「エッセンシュピール」は和製独語?
毎年10月にドイツ・エッセンで行われ、15万人の愛好者が訪れるイベントがまもなく始まる。日本では「エッセンシュピール」という呼び方で定着した感がある。「エッセン国際ボードゲーム祭」などと呼ばれていたこともあったが、『メビウスママのエッセンシュピールガイド』で決定的なものとなった。
この本の校正で「エッセンシュピール(Essen Spiel)」と書かれていたのが気になり、調べたことがある。海外でも”Essen Spiel”と呼ぶのだろうか。
公式サイトでは”Internationale Spieltage(国際ボードゲームデイズ)”や”SPIEL(シュピール)”と呼ばれている。SPIELが全て大文字なのは、一般名詞「ボードゲーム」とイベント名を区別するためである。この区別が分からないドイツの一般向けには”Spielemesse Essen(ボードゲームメッセ・エッセン”と呼ぶ。
ボードゲームギークなど、世界の愛好者からは、年号をつけて”Spiel’14 Essen(シュピール14・エッセン)”と呼ばれたり、”Essen fair(エッセンフェア)”と呼ばれたり、あるいは単に”Essen(エッセン)”と呼ばれたりしている。
このように、”Essen”や”SPIEL”という呼び方はあるが、”Essen SPIEL”という組み合わせで呼ばれることはない。順序の問題だけだが、「エッセンシュピール」は和製独語といえるだろう。ドイツ人デザイナーのReiner Kniziaが、「クニツィア・ライナー」と呼ばれるようなものである。
このような日本独特の呼び方は、どうやら当サイトの新作プレビューで「エッセン シュピール’xx新作情報」としていたのが元になっているようだ。スペースを入れて分けていたが、つなげてひとつの単語と認識されたと見られる。その点で責任を感じている。
単に順序の問題であるし、海外で通用しないわけではないから、改めるべきであるとは思わない。少しだけ感じた違和感を書き留めておくだけである。パリ・シャルルドゴール空港より。
シュピール’14:クラニオ・クリエイションズ
『ダンジョンファイター』や『スチームパーク』などの一風変わった作品で知られるイタリアの出版社。ロゴはドクロのマークです。
★ダンジョンバザール(Dungeon Bazar)
P.チェッチェート、S.ルキアーニ、D.タスキーニ作、3~4人用、8歳以上、45分。
『ツォルキン』のデザイナーが手がけたダンジョンゲーム。
洞窟の近くで店を構え、ドラゴン退治に来た冒険者たちに武器や防具、道具を販売して儲けるゲーム。武器商人たちが、収入源となるドラゴンを守るため、ダンジョンをこっそり調整していることを冒険者たちは知りません。
各プレイヤーはゲームボードをもち、そこに装備品カードを並べます。冒険者カードには、その冒険者がほしがっている装備と優先順位が示されています。冒険者たちは、優先順位と所持金によって、一番安いものを買います。一番お金を儲けたプレイヤーの勝利です。
★混乱(Soqquadro)
S.ルキアーニ、L.T.ソレンティーノ、D.タスキーニ作、2~12人用、8歳以上、20分。
こちらも『ツォルキン』のデザイナーが手掛けた、リアルタイムアクションゲーム。山札からカードを引き、そこに指示されたものを探してきます。カードは3種類の難易度があり、「緑のもの」「柔らかいもの」などから「Rのつく黒いもの」などがあります。
指示されたものを見つけて帰ってきたらコマを進め、次のカードを引きます。チャレンジラインを超えたらゲームをいったん中断し、チャレンジを行います。最初にゴールしたプレイヤーの勝ちです。
★ダンジョンファイター:ザ・ビッグウェーブ(Dungeon Fighter: The Big Wave)
A.ブオンフィーノ、L.シルヴァ、L.T.ソレンティーノ作、2~6人用、8歳以上、60~90分。
奇妙な振り方でダイスを振ってダンジョンを探検するゲームの拡張第2弾。地水火風の4つのテーマで拡張が制作されることになっており、第1弾の「火」の拡張(『炎の意のまま』)に続き、今度は「水」の拡張です。
新しいモンスター、装備品、海賊のヒーロー、新しい部屋のマップが入っており、ボスとしてクトゥルフが登場します。TRPGのように経験値をため、カードを使って回復の呪文などの水の力を使います。
★ビンバンバン(Bim Bum Bam)
L.T.ソレンティーノ作、1~99人用、7歳以上、5分。
スタートプレイヤー決めやタイブレイクのアイデアをまとめたカード集。「踊りが下手な人」「ビデオゲームが上手な人」など、ジョークがきいています。