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違う数字で陣取り『広場―数の石庭―』日本語版、11月下旬発売

ホビージャパンは11月下旬、『広場―数の石庭―(Hiroba)』日本語版を発売する。ゲームデザイン:J.ベンヴェヌート&A.ドロワ&B.ルー、イラスト:A.ボイヤー、2~4人用、10歳以上、25分、3300円(税込)。

数独の要領でプレイする禅庭の陣取りゲーム。オリジナルはファニーフォックス社(フランス)から今秋発売された。

自分の色の小石(数字1~9)を順番に配置していくが、同じ庭、同じ行、同じ列には同じ数字を置くことができない。全員が置き終わった時、庭ごとに数字の合計が多い人が勝利点(庭の広さ)を獲得し、合計を競う。

またところどころにいる錦鯉は、隣接するマスの数字が最も小さいプレイヤーが獲得でき、好きな庭の得点を2倍にできるため、広い庭に集中して2倍を狙うか、狭い庭で競合を避けるかの選択肢が一層悩ましくなっている。

完全情報公開ゲームの中にもプレイヤー間の駆け引きがある和テーマの作品だ。

内容物:地形タイル 12枚、プレイヤーボード 4枚、小石 36個、錦鯉トークン 15枚、庭石トークン 4個、 スコアシート 1冊、ルールブック 1部

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ゲームマーケット2022秋:1日目レポート

10月29日と30日、雲ひとつない秋晴れの中、東京ビッグサイトにてゲームマーケット2022秋が開催された。今回の使用ホールは東1・2・3で、面積は25690㎡と過去最高。出展ブースも890とコロナ以前の規模にほぼ戻ってきた。来場者数は1日目が12000人、2日目が9000人で合計21000人だったことが、後日ゲームマーケット事務局から発表された。


会場の東京ビッグサイト入口。東展示棟は奥のほうにあり、連絡ブリッジを渡って500mほどある

今回も前回と同様、1日目はアーリーチケットによる早期入場制が取られた。通常チケット1500円のところ、3000円で1時間早く入場できる。アーリーチケット2000枚は数日前に売り切れたため、開場時には2000人が待機列を形成していたことになる。


11時開場時の様子。腕バンドを付けた人たちの波が会場を埋め尽くしていく

12時を過ぎて一般入場が始まると、会場の人口密度は一層増した。通路はエッセン・シュピールよりも広いくらいだったがあちこちで渋滞が発生し、特に大きな荷物をもった人たちが行き交うため、ブースに立ち止まって品定めをする隙間もないほど。ところどころに設けられた休憩所のパイプ椅子は、大きな荷物で疲れたところにありがたい。


会場内の様子。奥のほうが企業などが出展するエリアブース、手前が小さく区分けされた一般ブース


カホンリュックにボードゲームをいっぱい詰めて歩いていたボードゲーム芸人のいけだてつや氏と、解決!ボードゲームクリニックで共演するセンセイさん

ゲームマーケット事務局長の刈谷圭司氏によれば、会場予約は1年前に行うため、今回はコロナ禍の収束を予想して広い会場をとったという。出展申込者は全員当選し、パイプ椅子の休憩所ができるくらい余裕があったが、次回会場が狭くなって出展者が増えればこうはいかない。コロナ前のように右肩上がりとはいかないため、先読みが難しいのである。


刈谷氏はアークライト社を退職するため、ゲームマーケット事務局長は最後となる。「エンジョイします!」

エリアブースは広さを生かした展示が行われていた。

『スカウト』のドイツ年間ゲーム大賞ノミネートで勢いに乗るオインクゲームズは『スカウト』の自動販売機のほか、新作として間違い探しを作るゲーム『まちがいさがし開発課』と、リアルタイムでフルーツを集める『テキパキもぎもぎ』を発表。『スカウト』のワンモアゲームズ版は今回のゲームマーケットで売り切り、今後は国内でもオインクゲームズ版が流通するという。

すごろくやは新作の『音速飯店』試遊コーナーなど、いくつかの体験コーナーを屋台村のように配置。『音速飯店』が遊ばれるたびにドラの音が鳴り響いていた。

アークライトは現在クラウドファンディング中のカイジュウ・オン・ジ・アースシリーズ第4弾『クアント』を展示。『ウイングスパン:アジア』など未発売の海外作品も大きく展示されていた。『エクリプス』など日本語版の先行発売もあって奥には長い購入列ができていた。

合同ブースのマーダーミステリーも前回同様大人気。ネタバレ禁止のため概要をなかなか知ることができないマーダーミステリーも、ここでは製作者から個々の作品の魅力を解説してもらって、購入するかどうか検討できる。

今月上旬のエッセン・シュピールにも出展したittenはファンブリックシリーズの新作『忍者マスター』(R.クニツィア)を発売。これを含むファンブリックシリーズ5タイトルの英語版は現在キックスターターでクラウドファンディング中で、すでに400万円以上を集めている。

ゲームストア・バネストはエッセン・シュピールの新作をいち早く輸入販売。こちらも2時間ぐらいにわたって長い行列ができ、次々と売り切れが出ていた。

ついにゲームマーケットにも本物の車が展示されるようになった。特製ボールペンで特製消しゴムを弾いて遊ぶ「あそぼうぐ」のGGF-Tは、第1回スーパーカー消しゴム落とし大会を実況中継付きで試遊。

ドリームブロッサムはテニスゲーム『スイングボール』を試遊。ボールについているヒモを相手側に振り切らせることを目指してラケットで打ち合う。エッセン・シュピールのガレリアを思い出させる。

20団体以上が合同で手作りの関連グッズや書籍を出品した「十華祭」。可愛らしいボードゲームアクセサリーが一同に並ぶと宝石店のようになる。

KADOKAWAがクトゥルフ神話TRPG、ホラーマーダーミステリーと共に出展していたのはカードゲーム『うんこカレー』。カレーカードの一部の裏がウンコになっていて、それを押し付けあう。12月発売予定。

特設ブースでは手作りコントローラーで遊べるTVゲーム「make.ctrl.Japan 4」が開催。『みんなでもぐらたたかれ』はセンサーが感知して叩かれないように穴から頭を出す。

伝統ゲーム体験コーナーでは『ラミィキューブ』に混じって、ゲームマーケット創始者である草場純氏がトルコの『オーケイ』、スペインの『マドリード』を説明。同じラミィ系ゲームではあるが、手札で作るか場札で作るかなどの違いがあってそれぞれの面白さがあるという。

近年メディア露出が多いプロ麻雀リーグ「Mリーグ」では、ユニフォームを身にまとったMリーガーと1局打てる体験コーナーを開設。プロの腕前を見ようと人だかりができていた。

一般ブースは数が多くてすべてをチェックすることが難しいが、話題のサークルや著名デザイナーが新作を発表しているから見逃すことができない。毎回作品がバズるだけでなく、展示方法も楽しいAzb.Studioは、美術作品のパロディを使ったカードゲーム『美術大戦』を出展。

このところライトなカードゲームを多く発表してきたOKAZU Brandは久しぶりとなる大作鉄道ゲーム『レイルウェイブーム』を発表。

今年のエッセン・シュピール「スカウトアクション」で1位となった『キャット・イン・ザ・ボックス』の作者、常時次人氏は新作『オンリーワンコレクション』を発表。

エッセン・シュピール「イノシュピール」賞を受賞した『ヘイヨー』の作者、齋藤隆氏は新作『オープン』を発表。

時事問題を巧みにボードゲーム化する芸夢工房の北条投了氏の新作は『ANGRY!!』『国葬最前線』『「けつ○あな確定リーチ」のリーチ演出を考える』。

仏教ボードゲームのようがくじ「不二の会」は、『おえかきネハンズ』を現在クラウドファンディング中(写真はなりすまし)。

クリアファイルや鉛筆などを使ったゲームシリーズ「BUNGU GAMES」は、名古屋のボードゲームデザイナーが中心となって制作し共同出店した。

今回のゲームマーケットは、コロナによる入国規制が緩み、出展者にも来場者にも海外からの参加者が多く見られるようになった。ここでしか買えないゲームが多いゲームマーケットは、海外の愛好者や出版社にとって宝の山となっている。写真は取材受付で一緒になったOpinionated GamersのJ.ネイザン氏、ドイツから参加のL.ショイバー氏、フランス・カクテルゲームズのM.デプヌ氏、通訳のヤニック氏。

以上、1日目のレポートを終わる。2日目は参加できなかったためゲームマーケットのレポートはここまでとなるが、次回はゲームマーケット2023春が5月13、14日(土日)に行われる(ゲームマーケット2023大阪は開催見合わせ)。またたくさんの同好の士が一同に顔を合わせられる機会を心待ちにしたい。