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ビバ・パンプローナ(Viva Pamplona)

牛は気まぐれ

北スペインのパンプローナという街で毎年7月に開かれている牛追い祭。闘牛場に牛を運ぶときに、若者たちが度胸試しに牛の前を走ったのがもとで、すでに600年も続けられている。大賞作家のW.クラマーがこのお祭りをもとに作ったボードゲームが『ビバ・パンプローナ(パンプローナに栄光あれ)』である。
ダイスでコマを進めて、カードで牛を進める。カードの中にときどき得点計算が入っており、この時点で牛と同じマスにいるコマは3点、1マス前は2点、2マス前は1点が入る。一方、牛の後ろにいるコマは全て失点。
自分のコマは3つあり、1回の手番で進められるのはそのうち2つだけ。ダイスは運だが、出目を見て、どのコマを進めればよい位置取りができるかは考えどころである。0〜6マスを選択できる矢印の目の使い方もテクニカル。一方の牛は気まぐれで、のんびり歩いていたかと思えば急に猛突進し、微調整して来るのを待っていた人は翻弄されまくる。
ゴールは、『ドラダ』のように後から入ったコマほど得点が高い。しかし、牛がゴールしてしまうとその時点でゲームが終わってしまう。だから終盤は、牛と同じマスにいることよりもゴールを目指したほうが得かもしれない。ほかの人との駆け引きもある。
さらに、同じマスに自分のコマがほかの人より多く集まるとカツアゲできるルールや、牛より後になっても失点しない特別マス、3以上出さないと進めない「トマトの坂」(トマトが坂道にぶちまけられていて、人も牛も転んでしまう)があって、展開に多様性を持たせている。
今回は途中で連続得点計算が起こり、牛の歩みがしばらく止まったので、みんなトマトの坂を利用して足踏みしていた。ここで得点計算が起こればと皮算用するみんな。ところが牛はあっさりとトマトの坂を越えてゴールしてしまった。ゴールできたのはnaoさんの1人だけ。でもそれは1点に過ぎず、途中でカツアゲしまくった神尾さんが1位となった。
トマトの坂でみんなが待っているなら、得点計算が起こっても差はつかない。それならいっそのこと、先回りしてゴールしたほうがよかったかなと思っても後の祭り。でも荒れ狂う牛を前に、こわごわ(あるいは大胆に)近づく雰囲気がよく出ていて楽しかった。
Viva Pamplona
W.クラマー/シュミット(1992年)
2〜6人用/8才以上/45分
絶版・入手難

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ブタなかま(Schweinebande)

トントン拍子には集まらない
同じ種類の家畜タイルを集めて得点を競うゲーム。寡作だが堅実な作品を作り続けているS.ドーラがハンス社から発表するのは『メディナ』以来9年ぶりということで期待していたが、相変わらずプレイヤーの快楽ポイントを見事に押さえたよいゲームだった。
ゲームは4ラウンドあって、毎ラウンドボードに動物を裏にして並べる。手番には好きなところをめくって、気に入ったら自分のコマを置き、イマイチだったらパス。自分のコマを置き終わった人から順番タイルを取って抜ける。めくり運と、ほかの人が集めている動物を見ながらの駆け引きの両方が楽しめる。
さて、全員がコマを置き終わったら動物を全部めくって、順番タイルの若い順に動物を取っていく。1つのコマで取れるのは、そのコマから一方向にある動物のみで、しかもほかのコマが置かれている手前まで。先に抜けたほうが優先して動物を取れるが、後から置かれたコマで邪魔されるかもしれない。ところが後で抜けると自分が取る番にはあらかた取りつくされてしまっている。たくさん取ることよりも、狙って取ることが大切なようだ。
ラウンドの最後に、同じ動物が4枚揃っていたら得点にできる。まだ揃っていない動物は次のラウンドに持ち越せるが、そのためにはエサをあげなければならない。エサタイルを取っておくか、動物を何枚か手放してエサを確保する。
また動物を裏にして並べて次のラウンド。動物は各種枚数に限りがあるから、よく考えて残す動物を決めたい。4ラウンドの後、揃わなかった動物を4枚1組にして、一番低い動物の得点をもらう。あとなぜか、ブタは4枚揃えると得点が2倍になる。
5人でプレイ。盤面は広いように見えて狭く、抜けるのが遅れると1枚ぐらいしか取れなかった。くさのまさんが速攻で置くが、微妙に安いところなので皆が近寄らない。得点の低いタイルをかき集めたくさのまさんがトップ目で迎えた最終ラウンド。エサを温存して4枚目のブタに賭けた私が運よく見つけて逆転勝利。
余談ながら4枚1組で得点にしたり、次ラウンドに持ち越すエサを調達するのに動物を手放すのは、売ってお金にするという設定である。でも、ついつい「じゃあ食べまーす」「これは全部肉にします」とか言ってしまう。中国ではロバ肉を食べるらしいし。レッツ・ポーク!
ほしい動物をめくれるかどうか、自分がコマを置いた列が残るかどうか、運と駆け引きが相俟った、エキサイティングなゲームである。ドーラ大好き。
Schweinebande
S.ドラ/ハンス・イム・グリュック(2010年)
2〜5人用/8歳以上/30分
メビウスゲームズから発売予定(店長ブログ:ブタなかま
ブタなかま