キャッツ(Cats)
ネコたちの正体隠蔽ゲーム
今年のゲームマーケットでは隠れた人気テーマが「ネコ」だった。ネコ好きな人がテーマやイラストから入ってくる。海外ではネズミが主役でネコはお邪魔者だったり(『ネコとネズミの大レース』)、『ネコネコミキサー』などというブラックな作品だったりして、ネコが主役のゲームにはなかなかお目にかかれない。
このゲームは30年近く前のゲームだが、かわいい猫のフィギュアと、ネコの好物のフィギュアが入っている。ゲームの最初に非公開で指定された自分のネコを、同じく非公開で指定された好物にたどりつかせるのが目的の正体隠蔽ゲーム。アメリカの『キャッツ・マンション(Cats’ Mansion)』の多言語版である。
自分の番には、ネコとアイテムを合計4マス移動する。どのネコでも、どのアイテムでも動かしてよいところがポイント。自分のネコばかり動かしていると怪しまれるから、カモフラージュすることが必要だ。4匹のネコを1マスずつとか、1匹を3マス動かしてアイテムは1マス移動とか、さまざまな組み合わせが考えられる(アイテムは2マスまで)。
ネコがほかのネコの隣に入ったら、ニャー!とそのネコをおどかして1マス押しやることができる。これを利用して自分のネコをアイテムに近づけるという手もある。
移動が終わると、その移動について順番に賛同を得る。反対の人は、手札のニャーカード(その色のネコに限る)を出して、ネコを別の部屋にワープさせてもよい。そのワープにも反対があれば、さらにニャーカードを出し、1周の間に誰も反対しないか、強制終了のシャーカードが出るまでネコはあちこちを徘徊する。
そうこうしているうちに、自分の指定のネコとアイテムが同じマスに入れば勝ち。しかしその前に、ほかの人に自分のネコがばれてしまうと、カードでワープできなくなり、自分でアイテムまで移動するしかなくなる。ゲーム中に1回だけ、他人のネコを予想するチャレンジができるというルールがこれである。外れればチャレンジしたほうが自分のネコを明かすというリスクを伴うが、リーチしたプレイヤーを止めるのに有効だ。
さてやってみるとすぐ、いつ終わってもおかしくないゲームであることが分かった。ネコが次々とワープするので、たまたまアイテムの近くにワープしてくるとあっという間に上がれるからだ。そのチャンスを狙って、アイテムを絶妙な位置に移動しておく。一方ネコはどんどんワープするので、誰がどのネコを担当しているか読みにくい。一度、ここで自分の番になれば勝てるというタイミングがあったが、あっさりワープされてしまった。誰も反対するな!と心の中で叫ぶ。そのうち2回目のチャンスが回ってきて、今度は反対する人がいなかったので勝利ニャー!
コマが大きくて、本当に部屋の中をネコたちが歩き回っているようだった。ネコは気まぐれでどこにいくか読めないところも、忠実に再現されていたと思う。
Cats
作者不明/シュミット(1984年)
2〜4人用/10歳以上/60分
絶版・入手難
オランダゲーム賞2012ノミネート
オランダゲーム賞(Nederlandse Spellenprijs)の審査委員会は今月12日、今年のノミネート作品5タイトルを発表した。昨年までは秋の選考となっていたが、今年から夏の開催となり、選考方法が変更になった。
大賞は3ヶ月繰り上がって昨年の3月から1年間にリリースされた新作。また昨年までは審査員が選んだノミネート作品(8タイトル)から一般投票によって大賞を決定していたが、今年からは大賞まで審査員が決める。ノミネートも5タイトルに絞られ、ドイツ年間ゲーム大賞に近い時期・方式を採用したとみられる。
ノミネート作品はドイツ、アメリカ、フランスの作品が並び、毎年1〜2タイトル入っているオランダ国産品は入っていない。「大人向け」を掲げるオランダゲーム賞。昨年は『ハンザ・テウトニカ』が『世界の七不思議』を上回って1位になったが、今年は選考方法の変更で受賞傾向にどのような変化があるか注目される。
【オランダゲーム賞2012】
ノミネート:電力会社:最初の火花(Hoogspanning: De Eerste Vonken / 999ゲームズ)
〃 :ランカスター(Lancaster / クイーンゲームズ)
〃 :モンド(Mondo / ホワイトゴブリンゲームズ)
〃 :忍者刀(Ninjato / ホワイトゴブリンゲームズ)
〃 :タケノコ(Takenoko / マタゴー出版・アスモデ)
・Nederlandse Spellenprijs:Verkiezing 2012