アークライトより『シークレットムーン』5月30日発売
『ラブレター』に続くミニマルな人狼系推理ゲーム。ゲームマーケット2014秋にカナイ製作所から発売された。テーマも『ラブレター』を引き継ぎ、旅人と姫の逢瀬を、大臣と兵士が正体をつきとめて阻止することを目指す。
プレイヤーは「姫陣営」と「大臣陣営」に分かれて互いの勝利条件を満たすことを目指す。しかしお互いの正体ははじめ、味方すらでも分からない。各ラウンドに行動の順番を決めるカードが配られ、その順番にほかのプレイヤーの正体を確認したり、身を隠したりしていく。相手の行動から正体を推理し、相手陣営に属するプレイヤーをあぶり出す。旅人からの手紙に、応えようとする姫。それを邪魔しようとする大臣。姫は無事に、旅人と語らうことができるだろうか。
人狼に対するアンチテーゼとしてカナイ氏が打ち出したのは「プレイヤーは基本的に喋ってはいけない」というルール。プレイヤー扮する人物たちは暗い夜の森に隠れ潜んでいるので、音を立てると見つかってしまうのである。相手の行動だけで推理するので、おしゃべりが苦手な人でも楽しく遊べる。また喋ってはいけない分、ゲームが終わった後の会話が盛り上がるゲームだ。
・TGiWレビュー:シークレットムーン
グラスロード(Die Glassstraße)
18世紀のドイツ・バイエルン地方を舞台に、ガラスや資源で得点にするゲーム。『アグリコラ』のローゼンベルクがデザインし、日本語版がテンデイズゲームズから発売されている。エッセン・シュピール’13でスカウトアクション3位、ドイツゲーム賞2014で9位。ラウンド数が少なく、比較的短時間で終わるところが人によって評価の分かれるところだが、長時間と短時間に二極化する作品が多い今日、ミドルクラスの作品として重宝する。その日のうちにもう1回遊べるぐらいの重さが心地よい。そして、毎回出てくる建物が違うので、また遊びたくなる作品である。
資源を集めて、建物を自分のボードに作り、その建物の効果で資源を増やしたり、得点にしたりするというのがゲームの流れ。ローゼンベルク作品では『祈り、働け』のラインに近い。膨大なチップを使わずに資源を管理できる円盤(「生産ホイール」)も継承している。
アクションの選択は、毎ラウンド15枚のカードから5枚を選んで手札にし、手札から全員1枚ずつ裏にして出し、それを順番に公開していくというもの。ほかの人が選ばなかった(5枚の手札に入れなかった)カードを出せれば、アクションはまるごとできるが、ほかの人も選んでいると半分しかできなくなってしまうというバッティングが醍醐味だ。
アクションは自分のボードに粘土採掘坑、林、池を作るもの、それらの数に応じた資源をもらうもの、建物を建てるものがある。次はこれをしたいというときにほかの人とかぶってしまうと計画がだいぶ狂ってしまう。急がば回れと、ほかの人が選びそうにないカードを選び、裏をかいたつもりがまたバッティングしたり。
資源が手に入ると、円盤(生産ホイール)上のコマを進めて資源が増えたことを表す。円盤はガラス工房とレンガ工房の2つあり、資源が揃うと自動的にガラス/レンガを生産する。意図せずしてほかの資源が減り、ガラスやレンガが生産されるのは嬉しいばかりではない。建物に使おうと思っていた資源がなくなって悲鳴を上げることも。
伝統的なガラス工芸品の職人たちが住む田舎町で、プレイヤーはさまざまなアクションを駆使し、より高い得点を獲得することを目指す。手持ちの専門家を駆使して資源を集め、さまざまな効果をもつ建物を建設していく。
ゲームは、資源を取る、新しい地形を置く、建物を建てるなど、さまざまなアクションを持つ専門家を15枚の中から選ぶことで進む。選んだ専門家がほかのプレイヤーとかぶっていなければ、その専門家の持つアクションを2つとも実行できるが、かぶってしまうとアクションは1つしか実行できない。そのため、自分の選択するアクションを読まれないようにしつつ、ほかのプレイヤーが選びそうなアクションを読むことがポイントとなる。
建物は資源を変換するもの、1回だけ効果のあるもの、ゲーム終了時に達成度合いによって得点が入るものという種類別に場に出ている。コストの資源を支払い、マイボードの空いているところに建てていくが、改良する建物は、すでにある建物から置き換えなければならない。効果をうまく組み合わせて、効率よく得点を増やすことができるだろうか。
プレイ時間は『アグリコラ』より短めだが、専門家と建物により多様な展開が楽しめる。待望の日本語版が遂に登場だ。
Die Glassstraße
U.ローゼンベルク/フォイヤーラントシュピーレ(2013年)+テンデイズゲームズ(2014年)
1~4人用/12歳以上/プレイヤー人数×20分
テンデイズゲームズ:グラスロード日本語版