CMONがヤポンブランドと業務提携
ボードゲーム出版社のCMON Limitedは24日、日本製ボードゲームを海外に紹介するプロジェクト「ヤポンブランド」と業務提携し、傘下に加えることを発表した。ヤポンブランドは今後、独立したエージェント事業部として活動を継続する。
ヤポンブランドは2006年に設立され、エッセン・シュピールにブースを取って日本製ゲームを紹介してきた。これにより『ラブレター』『街コロ』『タイムボム』などが海外出版社の知られるところとなり、数多くの海外版が作られている。
業務提携に伴い、ヤポンブランドの代表は健部伸明氏から野村紹夫氏(ルートイレブン)に交替。健部氏がディレクターを務めていたCMONジャパンとは同じCMON Limited傘下となるが、業務内容が異なるため別々に活動する。健部氏はどちらの職も辞し、フリーランスとしてサポートや製品開発に携わることになった。
「多くの個人作家にとって海外は、社会的・経済事情等により依然として遠い道です。ヤポンブランドの存在は彼らにとっての希望であり続けたい。CMONのバックアップを得て、我々はこれまで以上に活躍できると期待しています」と野村氏。CMON LimitedのCOOであるデビッド・プレティ氏は、「ヤポンブランドは常に日本のゲームデザインを世界に知らしめてきた、素晴らしい大使です。その精神こそが非常に重要であり、私達はその長い伝統の一翼を担えることを光栄に思います」とコメントしている。
これまでは出品者の共同負担とボランティアスタッフによって支えられてきたが、今後は採算性を踏まえた事業体制の構築を進めることになる。野村氏によると、希望サークルを募ってのエッセン・シュピール出展は継続しつつ、これまでのライセンス販売だけでなく、独自の印刷製造による海外展開を計画しているという。
アークライト、KADOKAWAの子会社に
KADOKAWAは26日、アークライトの株式を取得して子会社化することに合意したことを発表した。同社のIP(知的財産)創出とメディアミックスの拡充を目指す。
KADOKAWAは出版業のほかに、映像、ゲーム、Webサービス、教育、IP体験施設の運営などを手掛ける総合エンターテインメント企業で、ニコニコ動画のドワンゴや専門学校のバンタンなどを子会社にもつ。2022年にアークライトと共同で「ダンジョン飯」のカードゲームを制作し、昨年にはアナログゲームブランド「カドアナ」を設立して「貞子」「スパイ教室」「おでかけ子ザメ」などのIPものを出版してきた。
発表では「アークライトをグループに迎えることで、KADOKAWAが保有する人気IPのメディアミックスのジャンル拡充、すなわちアナログゲーム商品化を加速させるとともに、アークライトが主催・運営する国内最大規模のアナログゲームイベントを通じて新たなゲーム開発者や作家を発掘することでIP創出点数のさらなる拡大を目指し、グループの成長を加速してまいります」として、キャラクターを使ったアナログゲームの開発を期待している。一方、アークライトの福本皇祐社長は「この業界の更なる飛躍のためには海外への進出、IPとの連動が必要だと考えてきました」といい、エッセン・シュピールへの出展などによる国産アナログゲームの海外展開も視野にいれる。
アークライトはTCG販売店「ホビーステーション」32店舗の運営、ゲームマーケットの主催・運営、TRPG、国産・海外日本語版ボードゲームの出版などを行っており、現時点ではすべて継続の方向。KADOKAWAの子会社化で今後、事業内容に正負どのような変化が起きるか注目される。