カナイセイジに聞く『文絵のために』今年どうなる?
昨年は『ラブレター -恋文-』(幻冬舎)、『ポプテピピック クソカードゲーム』(バンダイ)、『The Last Brave』(ディライトワークス)と大きな会社から作品を発表し、今年も2月に『有野課長のLove Letter』、4月に『ポプテピピッククソカードゲーム2弾』の発売が予定されているカナイセイジ氏(プロフィールはボードゲームデザイナー名鑑 参照)。日本のボードゲームシーンをリードするゲームデザイナーに、『文絵のために』の展開などについてインタビューを行った。
TGiW:昨年1年間の活動を振り返っていかがでしたか?
カナイ:幸いにも昨年は色々なところからお仕事のお話をいただき、常に忙しい充実した一年でした。
ゲームの制作はもちろん、講義や監修なども色々やらせていただいて、本当に勉強になりました。
その分、個人での制作まではあまり手が回りませんでしたので、今年は個人でもしっかり制作できるようなペース配分にしたいなあと考えております。
TGiW:昨年発表された作品について、思い出に残った開発エピソードを教えて下さい。
カナイ:昨年リリースしていただいたゲームはどれも大変印象深いですが、開発中はひたすら考えているだけなのであまり面白いエピソードはないかもしれません(笑)
思い出すのはずっとジョナサンでドリンクバーのコーヒーをちびちび飲みながらノートを前にうなっていたことと、毎回校正で原稿とにらめっこして、赤を入れていくのが大変だったこととかでしょうか……。
ただ、最近はゲームの紹介に当たって動画を撮っていただいたり、インタビューしていただいたりということがあり、そこで色々な方とお会いしてお話できたのは僥倖でした!
TGiW:新作が多数リリースされている中で、カナイさんのスタイルとしてどのようなことを意識されていますか?
カナイ:流行や人気の出た作品についてはなるべくチェックするようにしています。
毎年「もう出尽くしただろう」と思えるジャンルに新しいアイデアが登場するので感心しきりです。
ただ、後追いはなかなか難しいですし、そもそも自分の能力的に向いていない内容も多かろうと思っています。
頂いたお仕事であればそのメインターゲットの方々がなるべく気に入ってくださるように、個人での制作であれば自分が作りたいと思ったものを、と言う感じで、目の前のものに全力で取り組むだけと考えております。
もちろん、その中で流行を取り入れるのが良いと感じたら、挑戦してみることもあると思います。
TGiW:制作が発表されている『文絵のために2』について、明らかにできることを教えて頂けますか?
カナイ:現状では、前作と同じく3本での構成になるように進めております。
1本は前作と同じストーリー重視のお話で、クラウドファンディングにて応募していただいたキャラクターはこのお話に登場させたいと思います。
1本は、ずばりホラーです。旧校舎の怪に巻き込まれてしまった文絵を、武雄が誘導して助けるようなお話になります。ホラーらしいギミックを色々取り入れられればと考えております。
1本は……また木皿儀さん(ワンドロー)に怒られそうですが(笑) 武雄をめぐる女子たちの対戦格闘になります! もちろんパンチやキックで戦うわけではなく、「手料理」や「一緒に勉強」などを駆使して、武雄の心を引き寄せる勝負です。
TGiW:最後に、まもなく上演される朗読劇『文絵のために』について、自身の作品が朗読劇になると聞いてどう思いましたか?
カナイ:正直、この展開は全く予想しておりませんでした。私は文章書きとしては素人に毛が生えた程度ですから、ゲーム制作の時点では設定などに固まっていない部分も多く、「本当にそんなことできるのかな」と考えていました。
しかし、プロデューサーを務められた木皿儀さんのもと、あれよあれよという間に台本やスタッフが整っていき、目を見張るような役者の皆様にもご協力いただけることになりました。
私の拙い物語を、このような素晴らしい物へと昇華していただけたことに、ただただ感謝しております。
TGiW:ありがとうございました。
朗読劇『文絵のために』は今月25日(金)から27日(日)まで新宿THEATER BRATSにて3日連続、午後と夜の公演。「武雄編」と「文絵編」があり、毎回シナリオが分岐して結末が異なる。チケットはいずれも4500円で、PassMarketで発売中。
PassMarket:朗読劇『文絵のために』
【ご挨拶】
新年あけましておめでとうございます!
2019年も早々に朗読劇「文絵のために」は今月上演です!
出演者・スタッフ一同よいものをお届けできるよう努めます。
一般チケット好評販売中です。事前の準備をご検討ください!!https://t.co/goxPc0xWSL#文絵のために— 朗読劇「文絵のために」 (@reading_f) 2019年1月2日
ニュルンベルク’19:アミーゴ
ニュルンベルク玩具メッセが1月30日から5日間に渡って行われる。ドイツ市場では、エッセン・シュピールと共にボードゲームの新作が発表される二大イベントとなっている。ここで発表される予定の新作を、出版社別に紹介しよう。はじめはいつも情報が早いアミーゴから。
★ニムト25周年記念版(6 nimmt! – 25 Jahre)
ゲームデザイン・W.クラマー、イラスト・F.フォーヴィンケル、2~10人用、8歳以上、45分。
6枚目になった人がカードを引き取るロングセラーのカードゲームの記念版。スペシャルカード28枚が付属し、各自が3枚もつ選択ルールができる(8人プレイまで)。場にカードを置く時にスペシャルカードを出して、「5列目を作る」「7枚目が取る」「間に入れる」「出し直す」「ほかの列に移す」「列を止める」「失点が得点」といった緊急回避ができる。
★ラマ(LAMA)
ゲームデザイン・R.クニツィア、イラスト・R.ゾマーカンプ&B.シュペルガー、2~6人用、8歳以上、20分。
場にカードを出していって早くなくすゲーム。1~6の数字カードとラマカードがあり、場にカードを1枚置き、手札6枚で始める。自分の番には場の数字と同じか、1つ多いカードを出すことができる。ラマカードは最高の6に出すことができ、ラマカードには1のカードが出せる。カードを出す代わりに、山札から1枚引くか、ラウンドから抜けることができる。誰かが手札を使い切るか、全員抜けたらラウンド終了となり、残った手札が失点となる。ただし同じ数字のカードを複数持っていても失点は1回だけ。誰かが-40点になったラウンドでゲームが終了し、失点の少ない人が勝つ。
★ハイエキサイティング(Hochspannung)
ゲームデザイン・M.ヒロン、イラスト・A.シュテファン、2~8人用、10歳以上、20分。
場に出された九九に、手札からカードを出して答える。例えば「6×2」という場札だったら、「1」と「2」のカードをすばやく出す。出されたカードにはまた別の九九がついており、その答えとなるカードを出していく。こうして手札を早くなくしたプレイヤーが勝つ。
★お邪魔者:ザ・ロスト・マインズ(Saboteur – The Lost Mines)
ゲームデザイン・F.モイヤーソン、イラスト・A.ユング、3~9人用、10歳以上、45分。
古い森の奥にある忘れられた鉱山を目指して、ドワーフたちが道を切り開いていくボードゲーム。2チームに分かれて対戦するが、それぞれのチームにお邪魔者が紛れ込んでいる。
手番には道カードか、アクションカード(障害物を除去したり、トロルなどの障害物を置いたり、ほかのプレイヤーのキャラクターを確認したりできる)をプレイした後、自分のトロルコマを3マスまで移動できる。4ヶ所ある鉱山のいずれかにたどり着いたら、宝カードを1枚獲得。中にはドラゴンが守っている場合があり、それを取ると失点になってしまう。
手札も山札もなくなるか、宝が全て取られたらラウンド終了で、チームごとにお宝ポイントを分け合うが、お邪魔者がいると横取りされる。また自己中ドワーフは独り占めする。2ラウンド合計でお宝ポイントの多いプレイヤーが勝利する。
★カラスのくつした:アルファベットさがし(Rabe Socke – Buchstabensuche)
ゲームデザイン・R.シュタウペ、イラスト・フィオーレ、2~5人用、6歳以上、15分。
場札からイラストのカードと、そのイラストを表すドイツ語の最初の一文字でペアを作るゲーム。
★カラスのくつした:かずあて(Rabe Socke – Zahlenraten)
ゲームデザイン・R.シュタウペ、イラスト・フィオーレ、2~5人用、6歳以上、15分。
1~50の数字から1つを決め、どの数字かを当てるゲーム。外れるとその数字の場札がめくられ、「その数字は28~48の間ですか」などといったヒントが出される。
★魔女、動物……誰がいない?(Hexe, Tier … wer fehlt denn hier?)
ゲームデザイン・H.シャフィール、イラスト・M.ツロッヒン、2~4人用、4歳以上、10分。
ダイスを振って自分前にあるカードをめくり、そのキャラクターならば表にしておける。全部の前にあるカードを先にめくれたらラウンド終了で、ほかのプレイヤーのまだ表になっていないカードだけ得点。3ラウンドの合計得点が最も多いプレイヤーが勝利する。