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遊んだボードゲームの記録、どのデータベース系サイトを使う?

3月12日のゲームマーケット2017神戸で、新しいプレイ記録システム「enjoygames 」が発表された。メールアドレスでユーザー登録をすれば、所有ゲーム一覧を作ったり、ゲーム会を募集したりできる。
enjoygamesユーザー登録
http://enjoy-gam.es/user_registrations/confirm
新しい機能として、リアルタイムのプレイ記録と、ゲーム別のランキングがある。1人が遊ぶゲームのページをスマホなどで開き「参加者を集める」を選択。一緒に遊ぶ人も同じページを開き、「参加する」を選択する。こうして遊び終わった後に勝敗を記録したり、ナイスプレイをほめたりして、アイテムが増えランキングが上下する仕組みだ。
ドイツでは、ボードゲーム出版社協会(Spielverlag e.V.)が昨年、ボードゲーム会検索アプリ「Twiddle」 を開発した。自分が住んでいる近くでボードゲーム会が開かれていないかを探し、参加者と連絡を取り合うことができる。日本にも、ボードゲーム会やイベントを告知し、参加者を募るBoard Gamer’s High とゲムパ がある。enjoygamesもゲーム会を告知する機能があるが、さらに個別のゲームについて成績の記録まで踏み込んでいるところが新しい。
enjoygamesには現在、約500タイトルのボードゲームがデータべ―ス化されており、リストになければ事務局にメールかツイッターでリクエストするようになっている。毎年世界中で1000タイトル以上、日本国内でも500タイトル以上の新作が発表されている現状で、データベース登録が課題といえよう。
世界最大のデータベースをもつBoardgamegeek は現在、約9万タイトルのボードゲームが登録されている。日本ではplay:game もボドゲーマ も約8千タイトルで、BGGの10分の1にも満たない。しかしBoardgamegeekは英語であるため、日本人にとっては後者のほうが使いやすい。
play:gameはBoardgamegeekを手本として作られ、詳細検索・所有ゲーム管理・プレイ記録・10段階評価・コメントなどの機能をほぼそのまま受け継いでいる。長く続いており、古典的な名作についてはたくさんの評価が寄せられているのが長所だ。トップページでは管理者のひとりであるけがわさんのレポートを読むことができるのも魅力。ただ、画面がスクロールしないように細かく分割されたデザインは、使いづらいと感じる人もいると思う。
ボドゲーマは見やすいデザインだけでなく、戦略やインストを記入できる機能や、「ボドとも」になって成績を記録できるSNS的な機能があり、ユーザー同士の交流を促しているのが特徴だ。ショップ・カフェバーの紹介やコラムも充実している。個別のゲーム紹介も詳しく、レビューサイトとしての価値もある。一方、評価については点数をつけず、ランキングは「お気に入り」をつけた人数で決めているため、遊んだ上でのレーティングは端的に分かりにくい。
ボードゲームをデータベース化しているサイトとしてはこのほかにボードゲームマグ 、テーブルシェア 、アソボド! などがあるがユーザー登録制でなく、登録件数も100タイトル未満であるため、レビューサイトとして読んで楽しむのがよいだろう。
遊んだゲームを細かく評価できるplay:game、ユーザー同士で交流しながら情報交換できるボドゲーマ、リアルタイムでスマホから対戦成績を入力できるenjoygamesと、それぞれ方向性が異なるので、何のために使うかを考えて選ぶとよいだろう。あとはBoardgamegeekに実装されているボードゲームニュースと、ユーザー同士で売買できるマーケットが、日本でもデータベースとリンクするかたちで実現したらいいなと思っている。
データベース系サイトの分類
データベース系サイトをゲームがメイン/イベントがメインと、データ重視/レビュー重視という2つの軸で分類してみた。enjoygamesは独特な立ち位置にある。

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ゲームマーケット2017神戸:地獄Queue部、菊花賽、スタータップス

3月12日に行われたゲームマーケット2017神戸でプレイしたゲーム。第1弾はこちらで、第2弾はこちら

地獄Queue部(マーチヘアゲームス)

地獄Queue部
鬼たちがキレイな石を求めて配給所で列を作って争うダイスゲーム。マーチヘアゲームズが釣りゲーム『ダイ公望』(2016年)に続いて送るダイスゲームだ。
各自15匹の鬼ダイスをジャラーっと振ってスタート。鬼ダイスは大鬼と子鬼がおり、最初から使えるのは大鬼ダイスだけである。子鬼はスリープカードの上にあり、大鬼を使って覚醒させなければならない。
手番には『ベガス』の要領で、1つの出目のダイスを全て、3つある配給所のいずれかに配置する。配給所には定員があり、配置されたダイスの数が定員に達すると、1位からキレイな石の分配が行われる。順位の判定はダイスの個数、大きさ、出目の合計。大鬼ダイスは少ないので、子鬼ダイスを早く覚醒させて増援しなければならない。
子鬼ダイスを覚醒させるには、大鬼ダイスを1つ使う。しかし同じ目の子鬼しか覚醒させられない。振り直しできるが、それにも大鬼ダイスが必要で、使われた大鬼ダイスはどんどん休憩していく。使ったダイスは1手番休んで回収でき、そのときにまた振り直す。
定員に達しそうな配給所があるとき、1個でも置いて順位を上げるか、いったんしゃがんでダイスを増やし、次の手番に賭けるかは状況次第。しゃがんでもダイス目が振るわないこともあってドラマチックだ。
2箇所の配給所がなくなったらゲーム終了で、集めた宝石で得点計算する。同じ種類の宝石をできるだけ多く集めたほうが得点が高い。そのため「自分はあまり要らないけれど、これは取られたくない」など、これもほかのプレイヤーとの駆け引きが生まれる。
ダイス目のままならなさと、エリアマジョリティーの緻密な計算の両方が楽しめる変化に富んだ作品である。
地獄Queue部
デザイン・Satoru Nakamura/イラスト・Mamiko Taguchi/マーチヘアゲームズ(2017年)
3~4人用/12歳以上/30~40分

菊花賽(しのうじょう)

菊花賽
3つの菊ダイスを揃えて品評会に優勝することを目指す2人用ゲーム。『ALL GREEN』『ヤオチュー!』と麻雀の簡易版を作ってきたしのうじょうの新作で、この作品も「2人用ダイス麻雀ゲーム」とされている通り麻雀のテイストがあるが、菊の品評会というテーマもあってオリジナリティが高い作品である。ゲームマーケット会場では、カップルや女性2人組がひっきりなしに試遊していた。
菊ダイスは白と黄色と橙があり、3つのダイスを全て同じ色か全て違う色にして、かつ連番かゾロ目で揃えることを目指す。はじめに各自袋からダイスを2つ取り、ついたての裏で振ってスタート。
自分の番には袋からダイスを1つ取って振り、ついたての中のダイスを入れ替えるか、捨てるか、3つのダイスが揃っていたらあがる(ツモ)。捨てたとき、相手はそのダイスで3つ揃うならばあがってもよい(ロン)。あがったら得点計算。あらかじめ流行の目(ドラ)というものがあり、それと同じ色か数字ならば得点が上がる。
得点分だけ相手のポイントダイス(最初は6)を減らし、0以下にすれば勝ち。
松江のホワイエピッコリーノ池田店長と対戦。池田さんはいきなり流行の菊ダイスを揃えて一挙に高得点。逆転を期して流行の目にかけたが、なかなか揃わなくているうちにもう一本取られた。流行の目が乗っているかによって得点が変わり、メリハリのある展開が楽しめる。
菊花賽
デザイン・篠崎高広/イラスト・ことり寧子/しのうじょう(2017年)
2人用/8歳以上/15分

スタータップス(オインクゲームズ)

スタータップス
6つの企業に投資をして、筆頭株主として利益を得ることを目指すカードゲーム。『ライツ』(2015年)をリメイクしてプレイヤー人数を増やした作品で、クニツィア的なジレンマに加えて、優れたデザインの企業ロゴがゲームに没頭させる。
自分の番には1枚カードを引き、手札から1枚出すだけ。基本は自分の前に出し、ゲーム終了時に企業ごとに一番多く出していた人は、出したカードが少なかった人から利益を得る。
そのため筆頭株主になれなさそうなカードは出したくない。そこで『ライツ』では左どなりの人へと流していたが、『スタータップス』は単に中央の場札(マーケット)に置けばよい。次の人は、場札か山札か選んでカードを取るが、山札から取る場合は場札の上にお金を支払わなければならない。こうして場札に置かれたお金は、次にその場札を取った人が受け取る。それで筆頭株主になれるなら渡りに船だが、甘い罠かもしれない。
さらに「独禁チップ」がゲームをエキサイティングにする。このチップは企業ごとに、最初にカードを取った人が受け取り、以降、筆頭株主になった人のところに移動する。このチップをもっていると、場札からカードを取ることができなくなり、独走が難しい。二位につけて最後にまくるのが望ましいが、果たしてそううまくいくか。
最後は手札も公開するため、誰が筆頭株主になるかは蓋を開けてみてのお楽しみ。筆頭株主は、出したカードが少なかった人からその枚数分だけお金をもらい、最も多かった人が勝つ。お金を支払う方は1枚につき1金だが、受け取る方はそのチップを裏返して3金になるところがポイント。だから早めにあきらめず、少し手を広げてチャンスを狙うのが良さそうだ。
5人プレイで、最後の最後まで誰が勝つか分からないエキサイティングな展開を楽しめた。『ライツ』は5人までだったが、7人まで遊べるようになり、人数によって展開も変わりそうだ。
スタータップス
デザイン&イラスト・佐々木隼/オインクゲームズ(2017年)
3~7人用/10歳以上/20分