ボードゲーム愛好者サーベイ(4)嗜好
当サイトでは、カウンターの1000万ヒットを記念して、2019年2月16日より28日まで、読者アンケート「ボードゲーム愛好者サーベイ」を実施した。連絡先が重複しているものを除き、890人に回答頂いた。その集計結果の4回目。
・ボードゲーム愛好者サーベイ(1)基本情報
・ボードゲーム愛好者サーベイ(2)プレイ環境
・ボードゲーム愛好者サーベイ(3)購入と所有
・ボードゲーム愛好者サーベイ(5)当選者発表
好きなテーマ
ファンタジー 543人(60.7%) 中世 519人(58.1%) 文明発展 430人(48.1%) 探険 397人(44.4%) SF 384人(43.0%) 歴史 325人(36.4%) 経済 315人(35.2%) 動物 253人(28.3%) 鉄道 248人(27.7%) 戦争 215人(24.0%) |
テーマなし 183人(20.5%) 政治 165人(18.5%) 海賊 148人(16.6%) レース 137人(15.3%) クトゥルフ 135人(15.1%) ホラー 131人(14.7%) ウェスタン 128人(14.3%) 原始時代 121人(13.5%) ゾンビ 107人(12.0%) スポーツ 66人(7.4%) |
過半数を超える人気だったのが「ファンタジー」と「中世」。『テラミスティカ』『カヴェルナ』『アンドールの伝説』など、いろいろな種族が持ち味を生かして戦うファンタジーボードゲーム、『あやつり人形』『キングドミノ』『レジスタンス・アバロン』のようにお城・王様・騎士たちといった中世ボードゲームにはたしかに人気がある。今回もThe Daily Worker PlacementのBoard Game Survey (グラフ”DW”)と比較したところ、ファンタジーと中世は確かに人気が上位だったが、それを上回る人気を集めたSFがこちらではそれほど人気がない。また、海賊、ホラー、ウェスタン、原始時代、ゾンビも欧米ほどの人気がなかった。
その他としては農業、ヴァイキング、ロボット、メカ、スチームパンク、泥棒、ギャング・マフィア、戦国時代、日本、アジア、ラテンアメリカ、アラブ、自然、植物、旅行、航空、船、ヒーロー、美少女、映画、ミステリー、ナンセンス、おバカ、エロなどが挙げられている。
好きでないテーマ
クトゥルフ 300人(33.6%) ゾンビ 281人(31.4%) ホラー 248人(27.7%) テーマなし 172人(19.2%) 政治 158人(17.7%) スポーツ 150人(16.8%) 戦争 120人(13.4%) SF 100人(11.2%) 経済 86人(9.6%) レース 69人(7.7%) |
ファンタジー 66人(7.4%) 鉄道 59人(6.6%) 歴史 54人(6.0%) 海賊 44人(4.9%) 原始時代 36人(4.0%) 動物 35人(3.9%) ウェスタン 34人(3.8%) 中世 25人(2.8%) 文明発展 25人(2.8%) 探険 12人(1.3%) |
クトゥルフ、ゾンビ、ホラーというホラー系がワースト3。Board Game Surveyも同じ傾向で、好き嫌いが分かれやすいジャンルであることが分かる(クトゥルフはBoard Game Surveyで項目になし)。一方、スポーツとレースは2つの調査で差が出た。『ボードゲームデザイナーガイドブック』では、「スポーツのボードゲームは、成功する見込みがほとんどない」という。本物のスポーツをボードゲームでは十分に再現できないことが理由である。テーマが好きではないというよりも、そのテーマ自体は好きでも、そのテーマの面白いボードゲームに出会ったことがあまりないというのが、この設問でパーセンテージが上がる原因ではないだろうか。同じことが、ゾンビやホラーにもいえるかもしれない。デザイナーにとってこれらのテーマは避けるべきものではなく、挑戦しがいのあるものと捉えたい。
その他としては恋愛、学園、東アジア、インド、人狼、社畜、ブラック、農業が挙げられている。
好きなメカニクス
ワーカープレイスメント 572人(64.0%) タイル配置 513人(57.4%) リソースマネージメント 504人(56.4%) 陣取り 412人(46.0%) デッキ構築 408人(45.6%) 協力 354人(39.6%) トリックテイキング 352人(39.4%) セットコレクション 313人(35%) カードドラフト 310人(34.7%) ハンドマネージメント 305人(34.1%) 競り 334人(37.4%) |
交渉 257人(28.7%) 正体隠匿 239人(26.7%) アクションポイント 221人(24.7%) チーム戦 216人(24.2%) 大喜利 201人(22.5%) ピックアップ&デリバー 184人(20.6%) 運だめし 165人(18.5%) 1対多 110人(12.3%) 当てっこ 72人(8.1%) 拡大再生産 6人(0.7%) |
『アグリコラ』などでおなじみのワーカープレイスメントが一番人気。タイル配置は『カルカソンヌ』、リソースマネージメントは『カタン』というように、人気ボードゲームがそれぞれのメカニクスを印象づけている。
Board Game Surveyと比較して日本で人気が高いのはタイル配置、陣取り(エリアコントロール)、デッキ構築、競りで、逆に低いのはアクションポイントである。デッキ構築の代表格『ドミニオン』世界選手権が下火になる中で日本選手権は規模を維持していたり、競りを得意とするクニツィアの往年の名作が日本語版となって再登場したりするように、日本独自のボードゲームシーンの盛り上がり方が、メカニクスの人気にも影響しているのかもしれない。
その他ではネットワーク構築、パズル、アクション、バランス、反射神経、非対称、記憶、ブラフ、お絵描き、ストーリー体験、バッグビルドなどが挙げられた。
その他重視すること
アートワーク 647人(72.4%) テーマとメカニクスの調和 399人(44.6%) 盛り上がれること 379人(42.4%) インタラクション 362人(40.5%) リプレイアビリティ 317人(35.5%) デザイナー 285人(31.9%) ツイッターなどで話題 230(25.7%)人 |
BGGのレーティング 205人(22.9%) 2人で楽しめること 187人(20.9%) イノベーション 147人(16.4%) 運の要素が低いこと 135人(15.1%) 出版社 92人(10.3%) 輸入代理店 18人(2.0%) |
テーマとメカニクス以外では、アートワークが最も高く7割以上を占めた。国内外でこれだけ数多くの新作がリリースされる中、購入の決め手として箱絵やコンポーネントの美しさは以前にもまして重視されているようだ。
Board Game Surveyではこの設問は自由記述で、だいたい上記のような回答が寄せられている。当アンケートではその他にも、コンポーネント、ギミック、値段、1人で遊べること、他人が持っていない、途中であまり脱落しない、友人と遊べそう、子どもが好きそう、没入感、ルールの分かりやすさ、ルール量、言語依存、プレイ時間、運の要素が適度にあることこと、適度な難易度、ゲームバランス、先行後攻の有利不利のなさなどが挙げられている。
以上でボードゲーム愛好者サーベイの集計結果と分析は終わり。次回は回答して下さった方々から抽選で当選者を発表する。
R.クニツィアの都市再建ゲーム『ブルームーンシティ』日本語版、5月下旬発売
ホビージャパンは5月下旬、『ブルームーンシティ(Blue Moon City)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・R.クニツィア、イラスト・N.フルクトゥス、2~4人用、14歳以上、30~50分、6000円(税別)。
種族ごとに違うデッキで戦う2人用カードゲーム『ブルームーン(2004年、日本語版は『ライナー・クニツィアのブルームーン:レジェンド』)』のボードゲーム版として2006年にコスモス社(ドイツ)から発売され、同年、ドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされた作品(大賞は『郵便馬車』)。昨年秋にCMON社(シンガポール)がアートワークも新たにリメイクしたものが、今回日本語版として発売される。
8種類の種族の力を借りて、荒廃した都市を再建する。モジュラーボードの上で自分のコマを移動させ種族カードをプレイして建物にマーカーを置く。その建物のマスが全て埋まったら修復完成で、建設に協力した全員に報酬、一番多くマーカーを置いていた人に特別報酬が入る。カードは建物の建設だけでなく、ドラゴンを呼び寄せたり、自分のコマの移動距離を伸ばしたり、カードの色を変えたりできる特殊能力がある。
報酬でもらえる水晶を集め、規定数のオベリスクに捧げ物を先に済ませたプレイヤーが勝者となる。
各プレイヤーのコマは全て異なるミニチュアで、ドラゴンのミニチュアも刷新。8つの種族の美しいイラストで15年ぶりの再登場だ。
内容物 プレイヤーミニチュア4個、プレイヤーマーカー40個、ドラゴンフィギュア3個、フィギュアの台座3個、両面印刷のタイル25枚、種族カード80枚、オベリスク1枚、トークン類57個、ルールブック1部