければ略奪も。全員がキャンプを配置したらゲーム終了で、条件達成などによる合計得点で勝敗を決める。適切なタイミングで適切な資源を製錬し、高得点につなげよう。

第2版では新リソース「水」が加わる拡張「急流」も同梱されている。

内容物 (基本ゲーム用)フレームタイル 4枚、地形タイル 8枚、水路タイル 1枚、採掘トークン 56個、プレイヤーボード 4枚、得点マーカー 4個、キャンプ 48個、影響力トークン 48個、駅馬車 12台、街タイル 12枚、4VPタイル 1枚、投資カード 20枚[カードサイズ 44mm×67mm]、投資ボーナストークン 5個、運送ボーナストークン 12個、手番順マーカー 4個、資源 92個、ルール説明書 1冊、プロモタイル 6枚/(拡張ゲーム「急流」用)拡張用の投資カード 4枚、水タイル 1枚(4VPタイルの裏面)、運送トークン 1個、水トークン 10個

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「ゴーアウト系」が海外で通じない?

Yokokara Shitsurei2 Manゲームマーケット2023秋のトレンドに、トリックテイキングゲームと並んで「ゴーアウト系」が目立った。「ゴーアウト系」とは、最初に手札を出し切った人が勝つカードゲームで、『ウノ』のように色や数字が合っていれば出せるもの(「マッチング」)と、『大富豪(大貧民)』のようにより強い役があれば出せるもの(「ラダークライミング」)がある。ゲームマーケットで人気なのは後者で、『SCOUT!(2019)』や『ナナトリドリ(2022)』がヒットし、ゲームマーケット2023秋では『OPEN(商業版)』『LOOP』『ゴーレム』『ELEVEN』などの新作が注目されている。

ゲームマーケット2023秋でヤポンブランドの方から、エッセン・シュピールで「ゴーアウト系(going out)」が通じなかったというお話を伺った。当サイトでもよく使う言葉なので、国際的には何と呼ぶのが一般的か気になるところである。

まず『ゲームメカニクス大全』の「ラダークライミング(CAR-02)」では次のような記述があり、「ゴーアウト」は和製英語ではないということがわかる。

手札をすべてなくすことは「ゴーアウト(ゲームから抜ける)」とも呼ばれ、一般的にラダークライミングゲームの目標であり、多くの古典的なゲームでは、これが勝利条件となっている。(Shedding all your cards, also called “going out” is generally a goal in Climbing games, and in many classic shedding games it is the win condition.)

この説明の中にも言葉として見られるが、Wikipediaの「カードゲーム」の項目では「シェディングゲームズ(shedding games)」または「シェディング系(shedding-type games)」という分類がある。その中には「ゴーアウト系」という用語は見られない。”shed”とは「(涙を)流す」「(葉を)落とす」「(服を)脱ぎ捨てる」という意味があり、要らないカードを切ってすっきりするというようなニュアンスである。

シェディング系のゲームでは、プレイヤーの目標は手札のカードまたはタイルを他のプレイヤーよりも先になくすことである。(In shedding-type games, the player’s objective is to empty one’s hand of all cards or tiles before all other players.)

トランプゲームでは「ストップ系(stops group)」という用語がある。カードを出していき、手札が最初になくなったプレイヤーが勝ちとなるゲームを指すが、「ストップ」とはもうそれ以上誰も出せない(その時点では最強の)カードのことで、手札を全部なくしてゲームを終わらせることではない。

以上、「ゴーアウト系」「シェディング系」「ストップ系」などの言い方があることを見てきたが、いずれもBGGのメカニクス分類には登録されていない用語である(「手札をなくす」というだけでは『タイムライン』のような数字やスートのないゲームまで含まれてしまうという問題もある)。通じない場合があるとはいえ和製英語でもないことから、当サイトでは当面「ゴーアウト系」という表現を続けたいと思う。

なお、ドイツ語では「(手札を全部)捨て札にするゲーム(Ablegespiel)」または「(手札を全部)場に出すゲーム(Auslegespiel)」という分類がある。Wikipediaのカードゲームでは次のように説明されている。

これらのゲームの目標は通常、できるだけ早く手札をすべて捨てることである(Ziel dieser Spiele ist in der Regel das schnellstmögliche Ablegen aller Handkarten.)