『イライラしないで』よりもっと
メンヘングラートバッハという、ドイツ西部・エッセンから60kmほどの都市の新聞記事を訳出。登場するミュッケ氏は、ミュッケシュピーレという出版社から『アタカマ』『地球温暖化』などの作品を出している。さらにボードゲームのパーツを販売するシュピールマテリアルは、シュピールに参加した方なら誰しも目に止めたことがあるだろう。そしてさらに、小さい出版社が連合で卸売をする「シュピールディレクト」には、2Fシュピーレなどが参加し注目を集めている。この3つのプロジェクトを統括しているミュッケ氏とはいかなる人物なのか、記事をご覧下さい。
メンヘングラートバッハ。ドイツでは近年、ボードゲームシーンが活況だ。メンヘングラートバッハはその基礎となる役割を果たしている。ここからたくさんのアイデアが生まれているほかに、莫大な数のパーツが送り出されている。
ボードゲームのパーツとして目に止まったものだけでも、床から天井までカラフルなコマが入った箱が積み上げられている。ブランクカード、ダイス、木製のコマ、ブランクのボード、ゲームのお金。この全てが、想像力に富んだボードゲームデザイナーが新作を製品化したり、アイデアをテストプレイしたりするのに必要なものである。メンヘングラートバッハ在住のハラルド・ミュッケ氏が、クリエイターのためのこの遊び場(シュピールプラッツ)の主である。ネット通販サイト「シュピールマテリアル」(www.spielmaterial.de)では、デザイナーたちが必要なものを注文してくる。
「ドイツとヨーロッパ中、いやたぶん世界中で一番、ボードゲームのコマやその他のパーツの品揃えがいいと思います」とミュッケ氏は語る。ホテル業のビジネスマネージャーを経て、今の仕事に就いた。「シュピールマテリアル」はミュッケ氏によれば「窮地から生まれた」という。自身もボードゲームデザイナーで小さなボードゲーム出版社を運営しているが、そこで自身のゲームを製品化するのに、いろいろな種類の良質なパーツを入手するのはとておたいへんなことだった。
そこで2000年から「シュピールマテリアル」でこの穴を埋めている。顧客はドイツのデザイナーが大半だが、ほかにも言語聴覚療法士、社会教育士、学校、大学もある。企業もボードゲームをパブリック・リレーションズの手段として開発している。
このためミュッケ氏は、自身のボードゲームを特定のテーマで開発したり、手持ちのアイデアを製品化するというかたちで手伝っている。ちょうど今、水資源マネージメントとのコラボで仕事をしたり、あるボードゲームをザクセン州の障害者団体のために作り変えたりしている。
ボードゲームの製造も彼の会社を通して行われる。ボードゲームは1000個以上で経済的にも見合ったものになるが、試作品や、50~500個の少部数でも製造することができる。「我々にはゲームを製造できるパートナーがいます」とミュッケ氏。
「箱やボードの大きさを設定し、契約を結ぶと、あとはやってもらえます。」おそらくボードゲームで儲けようとか、ドイツ年間ゲーム大賞を狙っているのでなければ、この方法で自作のボードゲームという夢を叶えられる。ドイツでは長年の間、きわだって活況なボードゲームシーンがあり、情熱的なプレイヤー、定期的なボードゲーム会、秋にエッセンで行われるシュピールのような大規模なボードゲームイベントがある。
そしてボードゲームデザイナーもドイツには数多くいる。ボードゲームデザイナーギルド(SAZ)には450名が加盟する。そこにもちろんミュッケ氏も属している。自身のボードゲームを開発しているが、ほかのデザイナーの作品を出版することもある。さらにすでにあるパーツをいわゆる「リサイクル」するコンテストもある。「大きな出版社はたくさん製造しすぎることがあるのです」とミュッケ氏。「例えば、ドイツ年間ゲーム大賞を狙って外したときなどです。」
そのようにして大量に余ったパーツをミュッケ氏は引き取り、そのパーツを使ったボードゲームのコンテストを開く。このようにしてプラスチック製の原油と採掘塔コマを使ったボードゲームシリーズが生まれた。
もちろん小さな出版社にとって、大企業に太刀打ちするのは難しい。そのためミュッケ氏は3つ目のプロジェクト「シュピールディレクト」に取り掛かっている。これは小さな出版社20社が組合を作り、一緒に卸売をしているものだ。「これがないと我々のような小さな出版社は消えてしまうでしょう」とミュッケ氏。店舗がメンヘングラートバッハにあるこの組合を通じて、業者は170タイトルのボードゲームを注文することができる。
「シュピールディレクト」は営業などおらず、メッセで活動している。この営業形態のメリットは、組合で利益を上げる必要がなく、コスト分だけ働けばよいことだ。小さな出版社はこうしてドイツのボードゲームの多様性に貢献することができている。
・RP Online:Viel mehr als Mensch-ärgere-dich-nicht
共闘!ボドゲコロシアム、4月16日大阪
4月16日(木)、大阪のヒミツキチオブスクラップ(地下鉄心斎橋駅徒歩8分)にて、初見・チーム戦のボードゲーム大会「共闘!ボドゲコロシアム」が開かれる。企画はタンサンファブリークと、滋賀のデザイン事務所「un&co.」。19:50~22:00、参加申込は3人1チームで、参加費1人1000円。受け付けは本日21時より。
当日発表される3つのゲームを初見でプレイし、勝敗を競う大会。「ブラフゲーム」「自分の度胸を試すゲーム」「クニツィア」というテーマだけが予め発表されているが、どのようなゲームが出るかは当日のお楽しみだ。判断力と理解力、そして研ぎ澄まされたゲーム勘が試される。
当日発表のボードゲームで勝敗を競うイベントとしては、2004年から6年間にわたって開催されていた「素人ボードゲーマーNo.1決定戦」(神奈川)があり、国内の創作ゲーム作家の作品発表の場としても注目されていた。また団体戦のイベントとしても「ゲームオリンピック」(2003年まで4回、東京)と「ボードゲームコロシアム」(2004年、大阪)がある。この2つの大会を掛けあわせた新しいコンセプトで注目される大会だ。
・大阪ヒミツキチオブスクラップ:共闘!ボドゲコロシアム
4月16日に新イベント「ボドゲコロシアム」を大阪ヒミツキチオブスクラップでやります! 今までの大会になかった当日にゲームを発表するゲーム大会です。しかもチーム戦!面白いと思うのでぜひ参加を!http://t.co/1YWcp9Jqbt pic.twitter.com/7JO2hlioBp
— タンサンファブリーク (@TANSANFABRIK) 2015, 3月 21