テクテクポン(Take Take Pon!)
ダイスドラフトでお品をお届け
たぬきたちがどんぐり・ベリー・お花を集めて森の動物たちに届けるダイスドラフト&ピックデリバリーゲーム。Studio Citrineが『スシタック』に続き、ゲームマーケット2023秋に発表した作品で、新作評価アンケートでは10位に入っている。こちらも硬派なメカニクスと、そこから生み出されるインタラクションとタクティクスが気持ちいい。
箱を2枚つなげたボードは地図になっており、最初のおしごとカード(行き先と、必要な資源が書いてある)をもらい、中央の大きな木からスタートする。ダイスドラフトで手番を行うが、ダイスには4色あり、それぞれもらえる資源や移動ルートが異なるのがポイント(『マルコポーロの旅路』方式)。手持ちのダイスから一斉に1個ずつ選び、スタートプレイヤーが振って、順番に1個ずつドラフトしていく。
資源はプレイヤーボードのカゴかその上に置き、11個までもてるが、ダイスで同じ数字が3つ出ると「嵐」がきてカゴの上の分はなくなってしまう。あまり溜め込まないうちに配達したいところ。ところが、ダイスの色によって移動ルートが異なるために、なかなか目的地に行けなかったり、行っても戻ってこれなかったりする。
ピンクの矢印では「なかよしトラック」のコマを進める。こちらはときどき資源がもらえる上に、ゲーム終了時に、完了したおしごとの色を増やすことができるので疎かにできない。緑のダイスは新しいおしごとをもらうために必要。先の先を読んで、自分が取りたい色のダイスが確保できるか、他のプレイヤーの動向も注視しておきたい(「葉っぱ」を使って色を変えることもできる)。
誰かが4匹の動物に配達を完了したらゲーム終了で、完了したおしごとと、なかよしトラックによるボーナス、使わなかった葉っぱや資源で合計得点を競う。
マップの周辺部はオレンジのダイスでのみ移動でき、しかも一方通行のため、行ったまま帰ってこれない事態が発生。オレンジのダイスを自分が持っていても、先手番の人に取られないような状況を待たなければならないため、それまで別のダイスでできることを用意しておく。このように次にやりたいことを見越して、先手先手を打って行動したいが、取れると思っていたダイスを取られてしまうことも。
4色のダイスドラフトが生み出すインタラクションで、最適な行動は常に変わっていく。立ち往生からトントン拍子に配達が進むこともあって気持ちいい。
Take Take PON! #テクテクポン
ゲームデザイン&アートワーク:あっこ
Studio Citrine(2023年)
2~4人用/10歳以上/42~84分(実際は約40分)
ドイツ・ボードゲーム作家組合が適切なライセンス料を求める声明
ドイツ国内外で600名以上のボードゲームデザイナーが加盟する「ボードゲーム作家組合(SAZ)」は29日、出版社契約におけるライセンス料に関して、公平性と透明性を求める声明を発表した。
声明によると現在ボードゲーム業界では、ほとんどの契約において出版社の純売上に基づくパーセンテージでライセンス料を計算する商慣行になっていると指摘。大手出版社では、純売上からさらに社員の年間ボーナス、小売店への広告補助金、テレビ広告費、保険料、輸送梱包費、「その他の費用」といったさまざまな項目を引いており、適正な報酬ではないと主張している。
試算例として、小売価格29.98ユーロ(4900円)の書籍の場合、10%の印税では1冊あたり2.80ユーロ(460円)が入るが、同価格のボードゲームの場合、出版社の純売上は約4割の12.60ユーロ、そこから10%のライセンス料を計算すると1セットあたり1.26ユーロ(210円)にしかならない。しかも実際のライセンス契約は6%ということが多く、さらに大手出版社が値引き販売すると、1セットあたり0.58ユーロ(90円)ほどになってしまうという。
このためSAZでは、ライセンス料を計算する際、マーケティングや流通の費用を控除しないこと、控除する項目は公平で透明性のあるものに限り、「ブラックボックス」がないことを出版社に要望。また、算出基準を純売上ではなく小売価格にするための議論を開始すること、あるいは最低保証額から、売上数に応じたエスカレーション条項を設定することを提案している。