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ピラミッドの作り方(Pyramids)

ピラミッドだけじゃないよ
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採石場からカードを取って、美しいピラミッドとオベリスクと王家の墓を作るカードゲーム。『エリジウム』のデザイナーコンビによるもので、手番選択の悩ましいゲームだ。
毎ラウンド中央に、プレイヤー人数分の石材カードが2枚一組で並ぶ。これらを見ながら、スタートプレイヤーから神タイルを1つ選ぶ。神タイルによって石材カードを取る順番と、建設できる建物が決まる。1番先に取れる「ホルス」はピラミッドしか建設できず、2番目の「アヌビス」はピラミッドと王家の墓、3番目の「ケプリ」はピラミッドとオベリスク、4番目の「セクメト」は全部を建設できる。場に欲しいカードがあり、かつほかのプレイヤーも取りそうだったら、建設できる建物が少なくても順番が先になる神を取る。この駆け引きが悩ましい。
石材カードには5色の石がさまざまな組み合わせで描かれており、どの建造物にも使えるが、それぞれ得点方法が異なる。ピラミッドは同じ色の石が長くつながっているほど得点が高く、また全色をまんべんなく使うとボーナスもある。オベリスクは一番多い色の段数、王家の墓は色ごとにプレイヤー間で一番多いものが得点。さらに「グリフ」というシンボルが建造物に一致していればボーナスが入る。いずれも今欲しい色や、これから伸ばしたい色を考えてカードを選ばなければならない。
神タイルで手番順が決まったら、順番に場から石材カードを手札に補充し、そこから1~3枚を自分の建造物に付け加える。ピラミッドは土台から最終的に4段になるように重ねていき、オベリスクは一列に重ねる。王家の墓は伏せてまとめておく。基本的には配点が高いピラミッド優先で、適合しない色のカードはオベリスクに、それも合わなければ王家の墓に入れることになるだろう。
毎ラウンド、ピラミッドには必ず1枚を置かなければならないので、10ラウンドで全員10枚置いてピラミッドが完成し、ゲームは終了となる。各建造物について得点を計算し、合計得点の多い人が勝つ。
3人プレイで30分、5人プレイで40分ぐらい。ピラミッドで同色をできるだけ長くつなげる作戦と、全色ボーナスを狙ってまんべんなくつなげる作戦があるようだ。欲しい色を巡ってエキサイティングな戦いが繰り広げられた。もう少し伸ばしたいところでいいカードが取れず。
特殊能力やボーナスカードなどもなく至ってシンプルにまとめられ、その分プレイヤー間の駆け引きがクローズアップされた作品。「取ーらーれーたー!」が頻発する。
Pyramids
ゲームデザイン・M.ダンスタン&B.ギルバート/イラスト・C.ショシィ&M.メンツェル
イエロ(2017年)+ホビージャパン(2018年)
2~5人用/10歳以上/30分

Posted in エッセイ

「○○専」という選択

新作のリリースが年々増加している一方、仲間と集まって遊ぶ時間は頑張ってもなかなか増やせない。先月行ったアンケートでは、次から次へと新作が発売される中、1つのゲーマーズゲームを繰り返し遊び続けられない現状が浮かび上がってきた。ボードゲーム愛好者は、やり込むのをあきらめて多くの種類を遊ぶか、購入する数を絞って1つの作品をやり込むかというジレンマにさらされている。
このような状況の中、長年の愛好者に、購入数も遊ぶ機会も少なくなっている方が見受けられる。しかも単に飽きたとか、ほかの趣味に移行したというわけではなく、新作が多すぎて追いきれないからという理由である。日本語版のリリースはこの5年で倍増し、年間100タイトルを超えるまでになった。かつては日本語版なら何でも買うということが可能だったが、今は難しい。つまりマニア特有のコンプリート欲求をどのように解消するかという問題なのだ。
そこで提案したいのが「○○専」。自分の好みに範囲を絞ってコンプリートするという方法だ。ドイツのボードゲームデザイナー、フリーデマン・フリーゼはインタビューでボードゲームを音楽に喩え、「メタル、パンク・ロック、ヒップホップなど全部聴かないのと同じで、好きなものにフォーカスすればいいんだ」と言っている。さてどんな○◯専があるだろうか。
ウヴェ専、クニ専、フラガ専
好みのデザイナーで絞り、そのデザイナーの作品は日本語版であろうと輸入版であろうと徹底的にコレクションしてやり込む。ウヴェ専は多分それだけで満ち足りるぐらいの重さと発売ペースがある。
アレア専、ルックアウト専、ハンス専
同様に出版社で絞る方法。グラフィックデザインや箱サイズが統一されているので、並べると気持ちいい。難点を挙げるとすれば当たり外れが大きかったり、会社の方針がぶれたりして、粒ぞろいになりにくいことか。国内ならオインク専も。
大賞専
ドイツの多くの家庭は年に1タイトルだけ、ドイツ年間ゲーム大賞の受賞作を購入するという。ファミリー向けなのでルールがごてごてしておらず、長く遊び続けられる。物足りないならばエキスパート大賞も入れて年に2タイトルずつ、あるいはドイツゲーム賞1位も入れて年に3タイトルずつ。赤ポーンのマークが印刷されているものを選ぶと統一感もある。
ゾンビ専、ピラミッド専、クトゥルフ専
好きなテーマで絞る方法。自分が持っているほかの趣味とリンクしているならアリ。
トリテ専、ワープレ専、デッキビルド専
好きなゲームシステムで絞る。年によってトレンドがあり、最近は複合しているので難しいかもしれない。
パーティー専、2人専
自分が遊ぶ環境に応じて、プレイ人数で絞る。
実際はこれらの中からいくつかを複合させることになると思うが、こうすればコンプリート欲求も満たされ、かつ新作もほどよいペースでフォローできるのではないだろうか。一番のメリットは、話題になっているからといってつい手を出してしまい、かといって自分の好みではないため積みゲーになってしまうリスクを回避できる点にある。
まずは自分のボードゲーム棚を観察して、並んでいるボードゲーム、よく遊んでいるボードゲームにどういう傾向があるかを考えてみるとよいだろう。管理人はドラ専。寡作なのでちょうどよいペースです。