手札半公開の詰トリテ
(写真)3トリック獲得したところで残るダイスは3か4。手札はそこそこ強い。4トリックはありそうだけど、5トリックは回避したいところ。
ダイスもカードとして使える国産の予想ビッド式トリックテイキングゲーム。ダイスは最初に振ったらもう動かさないため運の要素はほぼなく、非公開の手札と、公開されているダイスが織りなすテクニカルなプレイが楽しめる。
最終的に何トリック取れるかを手札を見て予想する予想ビッド式トリックテイキングゲームには、『ウィザード(1984年)』『ジュピターのもとに(2008年)』『スカルキング(2013年)』など先行作品がいくつかある。手札運の要素を緩和するとともに、終盤にかけて取る取らないを調整していくのは経験が必要となる。『ノコスダイス』もこの系統に入るが、手札の一部がダイスとして公開されていることで詰将棋(詰トリテというべきか)のような様相を呈する。
各プレイヤーははじめ、10枚の手札と、袋から引いて振ったダイス2個をもつ。さらに場にジャラジャラっとダイスを振って、そこから1個ずつドラフトする。手持ちのダイスは、カードの色と対応しており、公開の手札ということになる。ドラフトで残ったダイスの目と色が切り札。そしてカード10枚とダイス4個を使って、マストフォローのトリックテイキングを14回行う。
獲得トリックの予想は、ゼロトリックの場合のみ最初に行うが、それ以外は最終的に残った手持ちのダイスの出目が予想数となる。全体で14トリックあるので、4人なら4人で割って平均3~4トリック、ゼロトリックの人が1人いれば3人で割って4~5トリックぐらいが期待値である。したがって、3~5あたりのダイスはキープしておいたほうがよいことになる。しかし手持ちのカードもダイスも少なくなるにつれて、キープしておいたダイスを放出しなければいけなくなることも。
出目も関係するが、予想に使うダイス、トリックテイクに使うダイス、そして皆から見えない手札のバランスがゲームを悩ましいものとする。予想の選択肢を増やすために手札を多めに使っていくと、終盤は手の内が丸わかりとなり、妨害されるかもしれない。逆に手札を残していくと予想の選択肢が少なくなって、融通がきかなくなる。手札から出すか、ダイスから出すか、いつも綱渡りをしている感覚がある。
4人プレイで45分ほど。第1ラウンドでゼロトリックを単独成功させた鴉さんが逃げ切り勝利。ほかの人が高い出目をドラフトしていたら、取る気満々ということだから、多少強い手札があってもゼロトリックできるのかもしれないが、ハメられて取らされる可能性もあるので、なかなか勇気がいる。ゼロトリックでないにしても、最後の1トリック取れるかどうかの状態で終盤を迎えるので、どのカードでリードするか、2番手3番手で何を出すのか、考えることが多くて緊張感が半端ない。
ノコスダイス
ゲームデザイン・松本裕/イラスト・別府さい
Quoth Games(2016年)+Engames(2019年)
3~4人用/10歳以上/30~40分