ドイツ年間ゲーム大賞2018に『アズール』、エキスパート大賞は『クアックザルバー』
ドイツ年間ゲーム大賞(Spiel des Jahres)選考委員会は本日10時30分(日本時間の17時30分)、ベルリン市内のホテルにて今年度大賞の発表と授賞式を行った。5月に発表されていた(TGiWニュース )各3タイトルのノミネート作品から、大賞には『アズール』、エキスパートゲーム大賞には『クアックザルバー』が選ばれた。
ボードゲームジャーナリストやボードゲーム評論家の審査員10名が授賞式の前夜に投票して大賞を決定する。当日はノミネート作品のデザイナー、イラストレーター、出版社の代表が招かれ、それぞれ3タイトルのノミネート作品を順番に紹介した後、大賞が発表された。
先に紹介されたのはエキスパートゲーム大賞。8回目の大賞に選ばれたのは『クアックザルバー』。オーストリア人デザイナーのヴァルシュ氏がデザインしたゲームで、袋から材料を引いて薬を作る。審査委員会は「ランダムに引いた材料で料理するのは、味の爆発と感情の花火をもたらす。他人の不幸の喜び、喜怒哀楽が間髪おかず次々と訪れる。これは運だけのゲームではない。デザイナーのヴォルフガング・ヴァルシュ氏は絶妙な基本レシピによって、プレイヤーにたくさんの選択肢を与える。こうして袋から引いて作るスープが、ボードゲームグルメにとって美味しい料理になるのである」とコメントしている。
・TGiWレビュー:クアックザルバー(Die Quacksalber von Quedlinburg)
そして赤ポーン、ドイツ年間ゲーム大賞の発表となり、今年の大賞には『アズール』が選ばれた。ポルトガルの王様の命令で宮殿の美しい壁を作るゲームで、ドイツ人デザイナーのM.キースリング(写真下でインタビューをうけている方)がデザインし、プランBゲームズ(カナダ)が発売した。フランス年間ゲーム大賞も受賞しており、大方の予想通りの結果となった。
審査委員会は「アブストラクトゲームでありながら、おそらく相反するものを統合している。ゲームボードのほとんど無味乾燥な機能性が、対応するモザイクのすばらしい美術性と見事な対照をなしている。タイルの手触りが価値のある印象を強める。用具だけでも鑑賞に堪えるだけでなく、デザイナーのミヒャエル・キースリング氏がシンプルな選択のメカニズムで奥深さを与えるという匠の技を発揮し、尽きることなく繰り返し遊びたくなる魅力を生み出している」とコメントしている。
・TGiWレビュー:アズール(Azul)
ドイツ年間キッズゲーム大賞の発表は先月11日に発表され『ドラゴンズブレス』が大賞に選ばれている(TGiWニュース )。
『アズール』はホビージャパンから日本語版が発売されており、『クアックサルバー』はアークライトが日本語版を発売する予定となっている。
・Spiel des Jahres e.V.:Azul ist das Spiel des Jahres 2018!
・Spiel des Jahres e.V.:Die Quacksalber von Quedlinburg ist das Kennerspiel des Jahres 2018
Azul-Autor Michael Kiesling im Interview. #sdj2018 pic.twitter.com/U39VlVioiO
— Spiel des Jahres (@SpieldesJahres) 2018年7月23日
ボードゲーム婚活イベントレポート
地元の居酒屋で行われた山形県長井市のボードゲーム婚活イベントに、スタッフとして参加してきた。これまでも婚活イベント内で軽くボードゲームを遊んでもらうことはあったが、メインになったのは初めて。前もって会場で市の担当者や居酒屋の店主と共に綿密な打ち合わせを行い、練りに練ったイベントである。
参加者は20~35歳で募集し、男性11名と女性7名が参加。18名をくじ引きで6名ずつ3テーブルに分け、あいさつもそこそこにボードゲーム開始。今回選んだのは『クイズいいセン行きまSHOW! 恋愛編』『アンガーマネージメントゲーム』『プライバシー日本版(ただしエロ系は控えめ)』の3タイトルである。コミュニケーション主体で、参加者の価値観や来歴が垣間見えるものを選んだ。
30分でテーブルをシャッフルして(2ゲーム目、3ゲーム目にどのテーブルに行くかも最初のくじ引きで決定しておいた)、1時間半で3ゲーム。ゲームは15分ぐらいでやめるようにして、後はゲームの感想も交えて歓談してもらうようにした。ゲーム会あるあるとして、ゲームはすごく楽しかったが、一緒に遊んだ人が誰だったかよく覚えていないというがある。そうならないように心がけた。歓談の時間に合わせてスナックやピザを提供(飲み物はフリードリンク)。
次に行ったのは『長所マッチングゲーム』。ゲームマーケットで入手した『コルクラボの一歩深まるアイスブレーク集』に収録されていたものである。今回は異性の数だけ空白の名刺カードを封筒に入れて渡し、全員の異性と話をしてそれぞれ共通する長所を探り、その長所と自分の名前を書いて交換して、全員の名刺を集めるというルールにした。終わった人からメインディッシュのスペアリブが食べられる。
1回3~5分のお見合い回転寿司と比べると、気に入った人とはゆっくり話し、そうでない人とは早めに切り上げることができ、お互いに共通する長所を探すことで趣味や性格の話でポジティブに盛り上がれる。この前に遊んでいたボードゲームからの流れでノリもよく、終始和やかな雰囲気となった。
さらにこの全員から集めた名刺に、連絡先を交換してもいいという人に◎、気になった人に○をつけておいてもらい、返却された封筒から歓談中に集計。◎同士だった人と、自分が○で相手が◎だった人の名刺だけを封筒に入れて返却した。自分の封筒を開けて、相手のところにいって連絡先を交換するかどうかは自由である。婚活イベントでよく行われる告白タイムやカップル発表は、選ばれなかった参加者にとって酷なので行わない。
名刺の入った封筒を返却して閉会となったが、参加者はその後もほとんど帰らず、連絡先を交換するだけでなく、おしゃべりに花を咲かせていた。こっそり結果を返したことが奏功したようだ。
スタッフや居酒屋の店主さんの話から、今回良かった点として、35歳という上限を設けたことでみんな元気で積極的に参加できたこと、コミュニケーション主体のボードゲームで初対面でも打ち解けられたこと、『長所マッチングゲーム』で全員と好きなだけお話できたことなどが挙げられた。私としては、ボードゲームをもっともっと遊んでもらいたいという気持ちを我慢して、歓談の時間を多く取れたのが良かったと思う。おそらく今後も、このパターンで定期的にボードゲーム婚活イベントが開かれていきそうだ。