「東京ドイツゲーム賞」開催
ボードゲーム専門店のテンデイズゲームズ(東京・三鷹)と、輸入代理店ニューゲームズオーダー(東京・立川)は、今秋から来春にかけて「東京ドイツゲーム賞」というゲームデザインコンテストを開催する。現在、一次審査の作品を募集中。11月30日まで。
1995年に『カタンの開拓者たち』がドイツ年間ゲーム大賞を受賞して以来、ドイツゲームの黄金時代が訪れた。『エルグランデ』『ティカル』『レーベンヘルツ』『チグリス・ユーフラテス』など、遊び応えのある作品が次々と発表された。今回の新たに発足したこの賞は、そんな90年代のドイツゲームの魅力を現代に蘇らせようという試みである。
募集するのは「90年代ドイツゲーム的なテイストを持ったボードゲーム・カードゲーム」。具体的なシステムまでは限定されていないが、ほどよい運の要素、交渉・競り・交換などによるインタラクション、概ね60分前後のプレイ時間などが意図されていると見られる。未発表作品のみ。特定の個人、会社、団体、商品に関係する、もしくは想起させる内容は不可。
一次審査には、作品の内容、概要が具体的にわかる書類、資料、ルールブックなどを郵送またはメールで送る。二次審査(2013年2〜3月)でゲームプレイに必要なコンポーネントを用意しなければならない。審査委員は、テンデイズゲームズの田中誠店長、B2Fゲームズの吉田恒平店長のほか、ゲームデザイナーの澤田大樹氏が務める。三次審査の後、大賞は4月中旬に発表される予定で、賞金20万円が贈られる。
海外ではヒッポダイスゲームデザインコンテスト(ドイツ、1986〜)や、国際デザイナーコンクール(フランス、1977〜)、プレミオ・アルキメデス(イタリア、1994〜)などがあり、出版社が興味を示してメジャーデビューした作品が少なくない。今回の賞でも、優秀作品が製品化されることを期待しよう。応募の詳細は下記のリンクを参照のこと。
・Daily Life is a game:ゲームデザインコンテスト「東京ドイツゲーム賞」開催!
・B2FGames:東京ドイツゲーム賞。
・実録:食卓遊戯密着大本営発表廿四時:コンペティション「東京ドイツゲーム賞」について
・同:短く!
コレイカ(Kolejka)
ないのに並ぶ
ポーランドで共産主義時代を懐かしむブームが起きているという。レトロカフェとともに爆発的に売れているのがこのボードゲームだ。発売から1年半で2万本が完売し、ポーランド年間ゲーム大賞を受賞。多言語版まで製造されることになった。その多言語版、ドイツ語、ロシア語、英語、スペイン語と共になぜか日本語が入っており、ポーランドのメーカーと代理店契約を結ぶテンデイズゲームズ(東京・三鷹)が緊急輸入した。
商品がないお店に並ぶ。お店にはたま〜に商品が入荷する。1番前に並んでいる人がそれを買って帰る。残った人は1つ詰めて、次の入荷をじっと待つ。お買物リストが揃う日はいつのことやら……。ポーランドで「世界で最も退屈なゲーム」(もちろん、ほめ言葉だ)と呼ばれているそうだ。
君は社会主義経済を生き抜けるか?東欧のボードゲーム、日本語版発売へ(AFPBB News)
NHK地球テレビ エル・ムンド:ポーランド:共産主義リバイバル?
ゲームの流れは、食料品店や家具屋などの好きなお店に並ぶ、カードをめくって出たお店に商品が少量入荷、行列カードを出して列の順番を変える、先頭に並んでいる人から商品を獲得して帰る……の繰り返し。お買物リストを最初に全部揃えた人が勝つ。
ゲームの中心は行列カードである。列は並んだらそのままではなく、「子供がいるんです!」といきなり先頭に割り込んだり、政権批判で後ろに回されたりと順番はめまぐるしく変わる。順番を変えられる前に知り合いにこっそり売ってもらったり、誤配で別の店に商品を移動したりすることもできる。手札の3枚から1枚ずつ、全員がパスするまで。「おっと、ここで誤配がありまして商品はこちらの店に移ります!」「それもまた誤配で商品はもとのお店に!」「と思ったら棚卸のため閉店となりました!」自分が行列の先頭になって、商品が手に入るかどうか、手に汗握る。決して「退屈なゲーム」ではない。
行列に黒いコマが並んでいるが、これはバイヤーで、この人が買った商品は市場に並ぶ。市場では、日によって1:1、または2:1で交換できる。必要な商品でなくても、行列が短かければ手に入れておいて、市場で必要な商品に取り替えるという戦略もある。もっとも、行列が短いお店なんて、すぐに人が集まってきてしまうが。
私の買い物リストは食品と雑貨が多かったので、ひとまず食料品店に集中的に並ぶ。手札の行列カードがよく、ライバルのぽちょむきんすたーさんを容赦なく押しのけて連続ゲット。邪魔をされてもやり返せるカードがあって、その後も順調に集まり、市場で交換しないまま1位。プレイ時間は3人で40分ぐらい。
終わってから近所のスーパーマーケットに行ってみた。お盆前でレジ前に行列がたくさんできるほどだったが、だからといって売り場を見渡せば売り切れになっているものなどない。そんな当たり前のことがありがたく感じられるようになった。
Kolejka
K.マダージ/ポーランド国民記録機関(2011年)
2〜5人用/12歳以上/60分
テンデイズゲームズ:行列