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アイル・オブ・キャッツ(The Isle of Cats)

海の藻屑となる前に

闇の勢力が迫るネコの島から、ネコをたくさん船に乗せて救出することを目指すタイル配置ゲーム。ネコタイルは一癖も二癖もある形状で、ぴったり配置するのは大変だが、救出というテーマがモチベーションを最後まで高めてくれる。

毎ラウンド、島の周りに袋から引いたネコタイルが並べられる。悲しいかな、救出できないとディスカードされてしまうので、何とか1匹でも多く救いたいところである。

各プレイヤーに7枚のカードが配られる。カードには、得点条件、ネコ救出、隙間を埋める財宝タイル、いつでも使えるアクションカードがあり、そこから2枚ずつピックアップしてとなりのプレイヤーに回すドラフトを行い、ドラフトが終わったら、ほしいカードの魚コストを支払って手札に入れる。

使うタイミングも内容も異なるカードをひとまとめにしてドラフトし、コストを使用時ではなく獲得時に支払うことで、手順をシンプルにしているところに好感が持てる。ただし、カードに偏りがあると、ドラフトではどうしようもないこともある。

全員がキープするカードを選んだら、カードの種類ごとにフェイズを行う。まずは得点条件カード。自分専用のものは伏せて自分の前に置き、全員共通のものは公開して読み上げる。これによって方針が決まっていく。得点条件カードはどんどん増えていって覚えきれないので、伏せてあるカードを時々確認しておく必要がある。

次にいよいよネコ救出カード。一斉にカードを出して、ブーツの数字の合計が高い人から順にタイルを選べる。中央の島から1匹ずつ取るが、ネコを入れるバスケットと、おびき寄せる魚がその都度必要になる。バスケットは毎ラウンド1つは保証されているが、それ以上はカードやアクションカードで入手しなければならない。魚は毎ラウンド一定数配られるので、やりくりして計画的に使いたい。

救出したネコは自分の船ボードにのせる。最初はどこに置いてもいいが、次からは隣接してつなげていかなければならない。ゲーム終了時に、連続している同じ色のネコタイルが得点になり、部屋の空きマスや見えているネズミが失点になるので、ネコタイルの形状を選んでうまく配置しよう。

ネコタイルは5~7マスあって、形状もさまざまであり、ぴったり並べるのは難しい。そこで重宝するのが1~4マスの財宝タイルである。これは船ボードの宝の地図を同じ色のネコタイルで覆ったときと、財宝タイルのカードで手に入る。袋から出てくるレアな財宝タイルは最後に得点になるので効果的に使いたい。5ラウンドでゲーム終了し、得点計算して終了。

マス数が多めの使いにくいタイルを、マス数が少ないタイルで調整するというタイプのグリッドカバーゲームは『ニューヨークズー』にも見られるが、そこにさまざまな得点条件を加え、あえて空きマスにしたり、一部だけ埋めるようにしたりするよう仕向けている。埋めたほうが得なのか、空けておいたほうが得なのかは簡単に計算できないようになっていて、かなり悩ましい。これにどのタイルを選ぶか、選んだタイルをどの向きで配置するかというパズル的な悩ましさが加わって、深く考えさせるゲームになっている(この悩ましさに耐えられない人には、ファミリールールも入っている)。ネコちゃんのために。

The Isle of Cats
ゲームデザイン&イラスト・F.ウェスト
ザ・シティー・オブ・キングス社(イギリス, 2020年)
1~4人用、8歳以上、60~90分

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書籍『安田均のゲーム紀行 1950-2020』12月14日発売

新紀元社は12月14日、書籍『安田均のゲーム紀行 1950-2020』を発売した。A5版160ページ、1800円(税別)。

グループSNEの安田均氏が、70歳を迎えてまとめた半生記。幼少期から現在に至るまでの自伝と、ベストゲーム100選の解説付き紹介が掲載されている。TRPG、TCG、ゲームブック、マーダーミステリーと幅広く渉猟してきた安田氏の多角的な視点と、今も衰えることのない熱意を感じられる書籍だ。

フルカラー写真付きのゲーム100選は『アクワイア』から『ザ・クルー』、50年以上の年代とさまざまなジャンルにまたがっており、読み応え十分。それぞれのゲームの多種多様な面白さを描き出している。

日本の現代ボードゲーム史を語る上でも欠かせない一冊。帯に「楽しいのはこれからですよ」とあるように、読んでいると今後のアナログゲームの発展が楽しみになってくる。