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ケルンボードゲームショップめぐり

エッセンから快速で1時間、駅前にいきなり大聖堂がそびえ立つケルン(Köln)の街を歩く。ボードゲームショップめぐりが目的だったが、駅を出ると吸い寄せられるように大聖堂に入り、気がつくと2時間も経っていた。どんなに興味がなくても、ここを通過していくことはできないだろう。
1件目のボードゲームショップは「シュピールブレット(Spielbrett)」。アクセスは地下鉄「ケルン中央・大聖堂」駅から16号線か18号線で「ノイマークト」駅に行き、そこから地上に出て路面電車9号線で「ツルピッヒャープラッツ」までいくと、あとは1分ほどで着く。ケルン中央駅から歩いていけないこともないが、地下鉄と路面電車を乗り継いだほうが楽だ。
新作の品揃えが豊富なだけでなく、中古ゲームも扱っているところが特徴。価格はエッセンの中古屋さんよりずいぶん安い。『古代ローマの新ゲーム』が15ユーロだったのには驚いたが、荷物の都合であきらめ、『生きるか死ぬか(Sein oder Nichtsein, 1989)』を15ユーロで購入。
シュピールブレット
2件目はシュピールブレットからやや南、ケルン大学方面にいったところにある「ヴォルトシュピール(Wortspiel)。絵本屋さんだが、ハバやセレクタのキッズゲームのほか、アドルングなども少し置いてあった。神尾さんが『飴ちゃん工場(Drops & Co.)』を25ユーロの割引で購入。
3件目はシュピールブレットの北、路面電車9号線で1つ手前の駅にある「ハイヴワールド(hive world)」。フリーク向けのボードゲームが並び、奥にはプレイスペースがある。遊ばれているのはほとんど『ポケモン』や『マジック:ザ・ギャザリング』などのTCGだったが、『数エーカーの雪』が3箱並んでいるなど、品揃えは悪くない。
この3件はいずれも同じエリアにあり、まとめて回ることができる。ファッション店の多い中心街から外れ、飲食店が立ち並ぶくらいの立地が、ボードゲームショップにはちょうどよいのかもしれない。
4件目はデパート「ガレリア・カウフホフ(GALERIA Kaufhof)」。創業120年、全国80カ所に支店があるだけでなく、どの街でも中心街のど真ん中にあるので立ち寄りやすい。おもちゃ売り場にはボードゲームがたくさん置かれており、エッセンに行くボードゲーム愛好者が最初に見るものの一つとなっている。ケルンのガレリアは売り場が広く、フリークゲームもたくさん置かれていた。
そんなわけで今回は4件。もっと探せば本屋、おもちゃ屋などにも売り場を見つけることができるだろうが、のんびり途中ビールでも飲みながら回るのがよい。ボードゲームショップめぐりは、ドイツ観光の1つとしてなかなかよいものだと思う。

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列車の中でボードゲームを遊ぶ家族

ドイツボードゲーム博物館のあるケムニッツから、国際ボードゲーム祭の開かれるエッセンまでは電車で6時間かかる。ケムニッツからライプツィヒまで1時間、ライプツィヒからハノーファーまで3時間、ハノーファーからエッセンまで2時間。電車賃はインターネットの早割で片道65ユーロ。
ライプツィヒからハノーファーに行く急行インターシティで、隣りに座った家族が、おもむろにダイスゲームの『シンシナティ』をプレイし始めたのには驚いた。コンポーネントが豪華で、決して持ち運びしやすいゲームではない。1時間くらい遊んで、そのあとおやつを食べて今度はトランプ。4人がけ席は中央にテーブルがついていて、ボードゲームを広げるのにもってこいである。
降りる駅が一緒だったので、お母さんにショートインタビューをしてきた。「いつもボードゲームを遊んでるんですか?」「そんないつもというわけじゃないですよ。今日は道中子供たちが退屈するからもってきたの。」「エッセンでシュピールのメッセがあるんですが知ってますか?」「シュピールのメッセ? 知らないわ。」
普段はあまり遊ばないのに『シンシナティ』をプレイ。でもそれなのにエッセン国際ゲーム祭は知らないという家族。これだけのサンプルからは結論付けられないが、ボードゲーム人口の広がりぶりを垣間見たように思う。エッセン国際ゲーム祭の参加者は15万人。このメッセを知っているけれど来ない人、知らないけれどボードゲームは遊ぶ人を含めればこの100倍いてもおかしくない。
かつて日本でも家族連れは旅行の道中、トランプなど遊んでいたはずが、いつの間にかめいめいがマンガや携帯電話やDSなどで会話せずに過ごすようになった。そんな過ごし方を日本人ができなくなっていることに一抹の寂しさを覚えた。

(写真撮影:神尾竜一郎)