ノヴァルナ(Nova Luna)
ここに赤が来てほしい!
指定された色が揃うようにタイルを並べるアブストラクトゲーム。モーセルがクワリ社から発表した『ハビタッツ』に基づいて、ローゼンベルクがデザインした。
環状に中央の場からタイルを1枚取って自分の前に置く。タイルには周囲に置くべきタイルの色が指定されており、それを達成したら自分のコマを置く。自分のコマを先に使い切ったら勝ちとなる。
手番順は『パッチワーク』式。タイルには時間コストが書いてあって、取ったら自分のコマが進む。コマが一番進んでいない人が手番を行う。時間コストの少ないタイルを取れば連続手番も可能だが、そういうタイルは達成ポイントがないか、あっても達成しにくい。
3人プレイで30分ほど。ほかのプレイヤーが欲しがっているタイルはお互い分かるので、そのタイルを取らせることになっても自分がほしいタイルを選ぶか、自分にとってはあまり得にならなくても相手に取らせないことを優先するか悩ましい。ほしいタイルがかぶっていることもある。「うわ、狙ってたの取られた~!」
黄色が必要な赤タイルの隣に、赤が必要な黄色タイルを置けば、相互参照で一度に両方達成できる。また連続する同じ色は隣接していなくてもいいので、一色をまとめておけば、その色の達成が何度もできる。達成しているかどうかのチェックがやや分かりにくいが、慣れてくると、どのタイルを取るべきか、道筋が見えてくるだろう。そのタイルが場にあるとは限らないけれども。
タイルを共通の場から取るという仕組みでパズルにインタラクションをもたせるローゼンベルクの手法は、『パッチワーク』『コテージガーデン』『インディアンサマー』『スプリングメドウ』で見られる。これらの作品は全てテトリスタイルを用いるのに対して、『ノヴァルナ』は色を参照するというモーセルのアイデアを取り入れたことで、パターンの自由度が高く、それゆえ創造力が試されるものとなっている。
Nova Luna
ゲームデザイン・U.ローゼンベルク&C.ファン・モーセル
イラスト・L.ジーグモン
シュピールヴィーゼ出版+ホビージャパン(2019年)
1~4人用/8歳以上/30分
レリッカーズ:ファクトリアの発掘者たち(Relicers: Excavators of Factoria)
折り方のイノベーション
(コマは『グラバー』などから借用)
スチームパンクの世界で、地下から遺物を掘り出して分け合い、お金にしていくボードゲーム。変換システムがバージョンアップしていく『ファクトリア 』の世界観に基づいて、ゲームマーケット2019秋に発表された。今度はシートを指でちぎって折りたたむという、斬新な手法が用いられている。
各自1枚ずつシートが配られる。シートには地下を表しており、さまざまな宝物が眠っている。毎ラウンドはじめに、このシートをちぎって折りたたみ、4つの「くじ」を作る。ちぎり方も折り方も自由だが、4つのくじのうち3つは1マスだけのシングルくじ、1つは2マスのダブルくじにしなければならない。
全員のくじができたら中央にまとめてどさっと置き、誰がどのくじを作ったか分からないようにしておく。ダイスでスタートプレイヤーを決め、1つずつ引いていく。
自分の作ったくじは形状でだいたい分かるので、ほしいものはよく覚えておきたいところだが、あまり目立つ形状にしてしまうとほかの人に取られることも。またダブルくじをシングルくじに見せかける折り方などもできて意外と奥が深い。ゲームが進むにつれて変わった折り方も開発される。こうして出来上がったくじを皆でじっくり見つめているさまは妙におかしい。
引いたくじにはさまざまな遺物や呪物(お金を失う)が入っており、種類数で新しい技術を開発し、種類別に一番多い枚数でお金が入る。新しい技術によってくじを多く引けるようになったり、遺物を増やしたりでき、それに伴って収入も増える。5ラウンドで持ち金の最も多いプレイヤーが勝利。
私は今回、巻物状に細く折るのと、台形に折るのを中心にしてみたところ、なかなか売れ行きがよくて自分で取れなくなってしまう。売れ行きがよいならばと呪物を入れてみたが、その頃には新しい技術でどんどん収入が入るようになっていた。このように、呪物があることでブラフを効かせることもできる。くじを眺めながら「これは美しい」「この折形は新しい」などとコメントし合うのが優雅だ。
レリッカーズ:ファクトリアの発掘者たち
ゲームデザイン&イラスト:赤瀬よぐ
よぐゲームズ(2019年)
2~6人用/10歳以上/30分