ボードゲームストリート2014
安田均&グループSNEの皆さんが毎年発表しているレビュー・リプレイ本も、今年で4冊目(『ボードゲームジャンクション』から数えると5冊目)となった。継続は力なり、1年毎にまとめられたその年の代表作は、資料的価値がある。何十年経っても、この時期に発売された作品にどんなものがあって、どのようなトレンドだったのかを知ることができるだろう。
巻頭で安田氏は、過去1年間の新作を振り返って、ワーカープレイスメントのさらなる広がりと、正体隠匿型、クラウドファンディングの人気を分析している。ワーカープレイスメントでは『ルイス・クラーク探検隊』『洞窟農夫(カヴェルナ)』『ロシア鉄道(ロシアンレールロード)』『航海術』『スパイリウム』『ユーフォリア』を挙げる。今やワーカープレイスメントは、ゲーマーズゲームに共通のプラットフォームとなっている。
また正体隠匿型では『ラブレタ―』『レジスタンス・アヴァロン』『クー』、クラウドファンディングでは『ユーフォリア』が挙げられている。後者について「現状はやはりアマチュア出版の弱点もあり、当初はおもしろそうに見えても、実際の出来には首を傾げたくなるゲームもまだまだ多い」というのは的を射た指摘であろう。
レビューもシステムを主体に執筆されているので、評論として読める。そのため遊んだことのないゲームよりも、遊んだことのあるゲームのほうが、どのように分析しているか分かるので面白い。良い面だけでなく、今ひとつの部分にも言及されており、自分の感想と比べるのもこの本の楽しみ方だ。
『オムノムノム』『グラヴウェル』『ビーグル号の航海』『漂流者』など、日本ではあまり流通していないゲームが取り上げられているのも特徴で、危うくスルーしそうになったゲームをチェックするのにも使える。リストを見ながら、どれをまだ遊んでいないか、どれを遊びたいかを考えるのも楽しい。
そのほか、グループSNEの皆さんが楽しく遊ぶ様子を記録したリプレイ、シンプルなゲームに焦点を絞って紹介する「ウニ頭でもできるもん!」、日本人デザイナーの作品やiOSアプリで遊べるゲームを紹介するコラム、ボードゲーム大好き座談会など誌面もますます充実。毎年読んでいる人だけでなく、最近やり込んでいるという人にお薦めしたい書籍だ。
・グループSNE:ボードゲームストリート2014
『アンドールの伝説:星の盾』日本語版、9月20日発売
アークライトは9月20日、ファンタジー協力ゲーム『アンドールの伝説』の拡張セット『アンドールの伝説:星の盾(Die Legenden von Andor – Der Sternenschild)』日本語版を発売する。1~4人用、10歳以上、60~90分、2800円(税別)。プレイするためには『アンドールの伝説』基本セットが必要。
遊びながらルールを理解できるチュートリアルストーリーや、エキサイティングなストーリーでドイツ年間エキスパートゲーム大賞を受賞した作品の拡張セット。オリジナルはコスモス社(ドイツ)から昨秋発売された。
ドラゴン退治の後、再び災厄に見舞われたアンドールの地で、「星の光」と「希望の力」を秘めた「星の盾」を巡る新規ストーリーが展開される。伝説の盾が、悪の陣営の手に渡る前に、取り戻さなければならない。ストーリーがプレイヤーの選択や乱数によって変化するのが特徴だ。また、新しいアイテムやモンスターに加えて「製図家メリック」、「盗賊ケン=ドル」といった新キャラクターも登場する。さらに、ウェブ上でのみ公開されていた「外伝1」のシナリオセットも同梱している。
品切れになっている『アンドールの伝説』基本セットも、8月下旬から出荷される見込み。5,600円(税別)。