バルパライソ(Valparaíso)
新しいカードで成長する楽しさ
チリの港町を舞台に、内陸の村と海外の間を行き来して物資を交換し、勝利点を競うゲーム。アクションカードをプロットしていくシステムだが、ゲーム中にアクションカードがアップグレードされ、できることが増える楽しみを味わえる作品だ。デザイナーは『ロココの仕立て屋』(M.クラマーとの共作)や『江戸』のマルツ親子。お父さんのシュテファンは68年生まれ、息子のルイスは98年生まれである。
はじめは全員、同じアクションカード8枚をもっている。ここから使いたい順番に裏にして並べるのが計画フェイズ(上級者ルールでは長考防止策として砂時計が用いられる)。全員が並べ終わったら、スタートプレイヤーから1枚ずつ実行するのがアクションフェイズ。全員が使い終わったら次のラウンドとなり、勝利条件(誰かが規定点に達するか、カードの補充ができなくなるか)でゲーム終了となる。至ってシンプルなゲーム進行である。
アクションカードもそれほど複雑でなく、全てアイコン化されている。基本的な流れも、概ねこの順番になっているため説明しやすい。
1 品物の積み替え:倉庫にある商品を船に積み込む。または船から倉庫に移す。
2 商品の販売:自分の倉庫から商品を1個、10ペソで売却する。
3 商人の配置:商品を3つ支払って追加の商人を配置する。
4 商人の移動:商人を港から交易する村へ移動させる。
5 家の建設:10ペソを支払って商人がいる場所に家を建てる。家があると収入・通行料・追加交易がもたらされる。
6 村での交易:商人がいる市場の村で、商品やお金を受け取ったり、それらを勝利点に換えたりする。
7 船の移動:船を港から外海へ送る。または港に戻す。
8 海外交易:外海にいる船から商品を下ろし、成果カードを取る。
勝利点の取り方はポイントサラダというほど多くなく、村での交易か、成果カードがメイン。どの村に行けば得か(同じ村にほかのプレイヤーがいると場所代を支払わなければならない)、どの成果カードを取るかの選択に絞られている。
というのも、村の交易で何ができるかは市場タイルで決まり、誰かが交易するたびに新しい市場タイルと入れ替わるからだ。せっかく商品を揃えて勝利点に換えに行っても、先を越されたら別のことをしなければならなくなってしまう。ここに計画フェイズでのプロット順の重要性がある。
また、成果カードはそれ自体が勝利点になるだけでなく、アクションカードに加えて計画フェイズで使えるようになる。基本アクションが1ラウンドに2回できるようになったり、同じアクションなのにコストが下がったり収入が上がったりする嬉しいカードばかり。しかも後半になるほど強力な成果カードが登場する。これでプレイヤーの方針が少しずつ変わっていくのが面白い。
4人プレイ・砂時計なしルールで90分。商品を15ペソで売れる成果カードを手に入れ、お金の心配なくゲームを進められた。終盤には10ペソを1勝利点にできる成果カードも手に入って勝利。その分、村での交易は出遅れ、通行料を支払って同じ村で交易し続けることになったため選択肢がなかったが、ほかのプレイヤーがお金プレイをしなかったので競合が少なかったようだ。
Valparaíso
ゲームデザイン・S.マルツ&L.マルツ/イラスト・M.メンツェル
dlpゲームズ(2018年)
2~5人用/12歳以上/45~90分
ゲームストア・バネスト:バルパライソ
フェルトの古代ローマ建設『フォルム・トラヤヌム』日本語版、12月上旬発売
ホビージャパンは12月上旬、シュテファン・フェルトがデザインした古代ローマの都市建設ゲーム『フォルム・トラヤヌム(Forum Trajanum)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・S.フェルト、イラスト・M.メンツェル、2~4人用、12歳以上、60~120分(30分×プレイ人数)。
フッフ社(ドイツ)が今秋発表したばかりの新作が早くも日本語版で登場。エッセン・シュピールの新作評価アンケート「スカウトアクション」では規定票数に届かなかったものの高い評価を得ている。
プレイヤーは帝国の一領主となり、トラヤヌス帝自身が設立した上級都市「コロニア」を統治している。都市を発展させ、ローマ帝国市場最大の版図を治めたトラヤヌス帝(53-117A.D.)の功績を讃える記念碑「フォルム・トラヤヌム」の建設に貢献すれば、ローマからの援助が受けられる。
各プレイヤーはプレイヤーボードをもち、ここに建物を建設していく。2枚のカードをめくり、自分の列からタイルを2枚取ってどちらかを選ぶ。もう1枚は右どなりのプレイヤーに渡し、もう1枚を左どなりのプレイヤーから受け取る。こうして受け取った2枚のタイルのどちらかを使い、資源を得る。それから順番に建設アクションを行う。建物は勝利点などの恩恵をもたらし、発展の速度を増していく。4周で得点計算を行い、3回得点計算を行って勝利点を競う。
計画的な都市づくりだけでなく、ほかのプレイヤーの状況にも注意を払わなければならない。フェルトならではの数多くのゲームメカニズムを取り入れたゲーマーズゲームだ。
内容物:ゲームボード1枚、モザイクボード5枚、円柱の断片3個、プレイヤーボード4枚、スライドバー4本、使者136枚、建設クレーン16枚、カード36枚、建物タイル104枚、建築士駒10個、労働者駒40個、助手駒10個、護民官駒12個、コイン20枚、フォルムマーカー12個、勝利点マーカー4個、スタートプレイヤーフィギュア1個