『ツイクスト』再版プロジェクト、権利問題でキャンセル
故アレックス・ランドルフがデザインした2人用アブストラクトゲーム『ツイクスト(TwixT)』について、再版プロジェクト がキックスターターで立ち上がったが、遺族とライセンス契約していなかったことから批判を受け、わずか10日でキャンセルされることになった。
『ツイクスト』はペグとブリッジでボードの一方の辺から反対側の辺まで先につなげたら勝つ2人用アブストラクトゲーム。初版は1962年に3M社(アメリカ)から発売され、コスモス社(ドイツ)が1998年に再版してから20年が経過しているが、世界的に根強い愛好者がいる。
そのような中、先月20日にアメリカ人のW.ドレザル氏がキックスターターで再版プロジェクトを立ち上げた。ところが、このプロジェクトがランドルフの甥であるM.カッツ氏とライセンス契約をしていなかったため、彼が所属するドイツ・ボードゲームデザイナー連盟(SAZ)のメンバーが批判。アメリカの著作権法では1974年以前に登録されたものは一定期間の後に期限切れになるとして、「ツイクスト」の商標登録を行ったドレザル氏と対立していた。
SAZによると『ツイクスト』が1957年にウィーンで紙ペンゲームとして考案されたことから、オーストリアの著作権法が適用され、ランドルフ氏の権利は無効でないという。さらに、この再版の配送先となっているアメリカを含む各国で「文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」に抵触するとして、ドレザル氏への批判を強めていた。
これを受けてドレザル氏は方針を転換。キックスターターの再版プロジェクトを30日にキャンセルし、アメリカ国内で限定的に再版することにした。従来の主張通り、アメリカでの商標登録に基づいて再版を強行するとみられる。
ランドルフは2004年に亡くなったが、その後も『ガイスター』『はげたかのえじき』『ウミガメの島』など再版が継続されており、遺族とのライセンス契約さえ行えば『ツイクスト』の正式な再版も不可能ではない。今回の再版プロジェクトで需要が高いことが明らかになったため、正式ライセンス版の復刻が期待される。
・spielbox-online:Randolph-Erbe und SAZ gegen TwixT-Neuauflage
狙った数だけノームを出せるか?『シュッテルス』日本語版、8月9日発売
アークライトは8月9日、カップからコマを振り出すアクションゲーム『シュッテルス(Schüttel’s)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・B.ラッハ&U.ラップ、イラスト・J.ロット、2~6人用、8歳以上、30分、3800円(税別)。
オリジナルは2017年、ツォッホ出版(ドイツ)から発売された。原題は「それを振れ」という意味のドイツ語。メビウスゲームズが『ノームの村』という邦題で取り扱い、「大笑いしたり悲鳴あげたりしつつ、一度は楽しんでもらいたいゲーム」(ふうかのボードゲーム日記 )など高い評価を受け、品薄が続いていた。
魔法使いたちが魔法のカップからノームたちを召喚し、村中で働いてもらってお金を稼ぐ。手番にはノームコマが15個入ったカップを一度だけ振り、出てきたノームの数に応じた建物で商品を売買する。特定の数をカップから出してしまうと良くないことが起こり、特に勢い余って全部出してしまったり、臆病になってちょっとしか出てこないと罰金になってしまう。
収入を得るには同じ建物を訪れなければならず、しかも何度も訪れて商品をたくさん並べた後に売却できれば効率が良い。しかし特定の数を出し続けるのは難しい上に、売却する前にゲームが終わってしまうこともある。手先の器用さだけでないマネージメントもあり、考えどころも用意された作品だ。
内容物:ゲーム盤1枚、ノーム15個、品物コマ60個、紙幣84枚、魔法のカップ1個、ノーム用マットレス1枚、ルール説明書1冊