ニュルンベルク’18:アミーゴ
ニュルンベルク玩具メッセが1月31日から5日間に渡って行われる。ドイツ市場では、エッセン・シュピールと共にボードゲームの新作が発表される二大イベントとなっている。ここで発表される予定の新作を、出版社別に紹介しよう。はじめはいつも情報が早いアミーゴから。
★オール・ユーキャン・イート(All You Can Eat)
ゲームデザイン・K.ヌン、グラフィック・K.フランツ、3-6人用、7歳以上、15分。
食物連鎖をテーマにしたライトなカードゲーム。オリジナルは昨年秋にメイフェアゲームズから発売された。各プレイヤーはミミズ、鳥、ネコ、犬、ノミのカードを手札にもち、1枚出して一斉に公開する。鳥を出したプレイヤーはミミズのカードを取り、ネコを出したプレイヤーは鳥のカードを取り……最後にノミを出したプレイヤーが犬のカードを取る。取ったカードは自分のカードの下に置き、その後に自分のカードが取られたら一緒に持って行かれてしまう。こうして他のカードを取り、かつ他から取られなかったカードが得点になる。こうして手札がなくなったときに得点の高い人が勝つ。
★はげたかのえじき新版(Hols der Geier)
ゲームデザイン・A.ランドルフ、グラフィック・M.ブラハ、2-5人用、8歳以上、20分。
1988年に発売され、今日に至るまでロングセラーとなっているカードゲームがグラフィックを一新して再登場。各プレイヤーは1~15のカードを持ち、中央の得点カードをめくってはカードを1枚ずつ出す。得点になるカードは数字の最も高いカードを出したプレイヤー、失点になるカードは数字の最も低いカードを出したプレイヤーが取るが、同じ数字だった場合、次点のプレイヤーに移る。15ラウンドで得失点の合計が最も多い人が勝利する。
★支離滅裂(Krass Kariert)
ゲームデザイン・K.シュトレンメル、3-5人用、10歳以上、30分。
各プレイヤーはチップとカードを受け取る。手札の順序を変えてはいけない。時計回りに、手札の中から連続する1~3枚のカードを出す。1枚が一番弱く、3枚同じ数字が一番強いという役になっており、後から出す人はより高い役で出さなくてはならない。高い役を出せなければ、手前に公開しておいたリザーブカードを手札に入れる。一番強い役を出した人が次のラウンドを始め、手札をなくした人から抜けていき、最後の一人がチップを1枚捨てる。誰かのチップがなくなった時点でゲーム終了となり、そのプレイヤー以外全員が勝利となる。
★マルコ・ボーノ(Marco Bohno)
ゲームデザイン・U.ローゼンベルク、グラフィック・B.ペルフォート、1-7人用、10歳以上、45分。
『ボーナンザ』の拡張セットで、プレイするためには『ボーナンザ』か『レディーボーン』が必要。課題カードを達成して、豆コマをスタートからゴールまで進めることを目指す。課題カードはある種類の豆を植えるとか、ちょうど2ターラーで収穫するとか、全ての畑に豆を1枚だけ植えるなどといったものがある。達成できない畑は1ターラーを支払ってパスできる。誰かがゴールまで行ったらゲーム終了で、残りのプレイヤーの豆コマもゴールまでお金を払って進め、残ったお金で勝負する。
★テキサス・ショーダウン(Texas Showdown)
ゲームデザイン・M.メジャー、イラスト・K.フランツ、3-6人用、10歳以上、45分。
カードを混ぜて全員に同じ枚数だけ配る。時計回りに1枚ずつカードを出し、一番強いカードを出した人が全員が出したカードを取れるトリックテイクだが、獲得したトリックはマイナスポイントになる。最初に出されたカードの色をもっていれば出さなければいけないが、なければ別の色を出してもよく、一番強いカードは、そのラウンドで最も多く出た色で最も数字の大きいカードとなる。最も多く出た色が複数ある場合は、その色の中で最も数字の大きいカードが一番強い。こうして手札がなくなるまで続けて、マイナスポイントの最も少ない人が勝つ。
★ザ・キャット(The Cat)
ゲームデザイン・B.ロス&D.ウルマン&J.ウルマン、グラフィック・R.フレイ、2-4人用、8歳以上、20分。
各プレイヤーは自分の前に4枚の山札をいくつかと、同じ枚数の手札をもち、中央に4枚の場札を並べてスタート。同時プレイで、自分の山札が全て同じカードにすることを目指す。山札を取り、手札と場札を交換する。揃わなかったら山札を切り替えてもよい。できたと思ったらストップをかけ、山札をチェックする。うまくできていれば得点。こうして規定点以上に達したプレイヤーが勝つ。
★呪われた!(Verflucht!)
ゲームデザイン・S.ベンドルフ、グラフィック・J.ビンタキース、1-5人用、10歳以上、15分。
中央にカードをばらばらに並べ、そのとなりに印章を置く。目的は協力して全部のカードをめくること。手番には中央からカードを1枚引き、アイテムだったら手札に入れ、クリーチャーだったら中央に出して手札のアイテムで取り除くことができる。取り除かれないクリーチャーはたまっていき、規定数を超えるかグループが出来たら強制的に取り除かなければいけなく成る。しかしプレイヤーはどのアイテムをもっているか言ってはならない。カードが全部めくられたときに、クリーチャーが規定数以下ならば全員の勝利となる。
りゅうほうのおしごと(Ryuho’s Work)
言い淀んでも怪しい
りゅうほうの弟子になって守護霊を呼び出すゲーム。『キムの名は。』『オーデンの触祭』などネタと内容を両立させた作品を発表し続けている北条投了先生の作品で、ゲームマーケット2017秋に芸無工房から頒布された。正体隠匿系で、ヒントをもとに1人をあぶり出す。
各プレイヤーに1冊ずつ「○○の書」が配られ、ダイスで毎回ページ数と番号を決める。そこには今回守護霊を呼び出す有名人の名前が書かれているが、同じものが書かれている場合と、1人だけ別なものが書かれている場合がある。
順番に、その守護霊を呼び出した体で一言述べる。「男です」「昔の人です」「外国に住んでいました」……など。多数派だった場合は、1人だけの少数派をあぶり出し、少数派だった場合は、自分が少数派だとばれないようにして多数派が何かを推理する。そのためどちらの場合も自然と曖昧なヒントになるところが面白い。『エセ芸術家ニューヨークへ行く』をお絵描きではなく言葉にしたようなプレイ感だ。
少数派が分かったと思ったら、中央にあるコマをその人のところに置く。自分が少数派だと思ったら自分のところに置く。全員同じ答えだと思ったら中央に立てる。誰がいつ置いてもいいのでスリルがある。そして回答。当たっていればチップをもらえ、このチップが規定に達したら勝利する。
少数派は非常にマイナーなキャラクターが登場するので、自分だとすぐに分かる。そのときの多数派は、少数派とどこか共通点がある(林修と林冲など)ので、それをもとに多数派を推理する。その一方、自分の手番には自信たっぷりにトンチンカンでないヒントを出さなければならないのでスリリングである。
5人プレイで30分ほど。ヒントは内容だけでなく表情や言い方などのニュアンスもヒントになり、笑いも絶えない。最後の解答でもタネ明かしにまた盛り上がれる。上質な正体隠匿ゲームである。
りゅうほうのおしごと
北条投了/タレる/芸無工房(2017年)
4~6人用/30分