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狩猟の時代(Age of Hunting)

混雑の狩場で
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いくつかの狩場でクマやマンモスを手に入れ、集落を発展させるワーカープレイスメントゲーム。ゲームマーケット2018秋に「A.I.Lab.遊」から頒布された。ワーカープレイスメントは現在、国内外で数多くのボードゲームに用いられているが、オリジナリティの高いアイデアを盛り込んでいる。
狩場ボードは14枚あり、そのうち7~8枚を使う。裏表も違うので毎回新しい組み合わせでゲームができる。各自、族長コマ2個と部下コマ1個をもってスタート。
自分の手番には、族長コマをいずれかの狩場ボードに配置し、そのマスに対応する食料(クマ、マンモス、ぶどう、緑の穀物、黄色の穀物)やお金などをもらう。部下コマも一緒に連れていけば、より奥のマスに族長コマを置くことができ、もらえるものもグレードアップする。
自分の個人ボードには、獲得した食料を貯蔵する洞穴と、部下、小屋のストックがあり、指定された食料やお金を支払うと開放されるセットコレクションとなっている。後になるほど必要な資源が増え、1ラウンドでは集めきれなくなるので、貯蔵のために洞穴を開ける必要があり、また部下を増やせば族長をより奥のマスに置けるようになる。
小屋は狩場ボードに置き、その狩場ボードを使うたびに対応するマスの品物が入るようになるスグレモノ。序盤に建てればそれだけ長く使えるし、場所は早いもの勝ちなので先手を打って建てておこう。
洞穴、部下、小屋のどれから、どのような順序で開放していくかにも戦略があるが、ほかのプレイヤーの動向によって必要な資源が取れず変更を余儀なくされることもある。それは一旦配置した族長コマが、ほかのプレイヤーが同じ狩場に来ると奥に押し出されるというルールと、族長を自分の手元に帰すときにも対応するマスの品物がもらえるというルールによる。
奥に押し出されると、よりよい品物がもらえるようになるが、それが自分が必要な品物とは限らない。「そんなにマンモスいらねーよ!」 また、狩場ボードがいっぱいになると、誰かが帰るまで入れなくなる。「早く誰か帰ってくれよ!」 そして後から来た族長が帰ると、奥にいた族長も手前に戻されてしまう。「もう帰るのかよ!」このようなインタラクションで欲しい品物が狙い通りに取れず、ゲーム中に悲鳴が上がる。
最後は勝利点勝負。洞穴・部下・小屋をどれだけ開放できたかと、得点のあるマスに置いた小屋の合計で競う。
5人プレイで1時間弱。今回は勝利点が入る狩場ボードがなかったので、建設合戦になった。私は小屋を優先して建てる作戦で、どんどん建てる場所がなくなる中で最後まで建てきったが、ゲーム中の効果を重視して勝利点が高いマスを避けたのが祟り2位。1位は部下コマを全部開放して効率よく品物を集めたかりぬさん。
1つのマスに入れるか入れないかという話になりがちなワーカープレイスメントにファジーさをもたせ、インタラクションのドラマを生み出す手法は素晴らしく、狩場ボードを変更すれば戦略もその都度変わるやりこみゲームである。
狩猟の時代
ゲームデザイン・A.I.Lab.遊/イラスト・うるり(2018年)
3~5人用、10歳以上、30~45分
ゲームストア・バネスト:狩猟の時代

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ニュルンベルク’19:注目の新作

センチュリー:ニューワールド(Century: A New World)
ゲームデザイン・E.マツウチ、イラスト・A.カナーニ&C.クイリアムズ、出版・プランBゲームズ、2~4人用、8歳以上、30~45分。
『スパイスロード』『イースタンワンダーズ』に続くセンチュリー3部作の最終作。16世紀のアメリカで、新大陸を探検し、原住民と交易し、発見を記録し、狩猟採集で生き延びる。ワーカープレイスメントで資源を交換するシステムはシリーズ共通。3タイトルはそれぞれ単体でも、自由に組み合わせてもプレイできる。

トゥキ(Tuki)
ゲームデザイン・G.レヒトマン、イラスト・C.クイリアムズ、出版・ネクストムーブゲームズ、2~4人用、8歳以上、30~45分。
『ウボンゴ』のデザイナーによる積み木ゲーム。タイトルはイヌイットの言葉で標識として使われた石積みを表し、「イヌクシュク」が有名。このゲームではダイスで支持れた石(カラー)と雪(白)のブロックを積み上げて、このイヌクシュクを作る。バランスを取りつつ、カードで指示されたパターンを先に作る。難易度は2つあり、腕前によって変えることができる。

ラスベガス・ロイヤル(Las Vegas Royale)
ブルゴーニュ(The Castles of Burgundy)
20周年を迎えるアレア(ドイツ)が同社の人気作品『ベガス』と『ブルゴーニュ』の豪華版を製作。『ベガス』はモジュラーボードになってボードごとにダイスの配置や順位決めの条件が変わり、『ブルゴーニュ』はこれまでの拡張やプロモ10種類が全部入る。


エラ:中世(Era: Medieval Age)
ゲームデザイン・M.リーコック、イラスト・C.クイリアムズ、出版・エッガートシュピーレ、1~4人用、12歳以上、45~60分。
ダイスを振ってペグを差し込む文明発展ゲーム『ロール・スルー・ジ・エイジズ』(2008年)の続編で、今度はダイスロールと建設を行う。ダイスは中世社会のさまざまな階級を表し、これらを使ってプレイヤーは自分の都市を最も繁栄させることを目指す。建設は立体のコマをプレイヤーボードに差し込む方式で、見た目も素晴らしい都市ができあがる。都市では強奪、焦土、災害が起こり、プレイヤー同士のインタラクションも問われる。エッガートシュピーレでは、この作品を皮切りにロール&ビルドシリーズを立ち上げる。


ハダラ(Hadara)
ゲームデザイン・B.シュヴェア、イラスト・D.マイアー、出版・ハンス・イム・グリュック、2~5人用、10歳以上、45~60分。
『リビングストン』『イェーティ』の作者によるミドルクラスの文明発展ボードゲーム。3つの時代にわたり、小さな開拓地を高度な文明都市に育てる。さまざまな文化・大陸・年齢の人々を集め、同時アクションで人物を選ぶ。農業、文化、軍事と総合的に発展させて名誉を競う。


レッドピーク(Red Peak)
ゲームデザイン・C.A.ロッシ、イラスト・V.デュトレ、出版・ラベンスバーガー。2~6人用、8歳以上、20~30分。
冒険者たちが火山島で溶岩が迫り来る中、ジャングルを抜けて帰還することを目指す協力ゲーム。溶岩タイルが次々と置かれる中、必要なアイテムを集めていかなければならない。ヴァルシュが昨秋発表し、日本語版も発売された『富士』とテーマが重なっているが、ロッシらしくスピーディーなプレイ時間となっている。


マインクラフト・ボードゲーム(Minecraft Board Game)
出版・ラベンスバーガー、2~4人用、8歳以上、30分。
人気ビデオゲームがボードゲームになる。クリーパーやゾンビを避けてレアな資源を集め、理想のお家を作る。


マハラジャ(Maharaja)
W.クラマー&M.キースリングが2004年にファランクスゲームズ(オランダ)から発表したゲームが、今年クラニオ・クリエーションズ(イタリア)からリメイク。領主、遊行者、商人など6つの職業の特殊能力を駆使しつつ、アクションをプロットして指定された都市に宮殿を建てるゲームだ。


イワリ(Iwari)
ゲームデザイン・M.シャハト、イラスト・M.ミザク、出版・サンダーグリフゲームズ、2~5人用、14歳以上、45分。
日本語版にもなっている『王と枢機卿』をスペインの出版社がリメイク。種族プレイヤーボード、新しいマップ、組み合わせて入れるモジュール、協力ゲームルールなど多くのものが追加されている。


クレオパトラと建築士たちデラックス(Cleopatra and the Society of Architects: Deluxe Edition)
ゲームデザイン・B.カタラ&L.モーブロン、イラスト・M.コインブラ、出版・モジトゲームズ。
デイズオブワンダー社から2006年に発売された立体コンポーネントぎっしりのボードゲームがアメリカの会社によりさらに豪華になる。4月1日からキックスターター開始予定。


リートブルクの解放(Die Befreiung der Rietburg)
『アンドールの伝説』の世界で繰り広げられるスタンドアローン(拡張ではなく単体で遊べる)ボードゲーム。今秋の発表予定。


ジャイプル(Jaipur)
ジョードプル(Jodhpur)
アンコール(Ankhor)
スペースカウボーイズ(フランス)が2人用ゲームシリーズを一挙リリース。『ジャイプル』は2009年にゲームワークスから発売された作品のリメイクで、残りの2タイトルは『ジャイプル』の作者S.ポーションに加えて、『8ビットボックス』をデザインしたスイス人デザイナーコンビのF.クリティンとG.ラルギーがクレジットされている。


ニューデール(Newdale)
ゲームデザイン・A.プフィスター、出版・ルックアウトゲームズ。シュピール’19で発表予定。日本語版も発売された『オー・マイ・グーッズ!』のボードゲーム版で、キャンペーンルールなども踏襲している。


マラカイボ(Maracaibo)
ゲームデザイン・A.プフィスター、出版・ゲームズアップ(ドイツ)。リソースマネージメント、ピック&デリバリー、建設と拡張といったクラシックなユーロスタイルにプフィスター独自の味付け。シュピール’19で発表予定。


エルドラド:黄金寺院(El Dorado: Die goldenen Tempel)
ゲームデザイン・R.クニツィア、2~4人用、10歳以上、60分。一昨年のドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされたレースゲームに、拡張第2弾が登場。単体でも遊ぶことができる。


5211(5211)
ゲームマーケット2017秋にGALLERY OUCHI(香川)から発表されたカードゲーム『5 COLORS ~ファイブカラーズ~』のリメイク。『アズール』のネクストムーブがライセンスを取得し、プレイ人数を2~8人になる。ゲームデザインはオリジナルがJ.バニスターだったが、今回は”Tsuyoshi Hashiguchi”と表記。発売日未定。


Coffee Roaster(コーヒーロースター)
ゲームマーケット2015秋でSaashi & Saashi(京都)が発表した1人用ゲームをdlpゲームズ(ドイツ)が出版予定。dlpゲームは『横濱紳商伝』のドイツ語版を発表し、国際的評価を高めるのに一役買ったことがある。