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盆暮れ正月両彼岸(Bon, Year End, New Year’s Day, and Both Higans)

考えるお墓参り

お墓参りをテーマにしたトリックテイキングゲーム。お寺ボードゲームシリーズをリリースしている陽岳寺不二の会がクラウドファンディングを経て、ゲームマーケット2021春に発表した。12トリックでの得点を予想するビッド式のトリックテイキングだが、手札を使ったビッド、得点の異なる7スート、ラウンドごとに変わるフォローのルール、カードによる特殊能力と、たくさんの要素が詰め込まれている。

テーマはお墓参りなので、スートは「誰のお墓にお参りに行きたいか」で、数字は「お参りに行きたい思いの強さ」を表す。基本はマストフォローでカードを1枚ずつ出し、一番思いの強かったプレイヤーがお墓参りを果たせる。「おぼうさん」はジョーカーでリードスートより強いが、複数出た場合は強いおぼうさんが勝つ。

余談ではあるが大都市の斎場や墓地では、お互いを知らないおぼうさん同士が鉢合わせすることがある。そういうときは年長者を優先し、若い人は頭を下げて譲るのがひとつの礼儀となっている。年齢不詳の場合は、衣や袈裟の色が派手か地味かで判断し、それも微妙なときは動きが早いかゆっくりかで判断する。そのため妙に若く見える方が派手な衣を着てゆっくり歩いていると違和感がある。

それはさておき、ゲームの始めに手札から1枚を出してビッドする。そのスートのお墓参りを果たし、その数字ぴったりの「ゴエンポイント」を集めることを目指すという意味がある。全員がビッドしたら、残りの手札でゲームスタート。今遊んでいる時期から一番近い行事(今だったら「7月盆」)からラウンドを始める。

ラウンドごとにフォローのルールが変わり、お盆には指定されたスートでリードしなければならず、お彼岸にはメイフォローとなってどこにでもお墓参りできる。また、「おじさん」と「ぼうや」、「おじいちゃん」と「おばさん」というように対応するスートを出していると得点できる「ビンジョー参り」もある(同じ墓地にいるという設定)。

さらにトリックに勝つと特殊効果が発動するスートもあり、他のプレイヤーと手札を交換したり、予想を変更したりすることもできる。

12トリックで獲得したカードの「ゴエンポイント」を合計し、予想との差分で勝敗を決める。ただし予想に使ったカードのスートを獲得していない場合、行きたかったお墓にお参りできなかったことになり、脱落となってしまう。

トリックテイキング自体がゲーマー向けのメカニクスである上に、要素がたくさん加えられているので、難易度の高いゲームとなっている。お墓参りもいつどこに行くべきか、実はこれくらい考えたほうがよいのかもしれない。

盆暮れ正月両彼岸
ゲームデザイン・向井真人/イラスト・前川ユウ&三上鮎子
陽岳寺不二の会(2021年)
3~5人用/10歳以上/20分

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行方不明の冒険者を探して仲間に『ロアム』日本語版、6月24日発売

アークライトゲームズは6月24日、『ロアム(Roam)』日本語版を発売する。ゲームデザイン&イラスト・R.ローカット、2~4人用、10歳以上、30分、4,180円(税込)。

イベントブックゲーム『アバブ&ビロウ』『ニアー&ファー』の作者が、同じ世界観・キャラクターで制作した中量級のエリアマジョリティゲームで、オリジナル版はレッド・レイブン社(アメリカ)がキックスターターを経て2019年に発売された。古代文明が栄えた地で、夢遊病にかかった行方不明の冒険者たちを探し出す。

手番には自分のキャラクターカードから1枚を使って、カードに書かれたパターンで土地カードにキューブを配置する。土地カードが全て埋まると、最も多くキューブを置いていたプレイヤーが土地カードを獲得し、新しいキャラクターとして仲間に入れて得点にしたり、新しいパターンとして使えるようになったりする。

また土地からコインを獲得することにより、特別アクションを使ったり、アーティファクトを購入したりできるようになる。誰かが10人の冒険者を仲間にしたらゲーム終了で、勝利点で勝敗を決める。

個性的なキャラクターのカードには、ユニークな行動が書かれているところも見どころ。複数のオプションルール、プロモセットの宝石&アニマルにより、上級者も楽しめる。

内容物:土地/キャラクターカード 43枚、開始キャラクターカード 12枚、アーティファクトタイル 24枚、探索キューブ 96個、1コイントークン 30個、5コイントークン 6個、サマリーカード 4枚、拠点カード 1枚、ルールブック 1冊、プロモセット(アニマルカード 5枚、宝石カード 4枚、宝石トークン 120個)(カードサイズ:120×70㎜)