ピラニア(Piranhas)
ひたすら弱肉強食
ゲーム中のジレンマが売りのR.クニツィアだが、じっくり考える暇を与えないリアルタイムゲーム(手番がなく、全員同時にプレイする早い者勝ちゲーム)は意外に多い。ほしいところでカードをノックする『イッツマイン』、ピットにひねりを加えた『ウィードル』、キッズゲームの『フロッテ・フロッセ』など。
今年発売されたこのゲームもリアルタイムゲームで、パターンを素早く認識して自分のカードを一番になくすことを目指す。パターンを見つけるのはわりと簡単だが、焦るとうまくいかないのがなかなかもどかしい。
川の中は弱肉強食の世界。小さい魚は、大きい魚に食べられる。でも、食べるのは同じ色の魚だけ。唯一ピラニアが、違う色の魚を食べる。しかしピラニアは同じ色の魚を食べなくて……
カードを分けて各プレイヤーの前に重ね、場に1枚出してスタート。カードには3種類の魚が大中小さまざまなパターンで描かれている。場のカードと、自分の前にあるカードを見比べて、食べられる魚(同じ色で、かつ大きい)があれば、その色を言って重ねる。今度はそのカードと、自分の前にあるカードを見比べて、また食べられる魚があれば出せる。手番はなく、見つけた人から早い者勝ち。「白!」「青!」「赤!」「あっ先に出されたー!」場のカードはめまぐるしく変わる。
ピラニアは、3種類いずれでもない色のものだけ出せる。魚が赤・青・黄のカードだったら、白か茶色のピラニア。自分の前にピラニアがあったら、頭を切り替えなければならない。
食べられる魚・ピラニアがなく、場に出せないこともある。そのときはわきに置いて保留。自分の山札が切れた後に出すことができる。本当は置けるのに、気づかなくて保留ということも許されるから、ちょっと考えて分からなかったら送ってしまうのがよい。
自分の前のカードを全部なくした人の勝ち。間違いを指摘されるとペナルティーがあるが、自分のカードに夢中でなかなか指摘できない。それでも、この手のゲームは他人の足を引っ張ったりしようとせず、ひたすら自分のことに集中することがポイントで、そのほうがコツをつかむのが早まる。3人プレイで1戦目は勝てなかったが、2戦目で連続プレイがうまく決まって1位。『ワードバスケット』もそうだが、自分でどんどん出すことで、ほかの人にいかに考える暇を与えないかが勝負のようだ。
Piranhas
R.クニツィア作/コスモス(2012年)
2〜4人用/8歳以上/20分
・ふうかのボードゲーム日記:ピラニア
関係箱(Beziehungskisten)
思わぬ連鎖反応の連続
人間関係というものは複雑である。友人の友人が、気が合うとは限らない。嫌いな人が嫌いな人は好きな人かもしれないし、好きな人が好きな人は、嫌いな人かもしれない。誰と誰の相性がいいのか、悪いのかをよく見て、人生を進めるレースゲーム。先日紹介したdbシュピーレで、リメイクされていない作品である。
登場人物は7人。手札からカードを出して、対応する人物を進める。ゲームの最初にゴールに早く着く人物を3人予想し、当たった得点の合計を競う。
最初に手札を見て、早くゴールしそうな人物を3人選び、それぞれ「×3」「×2」「×1」と書く。「×3」と書いた人が1位になれば7点×3で21点を得るが、7位だったら1点×3で3点にしかならない。
予想が終わったらレーススタート。カードを出して人物コマを進めるが、ほかの人物コマを同じマスになったときがこのゲームの特徴。ボードに表があって、何色と何色が同じマスになったら、どちらが何マス進み、どちらが何マス戻るか書いてある。
例えば赤のお姉さんは、黄色のモヒカンと同じマスになると3マス進み、モヒカンは1マス戻る。逆に白のサラリーマンと同じマスになると1マス戻り、サラリーマンが3マス進む。自分が応援している人物が進みやすいようにカードを選ばなければならない。
さらに、相性で移動した先にまた別のコマがあると、連鎖が起こる。2連鎖、3連鎖も当たり前で、動かしてみるまでどうなるか分からないほど。先頭集団から離れると、連鎖しにくいので逆転が難しい。置いていかれないようにしたい。
ゲームが進むにつれて、誰がどの人物に賭けているのか読めてくる。その人物を自分が応援していなければ、下位に沈むようコントロールしたいところだが、人間関係は難しいものでそう思い通りにはいかない。ほかの人も思い思いに進めるので運任せの部分が多いが、ここぞというときにはカードの選択が大事なゲームである。
Beziehungskisten
D.ヘン/dbシュピーレ(1994年)
3〜8人用/7歳以上/30分
絶版・入手難