『街コロ』、海外で評判
フランスのボードゲームデザイナー、A.ボザは自身のブログで今年一番のボードゲームとして『街コロ』を挙げた。「シンプルで、短くて、美しくて面白い。私が好きな要素が全て入っている」と評している。ちなみに昨年は『クウィックス』、一昨年は『クー』を選んでおり、一貫した基準であることが分かる。
・ANTOINE BAUZA:myGOTY 2014
ボザは親日家で知られ、今年3月にも来日している(TGiWニュース)。だから日本のゲームに対しても評価が高いのかもしれないが、ドイツのボードゲーム専門誌シュピールボックスでも高い評価が付けられている。
シュピールの後に発行された2014年6号では、新作の中から記者が選んだ10タイトルが紹介されている。7人の記者のうち3人が『街コロ』を挙げた。最も多く挙げられたのは『デウス』と『ビースティバー』で5票。集計した結果は以下の通り。日本発の『セイルトゥインディア』のほか、『オニタマ』『シークレットムーン』を挙げる記者もいた。
【シュピールボックスの記者が選ぶシュピール’14新作10タイトル】
5票 デウス、ビースティバー
4票 コルトエクスプレス、パッチワーク
3票 オルレアン、シュタウファー、ブラックフリート、街コロ
2票 春秋戦国、セイルトゥインディア、ノスフェラトゥ、パナマックス、サンクトペテルブルク第2版、ファイブトライブス
さらに年末に発行された2014年7号には、2ページにわたるレビューが掲載された。シュピールボックス誌のレビューには最後に各記者の10段階評価があるが、『街コロ』の評価は9人中8点が4人、7点が5人という高い評価を得ている。レビューは『カタンの開拓者たち』との類似性を挙げ、手番でなくても楽しめると述べ、「ダイスロールには苦楽が共存している。この軽快なダイスゲームで起こる感情は、希望、悲しみ、喜び、怒りである。その全てがこの小さな箱に詰まっている。まとめるととても楽しい娯楽になるだろう」と締めくくっている。
独シュピールボックス誌に『街コロ』レビュー。8,7,8,8,7,8,7,7,7と軒並み高評価。 pic.twitter.com/PTOkkbE2cK
— TableGamesintheWorld (@hourei) 2014, 12月 29
『街コロ』がヤポンブランドを通してシュピールで紹介されたのは2013年だが、コスモス社がドイツ語版を発表したのは2014年秋。つまり2015年度の新作ということになる。ドイツ年間ゲーム大賞やドイツゲーム賞への入賞も十分可能性ありだ。
・グランディング:街コロ
お蜜柑様(Mr. Orange)
蜜柑を重ねて、踊って
分裂してしまった「大蜜柑教」の信者セクトとなって、ほかのセクトの教義を当てあうアクションゲーム。メインは、テーブル中央の「おざぶ」の上に乗せられた本物の蜜柑だ。これをどうするか、注意深く観察する。
1~3人でチームを編成し、それぞれ「教義カード」を引いてスタート。「教義カード」には、「お蜜柑様を3つ以上隣接して並べる」「お蜜柑様に手の甲で触れる」「お蜜柑様をおざぶの外に置く」といったテーブル中央の蜜柑をめぐる指示のほか、「鼻をつまむ」「人差し指で1秒以上×を作る」「『何』という」などといった盤外のアクションもある。
はじめはデモンストレーション。各セクト(チーム)の代表が、20秒の時間を与えられ、その間に自分たちの教義をさりげなく織り交ぜる。ほかのチームは注意深く観察して、出てくるアクションを頭に叩き込む。
これを全チーム行ったらいよいよ「祈祷」だ。再び20秒が与えられ、その間にほかのセクトの教義だと思われるものをどんどん盛り込む。このときも、自分たちの教義をきちんと入れなくてはならない。ほかのセクトの教義を入れていればお布施(得点)、自分のセクトの教義を入れ忘れたら失点。得失点は紙コップに入ったチップをやりとりする。順番を変えて2周するので、2周目は少し分かってくるかもしれない。3回戦でお布施の多いチームが勝利する。
フリーゼの『三戒(Die 3 Gebote)』では、全く何も分からないまま手探りでアクションを行っていたが、こちらでは少なくとも自分の教義は入れなければならず、制限時間が決まっているところでやることが限られ、当てやすくなっている。それでいて同じアクションをやっているつもりなのに片やOKで片やNGだったり、全く得点にならないアクションが何も分からないまま強調されていったりして笑える。
2人×3チームで30分ほど。蜜柑に向かって変なジェスチャーをしたり、大声で笑ったり、踊ったりと超怪しげ。その中でデモンストレーションを極力小出しにして、祈祷で相談しながらアクションを取り入れたぽちょむきんすたーさんと私のペアが勝利。激しく動くアクションゲームだが、冷静な観察力と判断力が求められるのだった。
お蜜柑様
かk/トロヴィ工房(2014年)
4~13人/16歳以上/40~60分