ドイツの無形文化遺産に「ボードゲームプレイ」
無形文化遺産は、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の事業で芸能、伝承、社会的慣習、儀式、祭礼、伝統工芸技術、文化空間などを対象として、理解・保護・継承を目的として選出されている。ドイツでは州・全国・国際の3段階があり、今回登録された全国の無形文化遺産目録には168件が登録されている。
ドイツ・ユネスコのサイトに記載された登録の理由は以下の通り。
ボードゲームプレイは、協会、クラブ、カフェ、ユースセンターなどのさまざまな社会的場面や、家庭でも培われてきた生きた伝統である。世代間や社会グループ間の知識や経験の交換によってその輪は広がっている。ボードゲームシーンには、戦略ゲームから協力ゲームまで、さまざまなタイプのゲームがあり、さまざまなニーズや興味にアピールしている。一緒に遊ぶことで、社会的・文化的な違いに関係なく、インクルーシブで世代を超えた交流が生まれる。
ドイツにおけるボードゲーム文化は、敷居が低く、幅広い人々に親しまれており、特にゲームルールの適用と説明、それとゲームのデザインにおいて、特別な知識とスキルを身につけることができる。ボードゲームで遊ぶことはコミュニティの形成を促進する。もともとは家庭内で楽しむものであったボードゲームは、共同空間における社会的・文化的実践へと発展してきた。1970年代以降、ボードゲームは継続的に開発され、新しいタイプのゲームやフォーマットが、インクルージョンや異文化交流といった社会問題を取り上げている。
エッセンで開催されるボードゲーム最大の見本市「シュピール」や、ゲームクラブや協会の地域集会など、ボードゲーム文化に積極的に参加できるイベントが毎年数多く開催されている。このようなイベントでは、ボードゲームに興味のある人たちはプレイするだけでなく、「説明者」としてゲームのルールを他の人に教えることもできる。また、公共施設で定期的に開催されるゲームの夕べに参加する機会もあり、知識の交換や社会的交流が促進される。
ドイツでは2020年、ドイツのボードゲーム普及団体が社会活動コンテストで連邦首相特別賞を受賞。2021年に「ボードゲームの普及」がバイエルン州の無形文化遺産に登録されていた。今回の決定について、C.ロート文化メディア担当大臣は「ボードゲーム文化は世代を結びつけ、連帯を促進します」と歓迎するコメントを寄せた。今回の登録を受けて、ドイツ・ボードゲームデザイナー連盟はドイツ国立図書館でのボードゲームの収蔵を国会に求めていくかまえだ。
Deutsche UNESCO-Komission:Brettspiele spielen
アメリカ卓上ゲーム賞2025に『キャプテンフリップ』『ザ・ギャング』ほか
ATTA賞は、アメリカのボードゲーム市場が急速に拡大する中、ドイツ年間ゲーム大賞やアスドール・フランス年間ゲーム大賞のような一般向けの賞を目指して2019年に創設された。
対象は英語ルールがあること、現物があること(プリント&プレイ版などでないこと)、前年に初版でリリースされたこと、小売またはクラウドファンディングが条件で、4つの部門について委員が5タイトルまでをランキングを付けて推薦し、これを集計して決定する。昨年は『ブロブパーティ』『シーソルト&ペーパー』『サンダーロード:ヴェンデッタ』『白鷺城/ホワイトキャッスル』が選ばれている。
アーリーゲーマー(初心者)部門の『キャプテンフリップ』は袋から引いた船員タイルを1回だけ裏返しできるタイル配置ゲーム。ドイツ年間ゲーム大賞にもノミネートされた。カジュアルゲーム部門の『ザ・ギャング』はテキサスホールデムポーカーのルールを用いた協力ゲーム。ストラテジーゲーム部門の『レッツゴー・トゥ・ジャパン』は日本の名所を回る観光ゲームで、コンプレックスゲーム部門の『フロマージュ』はフランスでチーズ作りの腕を競うゲーム。日本語版はいずれも発売されていない。
推薦・ノミネートで日本語版が発売されているのは、カジュアルゲーム部門推薦の『キャプテンリノXXL』、同ノミネート『モンキーパレス』、カジュアルゲーム部門推薦の『リバー・バレー:ガラス工房』『ファラウェイ』、同ノミネート『クロノロジック:パリ1920』、ストラテジー部門ノミネートの『スレイ・ザ・スパイア:ボードゲーム』、コンプレックスゲーム部門推薦の『SETI:地球外知的生命体探査』、同ノミネート『ブラックフォレスト』。
【アメリカ・テーブルトップ賞2025】
アーリーゲーマー部門:キャプテンフリップ(Captain Flip)
推薦:フリップ7(Flip 7)、キャプテンリノXXL(Captain Rhino XXL)
ノミネート:注意看板(Caution Signs)、モンキーパレス(Monkey Palace)
カジュアルゲーム部門:ザ・ギャング(The Gang)
推薦:リバー・バレー:ガラス工房(River Valley Glassworks)、ファラウェイ(Faraway)
ノミネート:クロノロジック:パリ1920(Kronologic: Paris 1920)、キャッスルコンボ(Catsle Combo)
ストラテジーゲーム部門:レッツゴー・トゥ・ジャパン(Let’s Go! To Japan)
推薦:リバーオブゴールド(River of Gold)、リバース(Rebirth)
ノミネート:クリーチャーキャラバン(Creature Caravan)、スレイザスパイア・ボードゲーム(Slay the Spire: The Board Game)
コンプレックスゲーム部門:フロマージュ(Fromage)
推薦:SETI:地球外知的生命体探査(ETI: Search for Extraterrestrial Intelligence)、アルクス(ARCS)
ノミネート:ブラックフォレスト(Black Forest)、アンドロメダズエッジ(Andromeda’s Edge)
・The American Tabletop Awards:2024 American Tabletop Award Winners