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ブリックス(Brikks)

回転エネルギー
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クニツィアの『フィット(Fits)』(2019年)をはじめ、テトリスをボードゲームに落とし込んだ作品は数多ある中で、昨年最注目のゲームデザイナー、ヴォルフガング・ヴァルシュ(オーストリア)がデザインしたテトリスゲーム。同氏がドイツ年間エキスパートゲーム大賞を受賞した『ガンツシュンクレバー』など、シュミット社の「小さくて洗練されたゲーム(Klein & Fein)」シリーズに連なっている。
テトリスといってもパズルピースを使うわけではなく、2個のダイスで指示されたピースのかたちを全員、自分のシート(ゲームセンター風のレトロなドット絵も見どころ)に×印で書き込むダイスロール&ライト方式である。その点で『スイーツスタック(Sweets Stack)』(操られ人形館、2016年)に近い。
2個のダイスは手番プレイヤーが振り、気に入らなければ1回だけ振り直しができるところと、指定されたピースを回転させるには「エネルギーポイント」が必要なところがこのゲームの面白さとなっている。
毎回ダイスでランダムに決められるピースは毎度都合よくいかず、ましてやただでは回転できないため、ままならない。そんなとき、手番プレイヤーが振り直しすると、ほかのプレイヤーは悲喜交々だ。「これでよかったのに!」「いやいや変えましょうよ!」手番プレイヤーはときに、ほかのプレイヤーの状況を見て振り直すかどうか決める。「私はこれでもいいんですけどね、皆さんには良すぎるんで振り直します」「えー!」インタラクションの入れ方がうまい。
回転させるにはエネルギーポイントが必要で、これはタイルが同じ色のマスに落ちると得られる。また5エネルギーポイントを使うと好きなピースを落とせるので、ここぞというときに使おう。
2列以上を一気に埋めると、ボーナストラックに×印をつけることができる。こちらはゲーム終了時に入る得点が上がっていく仕組み。またゲーム中3度だけ、気に入らないピースを爆破できる爆弾が使える。これも使わなければ使わないほどボーナスがもらえる。
こういった融通ができるようにしておくのは、各段が最後にどれくらい埋まったかによって得点が入る仕組みと関係している。基本は完全に埋まっている段が5点、1マス抜けていれば2点、2マス抜けていれば1点だが、上の段になるほど高い倍率が付き、一番上の段に至っては4倍となっている。しかしそこから1マスでも上にはみ出してはいけないので、ここを埋めるのは至難の業。エネルギーポイントを貯め、爆弾もキープして終盤に臨みたいところだ。
3人プレイで20分。下の段はなかなか揃わなかったがエネルギーポイントが貯まっており、これを駆使して上の段を埋めることができ1位。最後に大逆転のピースを狙っていたサカモトさんは爆弾を使い切ったがダイス目に恵まれず。
直感的で分かりやすく、それでいて毎回悩みどころがあり、ダイスロール&ライト方式では薄れがちなインタラクションも確保されている。使い古されたテーマに新風を吹き込んだ作品である。
Brikks
ゲームデザイン・W.ヴァルシュ/アートワーク・A.ペツケ
シュミットシュピーレ(2018年)
1~4人用/8歳以上/20~30分

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『テストプレイなんてしてないよ レガシー』日本語版、3月8日発売

グループSNEは3月8日、『テストプレイなんてしてないよ レガシー(We Didn’t Playtest This: Legacies)』日本語版を発売する。ゲームデザイン・C.シェスリク、イラスト・松田実愛、2~10人用、13歳以上、1~5分、1500円(税別)。単体でも、ほかのシリーズと組み合わせてもプレイ可能。
一昨年秋に白箱、昨年春に黒箱が日本語版で発売され、ほどなくして品切れ。再版までしばらくかかったにも関わらずイエローサブマリンの年間売上ランキングで4位と6位に入るなど、人気を博しているヘンテコカードゲームのシリーズ。オリジナルは2012年、『パンデミック:レガシー シーズン1』の3年前に、アスマディゲームズ(アメリカ)から発売された。
イラストや文字を描き込むカードと、クエスト条件を満たすと開封できる追加パックが4つ入っており、ネタバレ厳禁(?)のサプライズが待っている。