Posted in は行

ファンフェア(Funfair)

遊園地ゲームを満喫
エッガートシュピーレ社(ドイツ)の創立15周年を記念して、昨秋に発売された遊園地をテーマにしたミニゲーム集。F.フリーゼなど10人のゲームデザイナーと、F.フォーヴィンケルなど6人のイラストレーターが参加した。制作料と売上の一部が、子供募金団体に寄付されることになっている。
アトラクションは全部で8つあり、このうち1ゲームでは4つを遊ぶ。アトラクションごとの順位でくじ引きポイントを手に入れ、最後にくじ引きをして勝者を決めるという次第だ。アトラクションは、アクションあり、ブラフあり、バーストあり、記憶ありとバラエティに富んでいる。
今回遊んだのはまず、ブラフゲームのフォーチュンテラーから。カードを渡して予言をし、相手は受け取るか拒否する。全員が拒否すれば自分で引き取らなければならない。回っているのは「ノーベル賞」などのプラスポイントか、「ヘルペス」などのマイナスポイントか?
2つ目はクレーンゲーム(いわゆるUFOキャッチャー)。2人1組となり、1人がジョイスティック、もう1人がアームとなる。ジョイスティック役が指示をして、アーム役が目隠しして箱の中から宝石をつかみ出す。砂時計が落ちる前に、高得点の宝石をつかみたい。指示していないのに、アームが暴走したりして笑えた。
3つ目はバイキング。できるだけ端の方に乗って、愉快ポイントを集めるのが目標だが、その分スタミナが減る恐れがある。死なないように適度に休憩して、あとは一か八かの勝負である。
4つ目はジェットコースター。こちらも2人1組にとなって、まずは制限時間内にコースカードを覚える。右、左、目を手で覆う、バンザイ、下を向いて「わあああ!」と言う……時間が来たら、、腕を組んで搭乗スタート。2人同時に、覚えておいたアクションをしなければならない。見ている方がおかしい。
今回は選ばなかったが、このほかに、制限時間内に絵柄に合わせてダイスを重ねるリング・ザ・ベル、ダイスをできるだけ早く振ってウマを進める競馬、誰かが脱落するまでカードを出すバンパーカート、悲鳴をもとに皆の怖いものを覚えるゴーストトレインがある。
さて、アトラクションが終わるたびに、くじ引きポイントが順位ごとに与えられる。最後に、これが多い人ほどたくさんくじを引くことができる。でもたくさん引けるからといって勝てるとは限らない。当たりはたった1つだけ。順番に1個ずつ引いていく。ドキドキのフィナーレだ。
かゆかゆさんが4ゲーム中3ゲームで1位という圧倒的な強さを見せたが、最後のくじ運に恵まれず、優勝はくじ引きポイントが3位だったnagaさん。ルールには「勝利が目的ではなく、記念作品として、陽気な友達と一緒に楽しい時を過ごすことに焦点が置かれています。モットーは「過程こそゲームの目的」です。誰が最後に勝つかなどということは問題ではありません。」と書かれている通り、(くじ引きも含め)たくさん笑って楽しめたのでよかった。
Funfair
I.ブラント、M.ブラント、P.エッガート、P.E.アラオイ、F.フリーゼ、M.リーネック、M.シュレーゲル、S.シュタドラー、T.シュターペルフェルト、B.シュトルテ/エッガートシュピーレ(2010年)
3〜6人用/8歳以上/30分

Posted in エッセイ

私がまだゲーマーでなかった頃(2):人生ゲーム

人生ゲームを初めて遊んだのは小学生のとき、友人宅でだった。見たこともない桁数の紙幣、10まで出せる豪華なルーレット、男女別のコマと車、そのどれもがそれまで遊んでいたすごろくと大きく異なるものだったが、一番興奮したのは、コースに山が浮き出ていて、その山にもマス目があったことだ。少し斜めになっている山のマスに自分のコマが止まると妙に嬉しかった。
振り返ってみると、ゲーム自体よりも、コンポーネントの魅力が人生ゲームにはあったと思う。ゲームの方はというと、小学生にはお金の計算が煩雑で、しかも時間が長いためゴールに着く頃にはみんな飽きてしまっていた。小学生くらいでは、大人が一緒に遊ぶ必要がある。
それから10年ほどして、学生時代だった90年代に人生ゲーム平成版が毎年リリースされた。こちらは対象年齢高めの設定で、ターゲットにばっちり合っていたため、楽しくて毎年買って、サークルの友人と遊んでいた。職業やイベントがここ1年間に流行したものなのと、プルトニウム船の押し付け合いやドラッグの使用など、ブラックなテーマを積極的に使っていたことから会話も弾む。
時間は2〜3時間くらいかかることが多かったが、一向に気にならなかった。ただ、先生の自宅で行われたクリスマスパーティで、世紀末をテーマにした1999年版を遊んだときは、あまりに終わらなくて「早く世界が滅びろ!」なんて思った。
サークルの出来事を題材にしてオリジナルの人生ゲームを創作したこともある。イベントカードを加えたり、パラメーターをいくつか作ったりして工夫した。出来上がる頃にはすっかり満足してしまって、実際には2〜3回遊んで終わったような気がする。
毎年のように買っていた平成版は、箱の大きさに困ってゲームマーケットで放出してしまったが、初代復刻版だけ自宅に残っていて、久しぶりに家族一緒に遊んだ。時間は思ったほどかからず、終盤のインフレもなかった(浮き沈みは激しかったが)ために、貧乏農場の賭けも生きて楽しめた。
現代における双六として、確固たる地位を築いているのは、ルールを読まなくても遊べるという手軽さのほかに、親の世代から遊ばれ続けているという歴史もあるだろう。人生ゲームは侮りがたい。